市場のしくみ

指標価格(Net CONE)

新しく電源を建てて維持するのに要る費用から、容量市場以外の市場で稼げる分を差し引いた「正味の費用」です。容量市場の需要曲線の高さと上限価格はこの数字で決まり、2026年度メインオークションでは20,911円/kWと前年度の約2.1倍になりました。

更新日:2026.09.03

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指標価格(Net CONE)とは

CONEは Cost of New Entry の略で、新しく電源を建てて維持するのにかかる費用を指します。このうち総額をGross CONE、そこから卸電力市場などで稼げる分を差し引いた正味の額をNet CONEと呼びます。日本の容量市場では、Net CONEを「指標価格」として需要曲線の高さの基準に使います。

単位は円/kW/年です。2026年度メインオークション(対象実需給年度2030年度)では、Gross CONE 31,683円/kWから容量市場以外の収益10,772円/kWを差し引いた20,911円/kWが指標価格になりました。

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なぜ需要曲線が要るのか

必要量ちょうどで線を引くと価格が跳ねる
垂直な需要では価格が振れる

必要な供給力ちょうどで需要を打ち切ると、応札がわずかに足りないだけで価格が上限まで跳ね、わずかに余るだけでゼロに落ちます。落札するかどうかが1kWの差で決まってしまいます。

右下がりの曲線にする

そこで価格が高いほど調達量を減らす右下がりの曲線を置きます。供給が少し足りなくても価格は段階的にしか上がらず、事業者にとっても需要家にとっても振れ幅が小さくなります。

その高さを決めるのがNet CONE

曲線をどの高さに置くかは、新規参入者が電源を建てて採算に乗る水準に合わせます。それがNet CONEです。上限価格はNet CONEの1.5倍と定められています。

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どう計算するか

モデルプラントを1つ決めて積み上げる

計算には実在の発電所を使いません。標準的な1基を仮に置いて積み上げます。日本ではLNG火力のコンバインドサイクル(CCGT)をモデルプラントとし、経済産業省の発電コスト検証ワーキンググループが公表する諸元を使います。第113回制度検討作業部会で、2025年2月の公表値を採用することが整理されました。

建設費に加え、40年の運転で発生する物価上昇分、系統に接続する費用、経年に伴う修繕費の増分、資本コスト(税引前WACC)を積み上げてGross CONEを求め、そこから容量市場以外の収益を引きます。他市場収益はGross CONEの34%と置く整理です。

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2026年度と2025年度の諸元

第74回 容量市場の在り方等に関する検討会 資料4
項目2026年度メインAX(実需給2030年度)2025年度メインAX(実需給2029年度)
指標価格(Net CONE)20,911円/kW10,075円/kW
需要曲線の上限価格31,366.5円/kW(Net CONEの1.5倍)
モデルプラントCCGT(基準年2023年)CCGT(基準年2014年)
コスト評価年数40年40年
インフレーション率6.71%17.56%
評価期間の期待インフレ率0.98%0.81%
系統接続費1.56千円/kW1.56千円/kW
経年に伴う修繕費等の増分3万円/kW程度(30,861円/kW)3万円/kW程度
評価期間の割引率(税引前WACC)5%5%
容量市場以外からの収益10,772円/kW(Gross CONE 31,683円/kWの34%)5,190円/kW

基準年が2014年から2023年へ移ったため、建設費そのものが新しい水準に置き換わりました。インフレーション率が17.56%から6.71%へ下がったのは、物価上昇が止まったからではありません。基準年から現在までに積み上げる年数が短くなったためです。

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2026年度に約2.1倍になった理由

指標価格は10,075円/kWから20,911円/kWへ、1kWあたり10,836円上がりました。最も大きいのはモデルプラントの基準年の更新です。基準年が2014年から2023年へ移り、その間の建設費や資材価格の上昇が織り込まれました。

他市場収益も5,190円/kWから10,772円/kWへ倍増していますが、Gross CONEの34%という割合は変えていないため、Gross CONEそのものが大きくなった結果です。差し引き後のNet CONEも同じ方向に動きました。

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需要曲線と目標調達量

2026年度メインオークションの原案
全国H3需要(離島除き)1億6,190万kW(2030年度断面、2026年度供給計画)
目標調達量1億9,691万kW(2025年度メインAXは1億8,997万kW、+694万kW)
目標停電量(EUE)0.044kWh/kW・年(2025年度は0.009)
上限価格における調達量1億9,527万kW
調達価格ゼロにおける調達量2億390万kW
約定処理で加算する供給力2,851万kW(FIT電源等1,986万kW+容量市場外の見込み供給力控除量180万kW+長期脱炭素電源オークション契約容量685万kW)

需要曲線の原案は広域機関が策定し、国の関連審議会等の意見を踏まえて広域機関が決定・公表します(業務規程第32条の13)。2026年度分の原案は2026年6月30日の第74回検討会で報告されました。

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容量市場の外でも使われる

系統整備の費用便益評価

Net CONEは容量市場の中だけの数字ではありません。広域機関が地域間連系線などの整備計画を評価するとき、供給力が増えることの価値(アデカシー便益)を調達コストベースで算出しており、その単価にNet CONEを使っています。

2026年9月1日の第103回広域系統整備委員会では、発電コスト検証ワーキンググループ(2025)にもとづく大幅な見直しがあったものの、最新の諸元で算定された値であることから、従来どおり見直し後の最新のNet CONEを使うと整理されました。指標価格が2倍になれば、系統を増強する便益の見積もりも同じ方向に動きます。

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読むときに気をつける3点

実際の約定価格とは違う

指標価格は需要曲線を引くための基準であって、落札価格ではありません。約定価格は応札の状況で決まります。指標価格が上がっても約定価格が同じだけ上がるとは限りません。

年度をそろえて比べる

「2026年度メインオークション」は対象実需給年度2030年度を指します。オークションの年度と電気が実際に使われる年度は4年ずれるので、資料を読むときはどちらの年度かを確かめます。

諸元の出どころを見る

Net CONEは発電コスト検証ワーキンググループの公表値に依存します。同ワーキンググループの報告が更新されると指標価格も動くため、どの報告書のどの年の値かを確認します。