ひとことで
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は8月24日の第121回調整力及び需給バランス評価等に関する委員会に、2025年4月28日のイベリア半島大規模停電を踏まえた日本の電力系統の点検結果を報告する。最終報告書の推奨事項23項目を一般送配電事業者に確認し、「優先度の高い項目については対策済み、あるいは検討が進められており、足元で早急に追加で対策が必要な事項はなかった」と結論づけた。
資料3として8月21日に公表した。停電は2025年4月28日12時33分(中央ヨーロッパ時間)に発生し、スペインとポルトガルの全域、フランスの一部が停電した。規模は約3100万kW、復旧には約12〜16時間を要した。当日は同期電源の並列が少なく再生可能エネルギーの比率が高い状況で、スペインでは約80%だった。欧州では20年以上ぶりの大規模ブラックアウトで、電圧上昇を起因とするものは欧州系統で初めての事象だった。
発生要因は単一ではなく、第一要因は「系統電圧の上昇とこれによる連鎖的な電源停止等」とされた。再エネ電源が力率一定制御で系統電圧の変化に応じた無効電力を出さないこと、分路リアクトルが手動制御で系統へ未並列のものがあったこと、発電機の計画外停止で無効電力の吸収能力を失ったことなどが複合し、無効電力のアンバランスから電圧が急峻に上昇した。スペインで過電圧による発電機の連鎖脱落が起き、系統防御計画が発動されたものの周波数崩壊を防げず、欧州の他地域の系統から分離した。
OCCTOは、電力中央研究所の第3回解説(2026年4月30日)が整理した推奨事項について、日本国内の対策・検討状況を一般送配電事業者に確認した。項目は電圧制御9件、系統動揺2件、その他3件、設備挙動・系統事象の把握5件、全停復旧4件の計23件で、優先度が「高」とされたのは7件だった。
電圧面では、特別高圧に連系する再エネにも従来電源と同等の能力・制御方式を求めるグリッドコードがあり、上位系の調相設備はほぼ全てが自動制御可能とした。系統動揺対策の系統安定化装置(PSS)は日本ではグリッドコード化され、超高圧系統の大容量機を中心に多くの同期発電機が備えるが、停電当日に稼働していたスペインの原子力・水力・石炭火力には具備されていなかった。全停復旧については、2018年の北海道エリアの全域停電を踏まえて一般送配電事業者大での定期的な訓練を実施し、通信も非常電源を備えた専用線設備を確保しているとした。
課題として残るのは監視と配電系である。同期フェーザ測定装置(PMU)の導入は「これからの段階」で、基幹系統や再エネ・蓄電設備・大規模需要設備の接続可能性が高い地域への導入を検討する。配電系ではPCSを用いる電源の力率一定制御が基本で、配電系まで含めた将来的な最適電圧制御方式は検討中。配電系の分散型エネルギー資源(DER)はリアルタイムでの状態把握を行っておらず、上位系への影響を踏まえて今後検討するとした。
速い出力変化が可能な蓄電池に対する有効電力・無効電力の変化速度上限は、8月21日の第22回グリッドコード検討会でも検討が進む。OCCTOは、さらに再エネ導入が拡大した将来系統における電圧制御のあり方と、日本で課題となっている基幹系統での電圧上昇について「引き続き検討が必要」とした。
編集:TERA WHAT編集部