なぜ改正されたのか
電力自由化は競争と選択肢を広げました。一方、大型発電所や基幹送電線は建設費が大きく、投資回収に長い時間がかかります。需要の増加や脱炭素投資に対応するには、事業者が長期の資金を調達しやすい仕組みも必要です。
2026年改正は、投資資金、供給力の把握、取引市場の監督、太陽光設備の安全を一つの法案で見直しました。改正法は7月17日の参議院本会議で可決され、成立しています。
主な変更点
| 分野 | 変更 | ねらい |
|---|---|---|
| 電源・系統投資 | 国が計画を認定し、広域機関が融資 | 大規模・長期投資の資金調達を支える |
| 発電所の休廃止 | 一定規模以上は事前に送配電会社と協議 | 系統対策や代替供給力の準備を早める |
| 小売電気事業 | 長期間営業していない登録を取り消せる | 登録情報と事業実態を合わせる |
| 電力市場 | 中長期・需給調整の取引所を指定・監督 | 取引の公正性と信頼性を高める |
| 太陽光設備 | 支持物の工事前確認と関係事業者の協力 | 構造上の事故を防ぐ |
広域機関が電源・送電網へ融資
国が計画を認定事業の場所、規模、期間、資金計画、安定供給への効果などを確認します。
広域機関が融資認定を受けた大規模な発電所・送電網へ、財政投融資などを使って資金を貸します。
民間資金を補完9月16日の貸付基準案では、財投等を使う2号貸付は認定計画の総借入額の30%を基本上限とします。協議による例外があります。対象は、安定供給に重要な大規模電源や基幹的な送電網です。自動的に融資を受けられる制度ではありません。国の認定と広域機関の審査が必要です。貸付基準案は2027年度以降、2号貸付総額の4%以上の純資産等と8%以上の高流動性資産を確保し、調整部門から独立した部門が審査・与信管理を行うとしています。
国が財投債などで資金を調達する流れと、補助金との違いは財政投融資(財投)の解説、2026年9月に示された融資基準と広域機関の体制は第8回検証WGの資料解説で確認できます。
広域機関が10月2日に公表した規程案への意見募集結果では、融資先の返済が滞った場合に特別会費を請求する条件を、条文へ明記する方針を示しました。広域機関が財政の健全性を確保する対応をしても、国への返済が難しい場合に限るという条件です。回答では、個別の事案ごとに国へ確認し、予算・事業計画の変更を評議員会や総会等で確認したうえで、国の認可を受ける想定も説明しています。これは意見への回答と条文修正の方針で、規程の認可・施行は別に確認します。
連系線の混雑によって生じる収入について、国庫へ納付し、政府が広域機関へ補助できる仕組みも設けます。具体的な金額や案件への配分は、予算と個別審査を通じて決まります。
発電所の休廃止前に協議
協議は休廃止の許可制度ではありません
法律は対象規模の下限を10万kWとし、実際の基準は省令で定めます。協議を経ても発電事業者が休廃止を判断する仕組みは維持されます。送配電会社が一方的に運転継続を命じる制度ではありません。
小売登録と市場監督を見直す
太陽光設備の安全確認を強化
太陽光発電設備のパネルを支える架台などについて、工事の開始前に第三者が技術基準への適合を確認する制度を設けます。
事故調査や安全確保に必要なときは、設備の設置者に加え、製造、輸入、施工に関わった事業者へ情報提供などの協力を求められるようにします。対象設備、確認方法、協力を求める手続きは省令や運用で具体化されます。
施行までに確認すること
| 確認項目 | 現時点の状況 |
|---|---|
| 法律の成立 | 2026年7月17日に参議院本会議で可決・成立 |
| 公布日・法律番号 | 2026年7月24日公布、令和8年法律第68号 |
| 原則の施行 | 公布から9カ月以内の政令で定める日。期限は2027年4月23日 |
| 詳細ルール | 融資審査、休廃止協議の対象、市場監督、設備確認などを省令・運用で具体化 |
具体化の一段階として、資源エネルギー庁は9月16日20時20分から10月15日23時59分まで、省令・告示等の案への意見を募集しました。対象は設備整備計画の申請・認定、広域機関の貸付基準、財務・会計、卸電力取引所の国庫納付、大規模電源の休廃止前の協議などです。意見募集は10月15日で締め切られました。10月18日時点で、この案件の結果公示は確認できていません。これらの省令・告示等は公募時の案で、公布・施行済みのルールとは区別して読む必要があります。e-Govの案件ページで公募要領と各案を確認できます。


