会議情報
2026.08.28 第23回 制度設計・監視専門会合
資料3から資料5までを対象に、需給調整市場の約定単価と調達率、ブラックスタート機能公募の調達結果、地域間連系線の確保量を解説します。オンライン開催で、傍聴は受け付けずインターネット配信のみ行われました。
資料別の解説
資料3需給調整市場の運用等について開く
一次調整力は多くのエリアで未達が続く
2026年4月1日から8月10日までの運用状況が報告されました。一次調整力は北海道、中国、四国、九州の4エリアで充足しているものの、依然として多くのエリアで未達となっています。この期間は制度の切り替え直後にあたり、2026年3月13日に自然体余力の控除が終了し、翌14日に全商品の前日取引化と30分取引化へ移行しました。
三次②市場は7月に低下、複合市場は上昇
三次調整力②市場の7月の平均約定単価は全エリアで1.88円/ΔkW・30分となり、6月の2.45円から下がりました。ただし北海道、東北、四国では上昇しています。最高約定単価は北海道が66.92円から96.50円へ、東北が77.90円から96.50円へ上がりました。想定費用は九州エリアで6月の5.81億円から7月は1.68億円へ減り、事務局は平均約定単価と約定量がいずれも前月比で半分程度に減ったことが主な要因とみています。
| 市場 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
|---|---|---|---|---|
| 三次調整力② | 3.02 | 4.09 | 2.45 | 1.88 |
| 複合市場 | 2.89 | 3.05 | 2.64 | 2.91 |
複合市場の上限価格は2026年3月14日受渡分以降、15円/ΔkW・30分へ変更されています。これを超えた約定については個別に確認したうえで、いずれも15円を上限に精算されたことを確認済みとしました。
募集量を動かしているのは揚水の随意契約
2026年度の揚水発電機の随意契約は、東北と中部が4月1日、関西が4月4日、東京が5月26日、中国が6月10日に開始しました。関西エリアでは6月下旬以降に稼働量が増えたことで募集量が減少した一方、東京エリアでは7月中旬から稼働量が低下したこともあり募集量が高い水準となっています。事務局は「約定単価や調達費用の動向含め、引き続き動向を注視していく」としました。
資料本体:資料3「需給調整市場の運用等について」(PDF) 関連解説:需給調整市場、一次調整力・二次調整力
資料42030年度向けブラックスタート機能公募の調達結果開く
応札はすべて落札、東北と関西で未達
2030年度向けブラックスタート機能公募の落札案件は2026年7月13日に決定しました。全エリアにおいて応札案件がすべて落札となる一方、東北エリアでは2系統、関西エリアでは2ユニットが未達となっています。北海道エリアでは旧一般電気事業者以外からの応札・落札がありましたが、その他のエリアでは応札・落札とも全て旧一電からでした。
| エリア | 平均調達単価 | 調達額 |
|---|---|---|
| 北海道 | 49円/kW | 0.3億円 |
| 東北 | 73円/kW | 0.1億円 |
| 東京 | 3,299円/kW | 155.0億円 |
| 中部 | 1,120円/kW | 16.9億円 |
| 北陸 | 171円/kW | 0.4億円 |
| 関西 | 1,224円/kW | 10.7億円 |
| 中国 | 342円/kW | 4.1億円 |
| 四国 | 248円/kW | 1.7億円 |
| 九州 | 709円/kW | 7.8億円 |
東京の規模が突出している理由について事務局は「BS機能の必要量が大きく、BS契約を実施することで生じる逸失利益(容量市場など)が大きく生じていることに起因している」と説明しました。中部の平均調達単価は対象ユニットが確定しておらず送電端出力を特定できないため、想定される最も低い出力で算定した最大調達単価です。
単価の減少は算定方法の変更によるもの
名目上の平均調達単価と調達額は前年度向けから大きく減っていますが、これは応札価格の算定方法を変えたためです。従来は事後的に一般送配電事業者側で反映して精算していた容量市場の想定期待利潤を、2030年度向けから応札段階で応札価格へ反映することにしました。事務局は「実際の調達精算額は、以前から容量市場の想定期待利潤を控除した『評価用入札価格』をもって精算されているため、算定方法変更による実質的な社会コストの低減はない」と注記しています。2029年度向けの評価用入札価格と比べると大きな変動は見られません。
競争が限定的な前提での価格チェック
ブラックスタート機能を持つ電源は限られており、公募は今後も競争が限定的であると想定されています。不当に高い価格で入札された場合や、入札価格の低い電源が正当な理由なく落札されなかった場合に電気の使用者の利益を損ねるおそれがあるため、2019年10月の第42回と2020年12月の第52回の制度設計専門会合で入札価格の考え方が整理されました。今回、落札案件37件の入札価格の考え方を聴取したところ、6件がその考え方に沿って算定されていました。
資料5需給調整市場向けの連系線確保量開く
前日取引化のデータをためてから算出
2026年度9月以降に適用する需給調整市場向けの地域間連系線確保量の算出結果が報告されました。例年は1月から3月を目処に次年度の算出結果を報告していましたが、2026年3月14日の全商品前日取引化で分析に用いるデータの前提が変わるため、2026年1月の第17回会合では前年度の設定を当面継続し、3〜4か月程度の取引実績を蓄積してから算出することにしていました。
αは時間前市場へ残す容量
確保量は「α値」で設計します。αは時間前市場向けに残す連系線容量のことで、α値がスポット市場終了後の空き容量を超えたときは連系線が全て時間前市場のために確保され、α=0MWのときは全て需給調整市場のために確保されます。需給調整市場の入札は前日12時から14時に行われ、14時から15時の間に約定処理が行われるため、スポット市場の後・時間前市場の前という位置にあります。
| αを増やす | 時間前市場で他エリアの安価な電源が約定しやすくなり、卸電力市場で取引される発電コストが下がる |
|---|---|
| αを減らす | 需給調整市場で他エリアの安価な調整力電源を活用でき、調整力電源の発電コストが下がる |
今回は2026年のデータを使い、広域調達によるコストの削減額と、市場分断による時間前市場の調達額の増加を突き合わせて算出しました。未達が発生している場合は未達分をインバランス単価でコスト計算しています。算出結果は連系線ごとに順方向・逆方向へ分け、1日を3時間ずつ8つのブロックへ区切った単位で示されました。
過去にも実態に合わせて動かしてきた値
α値は固定ではありません。2021年5月の第61回制度設計専門会合と同年7月の第63回会合では、三次調整力②の調達量未達と市場分断が生じていたことを受けて2度引き下げています。事務局は今回の結果について「2026年度の各商品の取引実績や潮流の状況等を見ながら必要に応じ見直しを検討していくこととしたい」としました。
資料本体:資料5「需給調整市場向けの連系線確保量について」(PDF) 関連解説:時間前市場、三次調整力①・②