なぜ改正されたのか
電力自由化は競争と選択肢を広げました。一方、大型発電所や基幹送電線は建設費が大きく、投資回収に長い時間がかかります。需要の増加や脱炭素投資に対応するには、事業者が長期の資金を調達しやすい仕組みも必要です。
2026年改正は、投資資金、供給力の把握、取引市場の監督、太陽光設備の安全を一つの法案で見直しました。改正法は7月17日の参議院本会議で可決され、成立しています。
主な変更点
| 分野 | 変更 | ねらい |
|---|---|---|
| 電源・系統投資 | 国が計画を認定し、広域機関が融資 | 大規模・長期投資の資金調達を支える |
| 発電所の休廃止 | 一定規模以上は事前に送配電会社と協議 | 系統対策や代替供給力の準備を早める |
| 小売電気事業 | 長期間営業していない登録を取り消せる | 登録情報と事業実態を合わせる |
| 電力市場 | 中長期・需給調整の取引所を指定・監督 | 取引の公正性と信頼性を高める |
| 太陽光設備 | 支持物の工事前確認と関係事業者の協力 | 構造上の事故を防ぐ |
広域機関が電源・送電網へ融資
国が計画を認定事業の場所、規模、期間、資金計画、安定供給への効果などを確認します。
広域機関が融資認定を受けた大規模な発電所・送電網の整備へ資金を貸し付けます。
長期投資を補完政府資料は、民間金融だけで不足する部分を政策金融で補う考えを示しています。対象は、安定供給に重要な大規模電源や基幹的な送電網です。自動的に融資を受けられる制度ではありません。国の認定と広域機関の審査が必要になります。
連系線の混雑によって生じる収入について、国庫へ納付し、政府が広域機関へ補助できる仕組みも設けます。具体的な金額や案件への配分は、予算と個別審査を通じて決まります。
発電所の休廃止前に協議
協議は休廃止の許可制度ではありません
法律は対象規模の下限を10万kWとし、実際の基準は省令で定めます。協議を経ても発電事業者が休廃止を判断する仕組みは維持されます。送配電会社が一方的に運転継続を命じる制度ではありません。
小売登録と市場監督を見直す
太陽光設備の安全確認を強化
太陽光発電設備のパネルを支える架台などについて、工事の開始前に第三者が技術基準への適合を確認する制度を設けます。
事故調査や安全確保に必要なときは、設備の設置者に加え、製造、輸入、施工に関わった事業者へ情報提供などの協力を求められるようにします。対象設備、確認方法、協力を求める手続きは省令や運用で具体化されます。
施行までに確認すること
| 確認項目 | 現時点の状況 |
|---|---|
| 法律の成立 | 2026年7月17日に参議院本会議で可決・成立 |
| 公布日・法律番号 | 参議院の議案情報では7月23日時点で未掲載 |
| 原則の施行 | 公布から9カ月以内の政令で定める日 |
| 詳細ルール | 融資審査、休廃止協議の対象、市場監督、設備確認などを省令・運用で具体化 |
法律は制度の枠組みを定めました。どの案件が融資対象になるか、どの発電所が協議対象になるか、手続きに必要な書類は何かといった実務は、今後公表される政令、省令、ガイドラインを確認する必要があります。