ひとことで
電力広域的運営推進機関は9月1日の第103回広域系統整備委員会で、広域系統整備計画の費用便益評価に算入するコストの考え方を整理した。プロジェクトファイナンスにともなう各種金利やコミットメントフィー、GX債務保証料、税金は算入しない。工事費や保険料、アドバイザリーフィーは算入する。北海道本州間連系設備の日本海ルートが対象になる。
整理の必要が生じたのは、整備計画の大規模化が背景にある。既存事業からリスクを分離する目的で特定目的会社(SPC)を設立しプロジェクトファイナンスを活用する場合、工事費に加えてファイナンスコストが発生する。北海道本州間連系設備の日本海ルートがこの前提で検討されており、こうした費用を費用便益評価にどう扱うかを決める必要があった。
判断のものさしは2つ置かれた。1つは機会費用、つまりそのプロジェクトを実施しなければ他の用途で価値を生んでいたはずの資材や労働力の価値にもとづいて算出すること、もう1つは価値の移転にあたるものはコストに含めないことである。広域機関が行うのは日本国内全体を対象とした経済分析であり、事業として成立するかを見る財務分析とは目的が異なる。
この考え方に沿って項目を仕分けた。コストに算入するのは工事費、運転維持費、実費に限る漁業・用地補償費、保険料、アドバイザリーフィー、エージェントフィーである。算入しないのは各種金利、コミットメントフィー、アップフロントフィー、GX債務保証料、その他のファイナンス費用、法人税等の税金である。ただし各種フィーは項目名で画一的に判断せず、プロジェクトの実態を踏まえて判断する。予備費は発生頻度や規模が未定のため、感度分析で影響を確認する。
便益算出に使う数値も更新される。燃料価格(CIF)は工事費算出時期と整合をとった為替の変化を反映し、CO2輸送貯留費用と燃料諸経費は建設総合デフレーターで補正する。デフレーターは2020年基準で、発電コストワーキンググループ(2025)の113.1に対し直近12か月(2025年6月から2026年5月)は122.9である。アデカシー便益の調達コスト単価(Net CONE)は発電コスト検証ワーキンググループ(2025)にもとづく最新値へ見直す。2026年度メインオークションの需要曲線作成要領では20,911円/kWで、2025年度の10,075円/kWから2倍以上になった。広域機関は、連系線プロジェクトの評価は現在の費用便益評価による方法が引き続き妥当とし、需要家への説明性を高めていくとした。
関連する解説:地域間連系線
編集:TERA WHAT編集部