ひとことで
大成建設、東京電力ホールディングス、北海道電力の3社は8月17日、NEDOの委託事業「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究」に、コンクリート製浮体の低コスト化に関する技術開発が採択されたと発表した。期間は2026年7月から2028年3月まで。
浮体式洋上風力は、水深が深く着床式を置けない海域で使う方式で、風車を海に浮かべて係留する。その土台となる浮体をコンクリートで作り、設計・製造・維持管理を通じてコストを下げることが今回のテーマになる。
| 大成建設 | コンクリート製浮体の製造ガイドライン化に資する実証試験 |
|---|---|
| 東京電力ホールディングス | コンクリート製浮体における複合劣化の影響評価 |
| 北海道電力 | 光ファイバーセンシングによるひび割れ検知の適用性評価 |
材料の大半を国内で調達できる
コンクリート製浮体は、主要材料の大半を国内で調達できるため、材料の供給と価格が安定しやすい。コンクリート製造の既存のサプライチェーンや港湾インフラを使えることから、国内の供給網の強靭化や地域経済への貢献も見込まれる。
一方で普及・商用化には、浮体の設計・量産技術や係留技術の確立、地域受容性の向上に加え、品質確保、長期耐久性、点検・維持管理の合理化といった課題が残る。
疲労と塩分が重なる「複合劣化」を評価する
今回の事業では、コンクリート製セミサブ型浮体の製造実証試験、複合劣化の影響評価、光ファイバーセンシングによるひび割れ監視手法の適用性評価を一体で進める。
複合劣化は、波による繰り返しの力で生じる疲労と、海水由来の塩化物イオンの浸透が重なってコンクリートの劣化が進む現象を指す。光ファイバーセンシングは、光ファイバーケーブルをセンサーとして使い、ひずみや温度、振動などを測る技術。3社は風車の長寿命化を見据えて長期耐久性を確保し、実海域での実証につなげて国内初となるコンクリート製セミサブ型浮体の商用化を目指す。
3社は2024・2025年度のNEDO事業「フルコンクリート製コンパクトセミサブ型浮体および大水深係留の技術開発」でも基盤技術の検討を進めてきた。政府は2025年8月の「洋上風力産業ビジョン(第2次)」で、2040年までに浮体式洋上風力15GW以上の案件形成目標を示している。
編集:TERA WHAT編集部