再給電方式とN-1電制とは
送変電設備の容量を潮流が超える、または超えるおそれがある状況を「混雑」といいます。電力広域的運営推進機関(OCCTO)はこの混雑を前提にした系統利用のルールを整えており、その中に性格の違う2つの仕組みがあります。
N-1電制は、送電線の空き容量を広げて電源をつなぐための仕組みです。再給電方式は、つないだあとに混雑が起きたとき誰の出力を下げるかを決める仕組みです。順番に見ると役割の違いが分かります。
なぜ必要になったか
かつては、既存の発電設備の最大出力を踏まえて空き容量がない場合、系統が増強されるまで新たな電源の接続を認めませんでした。この考え方を改め、混雑時の適切な管理を前提に接続を柔軟に認めるようにしたのが「日本版コネクト&マネージ」です。
柱は3つあります。想定潮流の合理化、N-1電制、そしてノンファーム型接続です。さらに、接続された電源の価値を引き出すための混雑管理手法として、基幹系統に再給電方式が導入されました。
N-1電制:2段階で広がった
日本では系統の信頼性を確保するため、通常2回線ある送電線の一方が故障するN-1故障が起きても安定的に送電できる容量を確保して設備をつくってきました。裏を返すと、平常時はその容量が使われずに残っています。
N-1電制は、N-1故障が発生したときに電源を制限することを条件に、この容量を平常時に活用できるようにする仕組みです。
| 先行適用 | 本格適用 | |
|---|---|---|
| 開始 | 2018年10月 | 2022年7月 |
| 対象 | 特別高圧以上に接続する電源 | 既設電源を含むすべての電源をN-1電制の候補とする |
| 前提 | 自らが電制対象電源となること | 費用負担を前提に運用容量を拡大する |
再給電方式:一律制御からメリットオーダーへ
ノンファーム型接続で入ってきた電源は、当初は混雑時に一律で出力制御されていました。しかし再生可能エネルギーに適した場所は需要地から離れて偏在することが多く、適地での発電が制約されること、CO2排出が少なく限界費用の安い電源の価値を使い切れないことが課題となりました。
そこで、安定供給などを考慮したうえでメリットオーダー(運転コストの低い電源から順に稼働させる考え方)に従って出力制御する再給電方式が導入されました。基幹系統に接続する電源の出力を一定の順序で抑制し、それにより不足する電力量に応じて、混雑していない系統の調整電源をメリットオーダーに基づいて出力調整することで、需要と供給を一致させます。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2021年1月13日 | 空き容量のない基幹系統でノンファーム型接続の申込受付を全国で開始 |
| 2022年4月1日 | この日以降に接続検討を受け付けた案件のうち、受電電圧が基幹系統の電圧階級であるものは、空き容量の有無にかかわらずノンファーム型接続を適用 |
| 2022年12月21日 | 再給電方式(調整電源の活用)を導入。一般送配電事業者が調整力契約をしている電源を使って基幹系統の混雑を解消する |
| 2023年4月1日 | ローカル系統にもノンファーム型接続を適用 |
| 2023年12月28日 | 再給電方式(一定の順序)を導入。調整電源以外の電源も含め、一定の順序で出力制御する |
調整電源だけで処理できる混雑の量には限界があり、調整電源のない系統もあります。そのため2段階に分けて導入されました。ローカル系統では、再給電方式(一定の順序)と同様の出力制御方法をとり、調整電源を除くノンファーム型接続の電源は発電計画値の変更を伴います。
誰の出力が下がるのか
再給電方式(一定の順序)の開始時点では、各一般送配電事業者の中央給電指令所システムとデータ連携している基幹系統・ローカル系統に接続する電源が、原則として出力制御の対象になります。ファーム型接続かノンファーム型接続かで扱いが分かれます。
| 電源種別 | ファーム型接続 | ノンファーム型接続 |
|---|---|---|
| 調整電源 | 出力制御の対象 | 出力制御の対象 |
| 一般送配電事業者からオンラインでの調整ができない電源 | 出力制御の対象 | 出力制御の対象 |
| バイオマス(専焼、地域資源) | 原則、出力制御なし | 出力制御の対象 |
| 自然変動電源(太陽光・風力) | 原則、出力制御なし | 出力制御の対象 |
| 長期固定電源(水力・原子力・地熱) | 原則、出力制御なし | 出力制御の対象 |
「原則、出力制御なし」には例外があります。ファーム型接続の調整電源や、オンラインでの調整ができない火力などと、ノンファーム型接続の電源をすべて出力制御しても混雑が解消されない場合です。なお基幹系統とは各エリアの上位2電圧を指し、沖縄のみ13.2万Vの1電圧、北海道は50万Vがないため27.5万Vと18.7万Vになります。
いま議論されていること
再給電方式は、系統運用者である一般送配電事業者が出力制御を指示してメリットオーダーを実現する方式です。これに対して、市場の中で落札された電源から送電線を使う「市場主導型」への移行が検討されています。
市場主導型のうちゾーン制は、市場での取引量に対してエリア間の送電線容量が足りない場合に、混雑エリアだけで市場を形成(市場分断)する方式です。混雑エリアでは価格が下がるため、新しい発電所が空き容量のない地域を避けるという効果も期待されます。ノーダル制は、ゾーン制より狭い範囲できめ細かくメリットオーダーに基づく送電線利用を行う方式です。
資源エネルギー庁と電力広域的運営推進機関は、各エリア内の送電線へこれら市場主導型を導入することについて議論を進めています。先着優先からメリットオーダーへ、という流れの続きにあたります。