ひとことで
東京電力パワーグリッドは8月21日、温室効果ガスの六フッ化硫黄(SF6)ガスを使わない300kVのガス遮断器(GCB)とガス絶縁母線(GIB)を、基幹系統へ初めて採用すると発表した。GCBは2029年度、GIBは2030年度に導入する。機器は東芝製で、東芝によると300kVで自然由来ガスを適用したGCBと三相GIBの採用決定は世界初。
東芝が同日発表した内容によると、採用が決まったのはSF6ガスを一切使わず、自然界に存在する二酸化炭素と酸素を混合したガス(自然由来ガス)のみを適用した300kV用のGCBと三相GIB。自然由来ガスを適用した送変電機器のブランド「AEROXIA」の中核製品として開発しており、従来のSF6機器と同等の性能を確保するとしている。GCBは2029年度、GIBは2030年度を目途に納入する。
GCBは送電線に異常が発生した際に電流を遮断し、他の電力機器への影響を防ぐ機器。GIBは変電所内で電力を送る母線を、感電や故障のリスクを防ぐために絶縁性能の高いガスで封入した設備で、開閉装置と送電線や変圧器との接続部分をつなぐ。いずれも導体と金属タンクを電気的に絶縁するため、内部に絶縁性能の高いガスを封入する必要がある。
SF6ガスは絶縁性能に優れ、不燃性・不活性で化学的に安定していることから全国の変電所で広く使われてきた。一方で地球温暖化係数(GWP)が二酸化炭素の約25,000倍と大きく、1997年の気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で排出削減対象ガスに指定されている。国内の電気事業では電気事業連合会が定める自主行動計画に基づき、設備点検時や撤去時の排出抑制に取り組んできた。
東京電力パワーグリッドは2016年以降、産学一体の検討体制でSF6ガス代替検討会を主導し、その成果である「SF6代替技術を適用する際のガイドライン」でガスの安全性・環境適合性など7つの要件を定めた。今回採用するGCBとGIBは同ガイドラインに適合する。同社は2023年2月に72kVガス絶縁開閉装置を適用して以降、SF6ガスを使わない設備の導入を広げてきたが、基幹系統への適用は今回が初めてとなる。
東芝はこれまでに72/84kVのガス絶縁開閉装置(GIS)の製品化・受注と、420/550kV GIBの製品化を実現しており、300kV GISおよびGCBの基本性能も確認済み。同社はSF6ガスなどの人工的に合成されたフッ素ガスを使わない自然由来ガスを「送変電機器の脱SF6ガスの唯一の解決策」と位置付けている。300kV GCBとGIBを含むAEROXIAは、8月23日から28日までパリで開かれるCIGRE(国際大電力システム会議)大会の同社ブースで紹介する予定。
編集:TERA WHAT編集部