今回の要点
中長期の電気を売買する市場について、参加者の範囲、余った商品の転売と購入上限、3年前のミドル商品、地域ごとの価格差への対応を検討しました。
開催日:2026.10.20。この記事の公開日は2026.10.22です。
参加はまず電気事業者に限り、余った商品の転売を認める案
この市場は、小売会社が数年先の電気を調達し、発電会社も投資や燃料調達の見通しを立てやすくするために検討されています。第5回では、誰が参加するか、買い過ぎをどう防ぐか、昼間などに使う商品の範囲、地域ごとの価格差への対応を扱いました。
事務局は、当面の参加者を発電事業者・小売電気事業者など、JEPXの取引会員と同様の電気事業者に限る案を示しました。それに当たらない自己売買のトレーダーは参加対象に含めず、約定状況や売買注文量、転売の状況を見て範囲を見直す考え方です。
小売会社には、顧客の切替えや需要の変化で購入した電気が余る場合があるため、購入済み商品の転売を基本的に認める案です。同時に購入量へ上限を置き、特定の会社の買占めが他社の調達を妨げることを防ぎます。
上限の案は、商品を受け渡す年度の需要量です。過年度の販売実績量を基礎とし、3年前商品と1年前商品の購入量を合算します。共同調達の需要合算、新規登録会社の算定方法、転売後に購入枠が戻るかは整理が残ります。発電会社が電源を差し替えるために買う場合も、入札を認めるかを含めて別途検討します。
出典:資料3「中長期取引市場の詳細検討④」(PDF 5〜9頁)
3年前の商品にも、昼間などに使うミドル商品を追加する案
前回は、最低限用意する商品を「3年前はベース、1年前はベースとミドル」と整理しました。ベースは昼夜を通じて一定量を受け渡す商品、ミドルは主に昼間などの需要に対応する商品です。
しかし、昼夜の電気の使われ方が異なる小売会社が、3年前にベース商品だけで必要量を調達するのは難しいという意見がありました。第5回事務局案は、3年前にもミドル商品を用意するよう市場運営者へ求めます。
| 最低限用意する商品 | 3年前の1年物 | 1年前の1年物 |
|---|---|---|
| ベース商品 | 事後調整付き・事後調整なし | 事後調整付き・事後調整なし |
| ミドル商品 | 事後調整付き・事後調整なしを追加する案 | 事後調整付き・事後調整なし |
市場の開始時は供出する総量を定め、商品ごとの最低供出割合は設けない整理を維持します。1年間の取引と需要を確認し、必要な商品が不足する場合には、発電側が供出できる条件も考えて最低割合の導入を検討します。
出典:資料3(PDF 11頁)
市場の地域区分は開設直前の状況を踏まえて確定する案
地域を広くまとめると売買注文や参加者を集めやすく、発電所を特定されにくくする利点があります。ただし、取引の基準となる地域と実際に電気を使う地域の市場価格が違うと、その差の負担が生じます。小規模な小売会社が価格差への備えを利用できるか、公平な条件になるかが論点です。
事務局は、価格差が発生する頻度と大きさ、売り手・買い手の数、供出量、売り手への集中度などから判断基準を設ける案を示しました。地域の区分は開設直前の状況を踏まえて確定し、開設後も定期的に検証する案です。近時の価格差を踏まえると、東西二つより細かい区分も想定しています。
| 価格差に備える手段 | 資料が整理した利用上の条件 |
|---|---|
| 現物エリアスプレッド取引 | 反対方向に調整したい取引相手と電力量が必要。相対契約次第で3年前にも対応可能 |
| 間接送電権 | 既存の商品があるが、1年前に対応。3年前の事前確保には未対応で、連系線の空き等に制約 |
| 金融的送電権(FTR) | 国内では未導入。発行時期、量、精算条件などの設計が必要 |
| 電力先物 | 3年前・1年前に対応する商品があるが、対象地域や期間、売買注文の状況に制約 |
現物の地域間取引や電力先物には中小規模の事業者の利用実績もあります。各手段の利用条件や残るリスクを踏まえて、実際に調達できる市場範囲を検討する段階です。
出典:資料3(PDF 13〜17頁)
次に確認すること
購入上限の具体的な算定、転売後の枠、新規事業者と共同調達の扱い、発電事業者の買い入札、市場の地域区分と価格差対策が残ります。第5回の公式ページに議事録・議事要旨のリンクはなく、本文は配布資料の事務局案に基づきます。
一次資料と次に確認すること
議事次第・委員名簿は会合の情報として確認しています。議事録や要旨に記された結果がある箇所は本文で示し、配布資料だけの提案は事務局案として説明しています。
中長期取引市場検討WG