脱炭素制度

排出枠取引市場は1日1回・15時に約定へ 制限値幅は基準値段の±90%で基本設計案

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ひとことで

経済産業省は8月26日の産業構造審議会 排出量取引制度小委員会(第8回)で、2027年度秋頃に開設する排出枠取引市場の基本設計案を示した。開設日数は週5日(平日)、約定は1日1回で15時(注文時間は8時〜14時59分)、売買単位は1t-CO2、呼値の単位は1円、制限値幅は基準値段の±90%とする。市場はGX推進法に基づきGX推進機構が設置・運営し、業務の一部を専門性を持つ事業者へ委託する案も示した。

排出枠取引市場は、排出量取引制度(GX-ETS)の対象事業者が義務履行に使う排出枠を売買する場である。設計の参照先には、2023年10月に東京証券取引所が開設したカーボン・クレジット市場を置いた。同市場は週5日・1日2回の節立会で全期間平均70.2%の約定率を確保しているが、排出枠取引市場は開設当初の流動性が限られる可能性があるとして、節立会を1日1回に絞り、注文を1つの時点へ集約する。約定方式は、それまでの全注文を単一価格で一括約定する板寄せ方式を採る。

制限値幅は、誤発注を防ぐための必要最小限の措置と位置づけた。1日あたりの急激な価格変動を抑える効果がある一方で「本来の需給を反映した均衡価格への調整を遅らせ、価格発見機能を損なう可能性がある」とし、短期の価格変動は市場参加者の拡大と売却促進策で、中長期は上下限価格による価格安定化措置で対応する整理とした。上下限価格の発動要件は次回以降の小委員会で議論する。

市場参加者は3類型に整理した。制度対象者に加え、制度対象者ではないが子会社または関連会社である制度対象者から委託を受けて売買する親会社等を認める。ただしこの類型には自己勘定取引を認めず、委託売買だけとする。3つ目は取引の円滑化に寄与する事業者で、カーボン・クレジット市場で前年度に午後立会の約定時刻まで売り買い双方の気配提示を同時に行った日数が年間営業日数の50%以上あること、直近2年度の取引量が取引実績を持つ事業者の平均以上であること、金融商品取引法または商品先物取引法に基づく取引所の取引資格を持つことを求める。同市場の年間取引総量は2024年度が113万9,336t-CO2、2025年度が63万1,732t-CO2で、事業者あたりの平均取引数量は1万5,951t-CO2と1万108t-CO2だった。

参加者を絞るのは、本市場が「制度対象者の義務履行の円滑化を目的とする市場であり、金融投資を目的とする市場ではない」ためである。韓国のK-ETSが義務対象者だけで始めて取引が特定時期に集中し、その後にマーケットメイカー、証券会社と段階的に開放した経緯を挙げ、開設後の取引状況を見て範囲を見直すとした。非制度対象者が排出枠を抱え込むことを防ぐ保有上限の要否と、市場の監視方法は今後の論点として残した。

制度の執行面では、排出目標量や排出実績量の確認を担う登録確認機関について、8月26日時点で21社の申請を受け付け、うち日本品質保証機構、日本海事協会、EY新日本有限責任監査法人など14社を登録済みと報告した。制度対象者は9月30日までに制度対象である旨の届出と移行計画の提出を行う必要がある。小委員会は年末頃を目途に取りまとめる。

編集:TERA WHAT編集部

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