制度のしくみ

低レベル放射性廃棄物

原子力発電所の運転や点検、解体にともなって出る、放射能レベルの低い廃棄物です。セメント等で固めてドラム缶に収め、専用船で青森県六ヶ所村へ運び、埋めたあと約300年かけて段階的に管理します。使用済燃料の再処理で出る高レベル放射性廃棄物とは別のものです。

更新日:2026.09.04

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どこから出るのか

原子力発電所や原子燃料サイクル施設では、施設の運転、点検、解体にともなって放射性廃棄物が出ます。このうち放射能レベルの低いものが低レベル放射性廃棄物です。定期検査のときの工事で出る金属類、プラスチック、保温材、フィルタ類、それに原子炉の水を浄化したときに出る濃縮廃液や使用済樹脂が中心になります。

使用済燃料を再処理したあとに残る高レベル放射性廃棄物とは、発生源も処分の方法も別です。低レベル放射性廃棄物は、放射能レベルに応じてさらに区分されます。

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2つの固化体

運ぶ前にドラム缶で固める
均質固化体

濃縮廃液などの液体状の廃棄物を、セメントやアスファルトを使ってドラム缶のなかで均質・均一に固めたものです。「均質」は、中身が場所によって偏らないという意味です。

充填固化体

金属類、プラスチック、フィルタ類などの固体状の廃棄物を種類ごとに分け、必要に応じて切断・圧縮・溶融処理してドラム缶に収め、セメント系充填材(モルタル)で隙間を埋めて固めたものです。

どちらもドラム缶が単位

200リットルのドラム缶が数え方の基本単位になります。輸送も埋設も、この本数で管理されます。廃棄体という言い方をする場合もあります。

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発電所での処理の流れ

液体と固体で道が分かれる
種類処理の流れ
液体ろ過・脱塩 → 蒸発濃縮 → 濃縮された廃液を貯蔵タンクへ → セメント等で固型化 → 均質固化体。蒸留水は原子炉冷却材として再利用するか、放射能を測って安全を確認したうえで海へ放出する
フィルタースラッジ・使用済樹脂貯蔵タンクで貯蔵して放射能を減衰させたのち、セメント等で固型化
固体金属類・プラスチック類・保温材・フィルタ類を種類ごとに分別 → 必要に応じて切断・圧縮または溶融処理 → ドラム缶に収納 → モルタルで固型化 → 充填固化体

溶融処理には専用ルツボ(キャニスタ)を使います。処理の目的は、体積を減らすことと、埋設後に中身が動かないよう固定することの2つです。

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どうやって運ぶか

専用コンテナと専用船
専用コンテナ長さ約3.2m、幅約1.6m、高さ約1.1m。空重量約1.2トン、最大総重量約9.2トン。主要材質は炭素鋼で、200リットルドラム缶を8本収納できる
専用運搬船低レベル放射性廃棄物専用運搬船。全長約100m、幅約16.5m、深さ約8m、総トン数約4,500トン、載貨重量約3,000トン。一度にドラム缶約3,400本(専用コンテナ約430個)を運べる
安全対策航海用レーダー2台に加え水深を自動で測るシステムと衝突防止システム/船体の底面と側面が二重構造/船倉を厚い鋼板とコンクリートで囲んで放射線を遮へい
航路発電所の港から青森県のむつ小川原港まで海上輸送する

関西電力の場合は専用船「青栄丸」を使います。2026年9月4日に公表された高浜発電所からの輸送では、9月5日に入港して9月12日に出港し、専用コンテナ200個に充填固化体のドラム缶1,600本を積む計画でした。

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どこに埋めるか

六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センター
運営日本原燃
所在地青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字野附
1号埋設施設40,960立方メートル(200リットルドラム缶204,800本相当)
2号埋設施設41,472立方メートル(同207,360本相当)
3号埋設施設42,240立方メートル(同211,200本相当)
最終的な埋設量約60万立方メートル
用地面積約340万平方メートル(ウラン濃縮工場用地を含む)
受け入れ対象原子力発電所の運転にともない発生する放射線レベルの低い廃棄物を、セメント等で固型化したもの
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埋めて終わりではない

約300年の段階管理

廃棄体を埋設したあと、日本原燃は約300年にわたって段階的な管理を行います。放射能が時間とともに減っていくのに合わせ、管理の内容を段階的に変えていく考え方です。埋設設備そのものにも、放射性物質の漏出を抑える構造が組み込まれています。

この期間の長さが、低レベル放射性廃棄物を「捨てる」と言わず「管理する」と表現する理由になっています。事業者は安全協定にもとづき、不適合や改善事項の件数を毎月公表しています。

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放射能レベルが高いものは別扱い

低レベル放射性廃棄物のなかにも、放射能レベルが比較的高いものがあります。これらは通常の埋設とは分けて、より深い地下へ埋める余裕深度処分が検討されており、日本原燃はその調査・研究を進めている段階です。

つまり「低レベル」とひとくくりにされていても、処分の方法は同じではありません。発電所の解体(廃止措置)が本格化すると発生量が増えるため、区分ごとの処分先をどう確保するかが実務上の課題になります。

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ニュースを読むときの3点

高レベルと混同しない

文献調査や最終処分場の話題は、使用済燃料の再処理で出る高レベル放射性廃棄物のものです。低レベルの埋設先はすでに六ヶ所村で稼働しており、別の話です。

単位はドラム缶か立方メートル

輸送はドラム缶の本数と専用コンテナの個数、埋設施設の容量は立方メートルで表されます。200リットルドラム缶5本で約1立方メートルの換算です。

輸送日程は変わりうる

入港日と出港日は予定であり、気象状況等で変更されます。事業者は実績を改めて公表するのが通例です。日付だけを見て確定と扱わないようにします。