ひとことで
原子力規制委員会は9月2日の第30回会合で、原子力規制委員会人事戦略を決定した。職員の人材育成の基本方針を全部改正するもので、IAEAの総合規制評価サービス(IRRS)が人材計画と戦略の策定を勧告したことを踏まえた。示された職員データでは50歳以上が約5割、40歳以上は経験者採用が約7割を占め、審査・検査を志望する経験者採用応募者は16%にとどまる。
決定の直接の引き金はIAEAの勧告である。2026年に受け入れたIRRSミッションは、日本政府と規制委員会に24の勧告と19の提言を示し、そのうち勧告R2で「今後数年間にわたりその機能を遂行し責務を果たすために必要となる、十分な数の適格かつ有能な職員の確保に向けた総合的な人材計画及び戦略を策定すべきである」とした。勧告R3では、政府に対して職員の流動性を維持・促進する措置と人事の柔軟性の向上を求めている。
戦略案の作成にあたって集められた職員データは、高齢化の進行を示す。年齢層別では50歳以上が約5割を占め、40歳以上は経験者採用が約7割にのぼる。職種別に見ると行政職技術系は50代以上が約55%で偏りが大きく、行政職事務系は30代が約13%と中間層が薄い。規制庁は30歳から44歳の層が薄いことで、人事・会計における若手職員の教育者が不足していると指摘した。
採用の入口にも課題が示された。一般職技術系の採用者数には年による波があり、近年は審査官・検査官の採用が減少している。令和5年度から令和7年度の平均で見ると、規制委員会の中核的機能である審査・検査を希望する経験者採用の応募者は全体の16%で、2割を下回る。審査・検査分野では今後多くの定年退職が見込まれるため、5年から10年先を見据えた安定的な確保と育成が課題とされた。
人事戦略は「人が出会い・育ち・つながり、多様な専門性で支え合う強靭な組織へ」を目指すべき組織像に掲げる。重点方針は人材の裾野拡大と採用の強化、研修・配置・評価を連動させた人材マネジメント、多様な職員が自律し活躍する職場環境の整備の3つである。具体策として、Web広告などデジタル媒体を使った広報の強化、若手職員の規制事務所配属の推進、他省庁や自治体・民間との人事交流の促進とノーリターンルール・再就職等規制の課題整理が並ぶ。各部局は取組を年度業務計画に記載し、毎年度のマネジメントレビューで実施状況を確認する。
編集:TERA WHAT編集部