ひとことで
九州電力送配電は9月8日、アストラゼネカと連携し、月極駐車場や賃貸住宅に付随する駐車場を対象とするEV充電サービスの実証を九州エリアで始めたと公表した。アストラゼネカの医療情報担当者が使う契約駐車区画を対象に、現地調査から管理会社・地権者との調整、設備の設置、導入後の運用までを九電送配電がワンストップで提供する。
狙いは基礎充電の空白を埋めることである。EVの普及には、移動途中に充電する経路充電に加えて、自宅や勤務先など日常的に駐車する場所での基礎充電の環境整備が重要になる。ところが賃貸駐車場等では、複数の関係者との調整や電源の確保といった課題があり、充電環境の整備が進みにくい状況にある。九電送配電は、電力インフラの維持・運用で培った知見と技術力を活かし、利用者の申込みにもとづいて利用者専用の充電環境をワンストップで提供するサービスの開発に取り組んでいる。
相手方の事情もはっきりしている。アストラゼネカはバリューチェーン全体でのCO2排出削減の一環として、病院・診療所・薬局などを訪問する医療情報担当者(MR)が使う社有車の全台EV化を進めている。MRは直行直帰型の働き方が中心で、賃貸住宅の利用者も一定数いるため、契約駐車区画での充電環境の確保が課題になっていた。
役割は分かれている。九電送配電はアストラゼネカのMRが利用する契約駐車区画を対象に、現地調査、管理会社および地権者との調整、充電設備の設置、導入後の運用までを提供し、サービスの実現可能性と導入・運用面の課題を検証する。アストラゼネカは九州エリアで賃貸駐車場等を利用するMRの参画を通じて、MRの働きやすさと生産性の向上を目指すとともに、サービスの利便性向上に協力する。
一般送配電事業者が需要側のサービスへ踏み出す例でもある。送配電網の運用は法的分離で中立性が求められる一方、充電設備の設置や電源の確保は配電の実務と地続きである。同社は、実証で得た知見をもとに、一般の自動車利用者が現在の契約駐車区画をそのまま活用しながらEVへ乗り換えられるサービスの実現を目指すとしている。
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編集:TERA WHAT編集部