蓄電池ビジネス

系統用蓄電池の収益構造

送配電網へ直接つなぐ大型蓄電池は、卸電力市場、需給調整市場、容量市場で異なる価値を提供します。充放電できる時間は有限なため、価格、指令への対応、将来の供給力確保を見ながら運用先を選びます。

更新日:2026.07.30

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一つの設備で三つの価値を売る

系統用蓄電池は、電気が安い時間に充電し、高い時間に放電できます。充放電の速さを使えば、一般送配電事業者の指令に応じて周波数や需給のずれを調整できます。必要な時間に放電できる状態を維持すると、将来の供給力としても評価されます。

同じ時刻に同じ出力を複数の用途へ重ねて販売することはできません。運用事業者は、蓄電残量、充放電損失、市場価格、契約上の義務を30分コマごとに見ながら収入を組み合わせます。

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3市場で売る価値が異なる

市場売る価値主な収入の考え方
卸電力市場電力量(kWh)充電時と放電時の価格差
需給調整市場出力を動かせる能力(ΔkW)調整力の約定料金と指令時の電力量精算
容量市場将来の供給力(kW)容量確保契約に基づく対価

卸電力市場は電気そのもの、需給調整市場は短時間で出力を変えられる能力、容量市場は将来の供給力を扱います。市場ごとに登録、入札、性能確認、供給力提供の条件が異なります。

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卸電力市場は値差と損失を比べる

安い時間に充電再エネの発電量が多い時間や需要が少ない時間に電気を買います。
高い時間に放電需要増や供給力低下で価格が上がる時間に電気を売ります。
損失と劣化を控除充放電損失、取引費用、電池劣化の費用を価格差から差し引きます。

価格差があっても、買った電力量のすべてを売り戻せるわけではありません。変換時の電力損失があり、充放電を重ねると電池容量も低下します。運用では見かけの値差と手元に残る利益を分けて確認します。

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足元の収入は需給調整市場が中心

資源エネルギー庁が補助事業で導入された運転開始済み案件を集計したところ、2024年度の総収入は需給調整市場が大半を占めました。集計時点では、容量市場で落札した蓄電池が実需給年度へ到達しておらず、容量市場の収入は含まれていません。

需給調整市場では、商品ごとの応動時間、継続時間、指令への追従性能を満たす必要があります。2026年9月1日実需給分から、一次調整力、二次調整力①、複合商品の上限価格は10円/ΔkW・30分となる予定です。

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容量市場は長期の収入設計に関わる

制度蓄電池の主な位置づけ収入期間
メインオークション4年先の供給力を確保。2027年度向けから一定要件の蓄電池を安定電源として登録可能対象実需給年度
長期脱炭素電源オークション新設などの大規模投資を長期契約で支援原則20年間

メインオークションでは、計量単位の期待容量が1,000kW以上、放電可能時間が3時間以上の蓄電池を安定電源として登録できます。落札後は、必要な時に供給力を提供する義務を負います。

長期脱炭素電源オークションは固定費回収の予見性を高めます。卸電力市場や需給調整市場などで得た他市場収益は、契約条件に基づき一部を還付する仕組みがあるため、売上をそのまま重ねて計上する収益モデルにはなりません。

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事業収支で確認する費用

設備と接続蓄電池、PCS、変圧器、土地、工事費負担金、系統接続工事。
運用と保守保守、保険、通信、アグリゲーター、取引手数料、蓄電残量の管理。
損失と更新充放電損失、容量劣化、セルやPCSの交換、撤去・廃棄費用。

収益予測は市場価格だけでは決まりません。系統連系までの期間、出力と容量の組み合わせ、保証条件、サイクル数、劣化後も契約した放電時間を維持できるかを同じ前提で試算します。

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市場ルールと一次資料