Bルートとは
スマートメーターは、計量した値を送配電事業者の検針システムへ送るだけの機器ではありません。同じ計量値を、宅内やビル内に置いた機器へ無線で直接渡す口も持っています。この口がBルートです。
Bルートは、需要家が自分の電力使用情報を自分で取り扱えるようにするために用意されました。EMS(エネルギーマネジメントシステム)やアグリゲーターの制御装置がこの経路でデータを受け取り、機器の制御やDRの応動確認に使います。
A・B・Cルートとの違い
| ルート | データの届く先 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Aルート | 一般送配電事業者の検針システム(HES・MDMS) | 遠隔検針、計画値同時同量、インバランス精算 |
| Bルート | 需要家側のEMS・アグリゲーションコントローラー | 見える化、機器制御、DR・アグリゲーション |
| Cルート | 送配電事業者を経由して小売電気事業者や第三者 | 料金請求、データ活用サービス |
| IoTルート | 特例計量器やガス・水道メーターのデータを中継 | 特定計量、ガス・水道との共同検針 |
BルートとCルートはどちらも申込みが必要です。違いは、Bルートが需要家の建物内で完結するのに対し、Cルートは送配電事業者のシステムを経由して外部へ渡る点にあります。
Bルートで取れるデータ
定時積算電力量(30分値)
30分ごとに確定する積算電力量です。正方向・逆方向の両方を取得できます。
瞬時電力・瞬時電流
いま何kW使っているかを、ほぼリアルタイム(ベストエフォート)で読み取れます。
有効積算電力量(1分値)
次世代スマートメーターへの更新後に取得できるようになる項目です。
データはECHONET Lite(ISO/IEC14543-4-3)の形式で提供されます。積算電力量と時刻の情報は、計量法の検定を受けたメーターから出るデジタルデータなので、Aルートの値と同じく取引・証明に使えます。
開通までの流れと日数
Bルートを開通できるのは、電気需給契約が結ばれている場所に限られます。需要家が一般送配電事業者へ申し込み(EMS販売事業者やアグリゲーターが代行することもあります)、契約者本人であることの確認を経て、Bルート認証IDとパスワードが契約者へ直接通知されます。IDとパスワードをEMS側へ入力すると接続が確立します。
標準処理期間は、申請を受け付けた日から10営業日に、送達日数の3営業日程度を加えた期間が目安です。繁忙期や設備の都合で、この期間内にIDとパスワードが届かない場合もあります。
通信方式は920MHzが主方式
| 主方式 | 補完方式 | |
|---|---|---|
| 低圧メーター | 920MHz帯無線(Wi-SUN方式) | 2.4GHz帯無線(Wi-Fi方式) |
| 接続台数 | 1対1接続 | 複数の需要家機器を接続可能 |
| 高圧・特別高圧メーター | Ethernet(有線) | 920MHz帯無線(Wi-SUN方式) |
一般送配電事業者10社はいずれも低圧の主方式に920MHz帯無線を選んでいます。設置は原則として主方式で検討され、補完方式は需要家の申請やアグリゲーター・EMS事業者の代理申請によって選ばれます。2.4GHz帯無線を使う仕様は、次世代スマートメーターの導入開始時から有効になります。
次世代スマートメーターで変わる点
複数機器がつながる
Wi-Fiは需要家のネットワークと共用し、複数の機器から同じメーターのデータを読めるようになります。
1分値を60分間ためる
通信が途切れてデータが欠けたとき、メーター側に残った1分値を後から読み戻せるようにします。
通信部だけ交換できる
計量部と通信部を分けた構造にし、無線方式が新しくなっても通信部の交換で対応できるようにします。
次世代スマートメーターへの置き換えは2025年度から順次進み、第6次エネルギー基本計画に沿って2030年代早期までの導入完了が目標です。現行メーターの検定有効期間が10年であることから、交換の時期に合わせて仕様を切り替える形になります。
実務で確認する点
Bルートを使う計画を立てるときは、対象の建物が低圧か高圧かで通信方式が変わること、開通までに2週間前後かかること、認証IDとパスワードの管理責任が需要家側にあることを先に押さえます。メーターを交換したときや引っ越したときは、Bルートの接続をやり直す手続きが必要になります。
1分値の取得や複数機器の同時接続は、そのメーターが次世代スマートメーターに置き換わっているかどうかで可否が変わります。導入時期は一般送配電事業者ごとの導入計画によるため、対象エリアの計画を確認してください。