補完オークションとは
電力広域的運営推進機関(OCCTO)が、2026年8月24日の第121回調整力及び需給バランス評価等に関する委員会へ諮った創設案です。資料は8月21日に公表されました。実需給の1〜3年前をまとめて募集し、コストベースのマルチプライスで供給力を調達します。費用は容量拠出金で負担する前提です。
まずは2030年度実需給までを念頭に置いた整理で、これまで別々に検討されてきた短期と中期の供給力確保策を一体化します。短期の確保策は、2026年度夏季の東京エリアで実施したkW公募の後継にあたります。
なぜ必要とされるのか
設備量が減っている
電源の新陳代謝が進むなかで休廃止が新設を上回り、設備量が減っています。
必要供給力は増えている
需要の増加などで、確保しなければならない供給力は増える方向にあります。
既存の枠で拾えない
既設の高経年電源の割合が多くなり、価格面やリクワイアメントなどの関係で応札されず、メイン・追加オークションで確保しきることが難しくなってきているのではないか、と資料は問いかけました。
補完オークションが対象とするのは、需給バランス評価に計上されていない供給力、つまり休廃止が予定されている電源です。計画段階から休廃止となっているため市場での収益が限定的で、事業者に維持のインセンティブが働きません。
1〜3年前をまとめて募集する
| 項目 | 案の内容 |
|---|---|
| 募集の単位 | 実需給1〜3年前の各年度に対して、まとめて募集する |
| 落札の決め方 | 複数年契約を含めて、トータルコストが最小となる組み合わせで決める |
| 約定方式 | コストベースのマルチプライス |
| 適用期間 | 1〜3年 |
| 対象電源 | 計画上休廃止となっている高経年電源 |
| 費用の負担 | 容量拠出金で負担する前提 |
毎年別の電源を確保するより、同じ電源を複数年まとめて調達するほうが、立ち上げコストを含めた総額が安くなります。発電事業者にとっても予見可能性が上がる、と資料は説明しています。
追加オークション・予備電源制度との違い
| 項目 | 補完オークション(案) | 追加オークション | 予備電源制度 |
|---|---|---|---|
| 役割 | 計画上休廃止となる電源を供給力として確保 | メインオークション後に生じた過不足の補正 | 休止電源を非常時の備えとして維持 |
| 時期 | 実需給1〜3年前を一括 | 実需給1年前 | 実需給2〜3年前 |
| 確保の性格 | 供給力 | 供給力 | 準供給力 |
| 契約期間 | 1〜3年(複数年契約を認める) | 対象年度 | 制度適用期間 |
予備電源制度との差は、準供給力として確保するか供給力として確保するか、つまり実需給断面における稼働の蓋然性の相対的な差にあたります。募集時期や対象電源は共通点が多く、資料は「個別に募集し契約するよりも必要に応じて立ち上げる可能性のある電源として一括で募集することも考えられるのではないか」とし、国と連携して検討を続けるとしました。
検討の経緯
2025年10月31日
第3回次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会。短期の追加供給力調達の在り方を、国と広域機関で早急に検討することとされた
2026年4月3日
第113回制度検討作業部会。費用を容量拠出金で負担する前提で、電源調達・運用の在り方、リクワイアメント、ペナルティ、還付の方法を検討することになった
残る論点と一次資料
調達基準
中長期の需給見通しのなかで、どの水準まで調達するかは決まっていません。
既存の枠との関係
追加オークション、予備電源制度との役割分担を整理する必要があります。
詳細要件
リクワイアメントなどの具体的な条件はこれから詰められます。
2031年度実需給以降については、長期脱炭素電源オークションやメインオークション、予備電源制度の見直しを含めた供給力確保策全体の国の議論を注視する、としています。