グリッドコードとは
系統につながる設備が守るべき「共通の作法」です。周波数や電圧が変動したときにどう振る舞うか、事故が起きたときに運転を続けるか止まるか、中央給電指令所からの指令にどう応じるかといった内容が定められています。
電源が火力や水力といった同期発電機中心だった時代は、設備そのものの性質が系統を安定させていました。太陽光や蓄電池のようにインバーターを介してつながる電源が増えると、その性質が自動では備わりません。そこで「備えるべき機能」を明文化して求めるのがグリッドコードです。
どの文書に書かれているか
| 文書 | 定めている主体 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン | 資源エネルギー庁 | 国が示す基本的な考え方 |
| 系統連系規程 | 日本電気協会 | 業界標準としての具体的な規定 |
| 系統連系技術要件 | 各一般送配電事業者 | 実際に接続するときに適用される要件 |
| 系統アクセスルール | 各一般送配電事業者 | 接続の手続きに関する取り決め |
| 送配電等業務指針 | 電力広域的運営推進機関 | 全国大の運用に関わる規定 |
グリッドコードの要件化とは、この5つの規定類を必要に応じて書き換えることを指します。検討はOCCTOのグリッドコード検討会で行い、要件が固まると各文書の改定へ進みます。
フェーズに分けて順番に要件化する
すべての要件を一度に決めるのではなく、必要性が高いものから段階的に要件化する進め方をとっています。区分はフェーズ1から4までで、途中に前倒し分の「フェーズ2’」が置かれています。
| フェーズ | 対象の考え方 | 要件化の時期 |
|---|---|---|
| フェーズ1 | 優先度が高く早期に対応するもの | 2023年4月に要件化完了 |
| フェーズ2 | 続けて対応するもの | 2025年4月に要件化完了 |
| フェーズ2’ | 蓄電池の導入状況や最新の知見を踏まえ、2030年を待たずに要件化が必要なもの | 2027年度の要件化を目標 |
| フェーズ3 | 再エネ導入比率50〜60%程度を想定し、調整力・慣性力・同期化力や系統の保護制御に貢献するもの | 2030年度の要件化を目標 |
| フェーズ4 | 新規技術や新制度も意識し、主に小容量火力や高圧・低圧を対象とするもの | 時期を定めず継続検討 |
フェーズ2’は、もともとフェーズ3で検討する予定だった項目のうち、蓄電池の急速な普及を踏まえて前倒しした区分です。したがって「2030年より前に来る要件」を確認したい事業者は、まずこの区分を見ることになります。
フェーズ2’で検討している要件
| 要件 | 主な対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 周波数変化の抑制対策(上昇側・低下側) | 特高の蓄電池 | 事故などで周波数が一定以上ずれたとき、ずれ幅に応じて出力を増減する |
| 瞬動予備力 | 特高の蓄電池 | 周波数の変化に対し、速度調定率に応じて自動で有効電力を調整する |
| 負荷周波数制御(LFC) | 特高の蓄電池 | 中央給電指令所から数秒〜十数秒ごとに送られる信号に応じて出力を調整する |
| 経済負荷配分制御(EDC) | 特高の蓄電池 | 中央給電指令所から送られる出力基準値に追従する |
| 発電設備の制御応答性 | 特高の蓄電池 | ガバナと調定率制御の性能を発揮する |
| 出力の増加(変化)速度の上限 | 特高・高圧・低圧の蓄電池 | 連系点での最大出力変動幅を規定する |
| 周波数変化率耐量(RoCoF) | 特高・高圧・低圧のFRT対象電源 | 事故時の周波数変化率が大きくなったときの運転継続と制限値を定める |
| 周波数ステップ変化耐量 | 同上 | 事故時の周波数ステップ変化に対する運転継続と制限値を定める |
| 電圧位相変化耐量 | 同上 | 事故時の電圧位相変化に対する運転継続と制限値を定める |
| 電圧変動対策(力率設定) | 高圧・低圧の蓄電池 | 充放電ごとに力率一定制御の値を設定し、電圧変動を抑える |
| 系統安定化に関する情報提供 | 特高の蓄電池 | 解析に使うシミュレーション用モデルの提供を求める |
| 電圧・無効電力制御(需要設備) | 高圧・低圧のEV用急速充電器 | 充電電力に応じて無効電力を増減し、電圧変動を抑える |
直近の論点(2026年8月時点)
蓄電池への周波数調整機能
同じ会合で、特別高圧に連系する2MW以上の蓄電池にLFC・EDC・LFSM-O・LFSM-Uの4機能を求める案が示されました。放電で系統への逆潮流を生じない蓄電池は対象外です。
揚水発電(発電方向)については、10MW以上を対象とする周波数調整機能が2025年4月の系統連系技術要件の改定で既に規定されています。蓄電池は参入目的が多様であることから要件化が見送られ、フェーズ2’で改めて検討されている経緯があります。