審議会資料解説

第5回 電力安定供給WG既存電源確保とGX-ETS

退出する既存電源を新設電源の稼働まで確保する制度と、容量市場におけるGX-ETSの扱いが議題となりました。

更新日:2026.07.29

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会議情報

2026.07.29 第5回 電力安定供給WG

資料3「今後の供給力確保について」と資料4「容量市場について」を中心に、既存電源の維持策とGX-ETSの費用・収益の扱いを解説します。

出典:資源エネルギー庁「第5回 電力安定供給ワーキンググループ」

資料別の解説

資料3今後の供給力確保について開く

4年先の容量市場だけでは捉えにくい変化

容量市場のメインオークションは、実際に電力を供給する年度の4年前に行います。データセンターなどの需要増加、新設電源の工期、既存電源の休廃止は10年規模で変化するため、4年先のオークションだけでは供給力不足を先回りして防ぎにくい状況があります。

資料は、各電気事業者が提出する10年分の供給計画を使い、将来必要になる供給力と、建設・更新が見込める電源を照合する案を示しました。不足が見込まれる期間は、退出する可能性がある既存電源を新設電源の稼働まで残します。

既存電源を確保する制度の設計案
必要量の基礎供給計画で示す10年先までの需要・電源見通し
確保する電源退出する可能性があり、将来の安定供給に必要な既存電源
契約期間大規模修繕、部品調達、運転員確保を計画できる複数年
落札方式電源ごとの必要費用を反映するマルチプライス
費用負担容量拠出金を基本とし、リスク対応分は託送料金も検討

確保量は新設電源の進捗に合わせて減らす

新設電源の完成時期には不確実性があります。建設や試運転が十分に進み、稼働の見込みが高まるまでは既存電源を確保し、供給力が確実になった段階で確保量を減らす考え方です。

供給計画の需要想定には幅があります。資料は、見通しを超える需要増加へ備える余裕も論点に挙げました。余裕を厚くすると確保費用が増えるため、どのリスクまで制度で負担するかを決める必要があります。

マルチプライスと複数年契約

老朽火力などの維持費は、修繕範囲、部品の入手状況、燃料設備、運転員の確保によって大きく異なります。全落札電源へ同じ価格を適用する方式では費用差を表しにくいため、応札した電源ごとに異なる落札価格を適用するマルチプライス方式が候補になりました。

単年度契約では、大規模修繕や長納期部品を発注しにくくなります。複数年契約で収入の予見性を持たせる一方、必要費用を超える強い収益機会とならないよう、合理的な報酬水準を設定します。

運転条件とGX-ETSを電源ごとに設定

確保した電源には、平常時から最低限運転して部品と人員を維持する設備と、緊急時に起動できればよい設備があります。資料は電源の事情に合わせて運転要件を設定する方向を示しました。

確保された電源を通常の容量市場でも重複して確保しないこと、安定供給のため政策的に維持する電源のGX-ETS上の扱いが過大な制約にならないことも検討します。系統上必要な場所にある電源、LNG基地・港湾・送電線の制約、発電所の定期修繕時期、容量と調整力の整合も関連論点です。

資料本体:資料3「今後の供給力確保について」(PDF)

資料4容量市場について開く

容量市場の応札価格にGX-ETSを反映

GX-ETSは2026年度に本格稼働し、排出枠の取引と償却が2027年度から始まります。火力発電事業者が排出枠を追加取得する費用は発電コストとなるため、卸電力市場の入札価格と容量市場の応札価格の双方で整合した扱いが必要です。

容量市場におけるGX-ETSの扱い案
適用する入札2026年度メインオークションから
排出枠取得費用発電の限界費用と他市場収益の算定に反映
市場価格が未反映の場合限界費用にもGX-ETS費用を加えない
排出枠の売却収益将来の排出枠確保・脱炭素投資へ使う場合は控除不要

他市場収益の計算前提をそろえる

容量市場の応札価格は、電源維持に必要な費用から、卸電力市場などで見込む他市場収益を差し引いて算定します。GX-ETS費用を限界費用へ加えると、市場で発電する時間と得られる利益が変わり、他市場収益にも影響します。

将来価格や実績価格を使う計算で、その市場価格にGX-ETS費用がまだ含まれていない場合は、限界費用側にも加えません。費用だけを追加して他市場収益を小さく見積もることを防ぎます。卸取引での計算方法と容量市場での計算方法をそろえる方針です。

排出枠の売却収益は使途を確認

無償割当などで保有する排出枠を売却すると収益が生じます。通常は他市場収益として容量市場の応札価格から控除する対象になります。

資料は、売却収益を将来の排出枠確保または脱炭素投資に使うことを事業者が約束する場合、控除を不要とする案を示しました。売却益を電源維持費の穴埋めと脱炭素投資の双方へ重複して計上しないよう、具体的な確認方法を募集要綱などで定めます。

資料本体:資料4「容量市場について」(PDF)

会合から確認できること

供給力の確保期間を4年先から10年先へ広げ、退出する既存電源と新設電源の稼働時期をつなぐ制度設計が具体化しています。費用負担、確保する余裕幅、契約年数、対象電源は未確定です。容量市場では、2026年度メインオークションからGX-ETS費用を反映するため、他市場収益と排出枠売却収益の計算方法を募集要綱へ落とし込む段階に進みます。