会議情報
2026.09.11 第8回 電力広域的運営推進機関検証WG
資料3で改正電気事業法に伴う役割拡大と関連省令、資料4で広域機関の運営、給与制度、融資体制、2026〜2030年度のアクションプランが示されました。資料1は議事次第、資料2は委員名簿です。
資料別の解説
資料1・2議事次第・委員名簿開く
議題は「電力広域的運営推進機関の役割の拡大等」と「電力広域的運営推進機関の運営状況等」の2件です。資料2は委員名簿で、制度の数値や方針は含みません。資料3と資料4を中心に読む会合です。
資料3広域機関の役割拡大と融資制度開く
大規模電源と送電線へ財投資金を貸す
2026年に成立した改正電気事業法は、経済産業大臣が認定した大規模な地域内・地域間送電線と大規模電源の整備計画に対し、電力広域的運営推進機関が財政投融資などを使って貸し付ける制度を設けました。地域間連系線に限られていた融資を地域内送電線と電源へ広げます。大規模電源は広く安定供給に役立つことを条件とし、長期脱炭素電源オークションの対象となる脱炭素電源を優先する方針です。
関連省令は9月中旬から意見募集へ
整備計画の申請、認定、変更、取消し、実施状況の報告を電気事業法施行規則で定めます。広域機関の財務・会計省令では、補助金を主な原資とする融資と財政融資を主な原資とする融資を区分経理します。貸付基準も新設し、関連する省令・基準案は9月中旬からパブリックコメントにかける予定です。法律のうち大規模電源と送電線の整備に関する部分は、公布から9か月以内に施行します。
融資総額の30%が基本上限
資料4に示された具体的な財務ルールでは、広域機関の融資をプロジェクト全体の融資総額の30%までとするのが基本です。事業者は民間金融機関を含む資金調達計画とLOIなどを提出します。金利は社債利回りや銀行融資を参考に民間水準並みとし、長期脱炭素電源オークションの落札や長期PPAなど、返済を支える収入を確認します。
| 広域機関の融資割合 | プロジェクト全体の融資総額の30%が基本上限 |
|---|---|
| 民間資金 | 民間金融機関のLOIなどで資金調達計画の蓋然性を確認 |
| 金利 | 社債利回りと銀行融資を参考に民間水準並み |
| 純資産 | 融資総額の4%以上を維持 |
| 高流動性資産 | 融資総額の8%以上を確保 |
| 例外時 | 国への返済が難しい場合、一般送配電事業者から特別会費を回収 |
担当部門から審査を分ける
電源案件は企画部、系統案件は系統計画部が事業者との調整と一次審査を担います。総務部には金融機関出身の理事が所管する融資管理室を置き、担当ラインから独立した立場で審査と与信管理を行います。広域機関は7月1日に融資管理準備室を設けており、法律施行時に融資管理室へ改称します。融資実績は毎年度、国の審議会へ報告し、返済の確実性に疑いが出た案件は国へ個別に報告します。
資料4広域機関の運営状況と次期行動計画開く
会員2,652者、職員283人
2026年9月1日時点の会員は延べ2,652者です。2024年の2,154者、2025年の2,361者から増えました。発電事業者は1,562者、小売電気事業者は816者、特定卸供給事業者は168者です。職員は設立時の2.1倍となる283人で、管理職が31%、女性が19%を占めます。大手電力からの出向者は全職員の44.5%です。
運営予算295億円と預り資金を分ける
2026年度予算は295億円です。再エネ関連91億円(31%)と広域機関システム87億円(29%)が大きく、容量市場27億円(9%)、長期脱炭素電源オークション6億円(2%)、人件費38億円(13%)と続きます。
再エネ納付金は年3兆円弱、容量拠出金は年1兆円弱ですが、広域機関の収入として自由に使える資金ではありません。「預り納付金」などとして管理し、増減を運営予算や損益から外します。事務費、利息、納税、補助金収入は6つの区分経理で扱います。2024年度決算から監査法人を入れ、監事、監査室、監査法人による三様監査を実施しています。
| 会員 | 延べ2,652者(2026年9月1日) |
|---|---|
| 職員 | 283人、設立時の2.1倍 |
| 大手電力出向者 | 全職員の44.5% |
| 運営予算 | 295億円 |
| 再エネ納付金 | 年3兆円弱(預り資金) |
| 容量拠出金 | 年1兆円弱(預り資金) |
給与差を縮め、40代以下を育成
広域機関は2026年2月に給与制度を改めました。2025年度の平均年間給与と大手電力平均との差は27万9,563円で、2024年度の64万6,287円から縮まりました。一方、プロパー職員は構成年齢が高く、次代の管理職を担う40代以下の育成を課題に挙げています。
2026〜2030年度の行動計画
新しいアクションプランは2026〜2030年度を対象とし、組織運営、人材育成・確保、業務基盤・効率化の各分野で目標と施策を定めます。容量市場やFIT・FIPで問い合わせが多く、定期異動の中で知識を引き継ぐ必要があるため、AIによる知識継承と業務効率化も検討します。9月のWGで方向性を議論し、12月の広域機関評議員会を経て、次回WGへ内容を示す予定です。
会合から確認できること
広域機関は需給監視や市場運営を担う組織から、電源と送電線へ長期資金を供給する組織へ役割を広げます。融資割合30%、純資産4%、高流動性資産8%という基準と独立した融資管理室は、国の資金を扱うための防波堤です。同時に、広域機関は295億円の運営予算と年4兆円弱の預り資金を扱い、職員も283人へ増えました。次期行動計画では、人材を育てながらAIで知識を引き継ぎ、増え続ける業務を安定して動かす具体策が焦点になります。