ひとことで
経済産業省は8月26日の産業構造審議会 排出量取引制度小委員会(第8回)で、中東情勢の影響を受けた事業者について排出量取引制度(GX-ETS)の割当調整措置を適用するかを検討すると示した。論点は、2023年度から2025年度の実績で決まる基準活動量の算定特例と、2026年度以降に活動量が7.5%以上減った場合の基準活動量引き下げの免除の2点である。措置の発動には経済産業大臣の告示が必要になる。
GX-ETSでは、事業者ごとの排出枠の量を、制度開始直前の3年度(2023〜2025年度)の生産量などの平均である基準活動量から算定する。制度上、この基準年度の途中で国内の経済活動に大きな影響を及ぼす事案が発生した場合、経済産業大臣が認めれば、影響を受けた年度の活動量を前年度の実績とみなして基準活動量を算定できる。事務局は「今般の中東情勢は2026年2月末より始まった」ため、事業者によっては2026年3月の活動量が平時と比べて著しく減っている可能性があるとして、この特例を講じる必要があるかどうかと適用範囲を検討課題に挙げた。
もう1点は割当年度の扱いである。直近2年度の活動量の平均が基準活動量から7.5%以上変動すると基準活動量を更新する仕組みだが、大きな影響を及ぼす事案が起きた場合には、大臣が認めれば引き下げを免除し、その年度は活動量の実績どおりに割り当てられる。中東情勢で一部業種の2026年度の活動量が一時的に減ると、基準活動量が下がって後年度の割当量まで減るおそれがあるため、免除措置の要否と適用の範囲・期間を検討する。
既存の措置に加え、制度設計時に想定していなかった追加対応の必要性も論点とした。事務局が例示したのは、政府の要請で同一業種内の特定の事業者が他社の減産分を補ったのに、増加率が7.5%未満にとどまるため割当量が調整されず、排出枠が不足する場合である。この場合には、当該業種のすべての事業者について活動量の実績に基づいて割り当てる措置も考えられるとした。
GX-ETSは、直接排出量が3年度平均で10万トン以上の事業者を対象に2026年度から義務制度として始まっている。事務局は、各業種における中東情勢の影響の実態を精査したうえで、必要に応じて今年度の小委員会で対応の在り方を検討するとした。今年度の審議事項には上下限価格の発動要件、2027年度の上下限価格の決定、売却促進策、割当量等の公表の粒度も並んでおり、年末頃を目途に取りまとめる。
編集:TERA WHAT編集部