系統・送電網

地域間連系線の増強計画とは

エリアとエリアを結ぶ送電線を増強するとき、OCCTOの「計画策定プロセス」を経て広域系統整備計画が決まります。誰が費用を負担するかは、この過程で「受益者の範囲」として決められます。

更新日:2026.08.19

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エリアをまたぐ送電線を増やす手続き

地域間連系線は、北海道から九州までの9エリアを結ぶ送電設備です。ここを太くすると、再エネの多い地域から需要の多い地域へ電気を送れる量が増え、エリアごとの需給の偏りを小さくできます。

ただし1本あたりの工事費が大きく、完成までに年単位の時間がかかります。そのため増強は個別に、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が定める手続きに沿って決められます。この手続きが「計画策定プロセス」で、その結果まとまるのが広域系統長期方針に基づく「広域系統整備計画」です。

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プロセスが始まる3つの入口

OCCTOの発議 大規模な供給力喪失で電気の供給支障が起きた場合や、混雑緩和の便益が費用を上回ると見込まれる場合など。
一般送配電事業者からの提起 OCCTOの会員である一般送配電事業者が、増強の必要性を示して提起する場合。
国からの要請 国の政策上の判断により、増強の検討が要請される場合。

OCCTOの業務規程は開始の要件を具体的に定めています。たとえば、複数の発電機の計画外停止でエリアの予備力を超える供給力が失われ、連系線を運用容量まで使ってもなお供給支障が生じた場合が該当します。また、将来の電源開発動向から系統の混雑を把握し、緩和による社会的な便益が整備費用を上回ると見込まれる場合も入口になります。

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費用を誰が負担するかは「受益者の範囲」で決まる

計画策定プロセスでは、工事の中身を決める「基本要件」とあわせて「受益者の範囲」を決定します。増強によって便益を受けるのは誰かを特定し、そこへ費用を割り付ける考え方です。検討の対象は、増強される連系線の両側のエリアに限りません。融通を通じて便益が及ぶ範囲まで含めて判断します。

便益は特定の発電事業者や需要家の利益ではなく、電力システム全体で得られる純便益で評価します。燃料費の減少、CO2対策コスト、供給力の確保、送電ロスの減少などを金額に換算し、増強しない場合との差を比べます。

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事業実施主体は公募で選ぶことがある

基本要件と受益者の範囲が決まると、次は実施案と事業実施主体を決める段階に進みます。案件によっては、OCCTOが公募要綱を定めて実施案と事業実施主体を募集します。北海道本州間連系設備(日本海ルート)では、2024年4月に基本要件および受益者の範囲が決定され、同年10月に実施案と事業実施主体の募集が開始されました。

募集の過程では応募資格審査が行われ、その後に予備評価が進みます。日本海ルートでは2025年2月に応募資格審査の結果が公表され、2025年12月に実施案の提出期限の延長が公表されています。

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いま動いている計画と決まっている計画

区分対象
策定中東地域(北海道〜東北〜東京間)の連系線増強に係る計画策定プロセス
策定済み北海道本州間連系設備、東北東京間連系線、東京中部間連系設備、中部関西間連系線(中西地域)、中国九州間連系設備(中西地域)

東地域と中西地域の計画策定プロセスは2022年7月に開始されました。東地域では2026年に入っても広域系統整備委員会で実施案の検討状況が報告されており、増強の検討には長い時間がかかることがわかります。

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資料を読むときの確認点

どの段階かプロセス開始、基本要件・受益者の範囲の決定、実施案の募集、整備計画の策定のどこか
受益者の範囲どのエリア・どの立場の者に費用が割り付けられるか
費用便益の前提需要、電源構成、燃料価格、CO2対策コストの想定
工程運用開始の目標時期と、直近で変更されていないか