会議情報
2026.09.11 第123回 特定原子力施設監視・評価検討会
本ページは東電の6資料と原子力規制庁の5資料、計11資料を対象にしています。今回の進捗報告と、過去の制度検討・目標・審議記録の再掲を分けて整理しました。議事録に基づく解説ではなく、委員の発言や会合での採否は提出資料だけから推測していません。
資料別の解説
資料1-13号機 PCV内部気中部調査(マイクロドローン調査)について開く
圧力容器底部の構造と次の調査範囲
東電は2026年3月に撮影した映像などから点群データを作り、構造物の位置や厚さを図面と比較しました。原子炉圧力容器(RPV)底部とみられる構造物は図面寸法とおおむね一致し、同部分である可能性が高いと推定しています。最高飛行高さは原子炉を支える台座(ペデスタル)の底から約9.4mで、一時的に圧力容器内を飛んだと推定しました。
映像中の放射線ノイズを使った線量率の推定値は、台座の外で約0.5〜6.0Gy/h、内で約1.5〜7.5Gy/h。各地点を線量計で直接測った値ではありません。核種の違い、ノイズの多さ、明るさの急変などで実際の線量率と差が生じる可能性があるという注記付きです。台座内壁の約10cm×5cmの欠けも確認し、追加調査で再確認する方針です。
水位低下作業により、3月には水没していた格納容器の地下階が気中に露出しました。堆積物の分布や流出状況を把握するため、地下階を主な対象に2回目の調査を計画しています。通信機能を改良し、早ければ2026年度内の実施を目指します。
資料2-1リスクマップ改訂に係る当社検討事項への回答について開く
目標を「始めた時点」と「完了した時点」に分ける案
第122回の指示を受け、東電は2033年度の「実現すべき姿」に向けた短期目標の必要性と達成基準を整理する考えを示しました。後続の目標に支障がなくなる時点を基準に、項目ごとに着手と完了を分けます。例えば滞留水中のα核種除去は着手、分析第二棟の設置は完了を基準とする案です。
放射性物質のリスクは量だけでなく、保管状態や性状も考慮して定性的に評価します。まずCs-137を中心に使用済燃料と比較して大・中・小に整理する考えです。継続作業として手順が確立したHIC内スラリーの移替えは、短期目標への設定を見直す必要があるとしています。東電の提案であり、規制側の評価方法として確定したものとは区別します。
資料3-1プール燃料取り出しの進捗について開く
1号機は取り出し準備、2号機は63体まで進む
1号機のプールには使用済燃料292体と新燃料100体の計392体があります。1月19日に大型カバーの設置を完了し、ガレキ撤去、除染・遮蔽、燃料取扱設備の設置を進め、2027〜2028年度の取り出し開始を目指す工程です。カバーの換気・ダスト監視設備は、ガレキ撤去時の放射性物質の飛散を抑制・監視するためのものです。
2号機は6月2日に取り出しを始め、7月29日までに新燃料28体を共用プールへ移しました。8月4日から使用済燃料に移り、9月9日時点で新燃料を含む計63体を取り出しています。対象は計615体で、予定する全89回のうち9回目まで終えた時点の数字です。
1980年代にワイヤで修復した燃料1体は、8月18日の試験で緩みなどの異常なく吊り上げられることを確認しました。安全に移動する機器を準備し、他の燃料の後に取り出す計画です。
共用プールでは2号機の全615体を受け入れる空きが足りないため、10月から既存の使用済燃料を乾式キャスクに収納し、高台の仮保管設備へ移します。乾式キャスク6基程度の作業を予定しています。資料の移送後の空き容量は2号機から既に移した体数を反映しない試算のため、現在の実際の空き容量とは分けて読む必要があります。
資料4-1コア倉庫付近通信ケーブル測量工事における放射線管理上の不備に関する原因と対策開く
Gゾーンでも作業前の測定と情報共有を徹底する
6月4日、コア倉庫前のGゾーンでケーブルを調査した作業員5人に放射性物質の付着を確認しました。最大約170Bq/cm²で、東電によると内部取り込みはなく、同日中に除染を完了しています。翌5日には、作業場所の環境モニタリングを実施していなかった放射線管理上の不備が分かりました。
東電は、Gゾーンでは環境モニタリングが不要との誤認、作業場所の確定不足と情報共有不足、「初めて・変化・久しぶり」の作業として重点管理する認識の不足を原因として挙げました。対策は放射線防護の強化、モニタリングの実施確認、作業場所を確定する手順の明確化、変化のある作業の安全対策強化です。6月の発生事象と、今回の原因・対策の報告を分けて整理しています。
根拠:資料4-1 コア倉庫付近通信ケーブル測量工事における放射線管理上の不備に関する原因と対策(PDF 2、6〜7、14〜15ページ)
資料5-1実用発電用原子炉の許認可制度等に関する見直しの方向性開く
安全上の重要性に応じて手続きを分ける検討
6月24日の原子力規制委員会資料の抜粋を再掲しています。規制庁は、安全への影響に応じて、許認可による事前審査、変更前の届出、軽微な変更後の届出という3つの扱いに整理する方向を示しました。届出の場合も、事業者が基準への適合性を検証し、設計図書を保存することなどを前提に、必要に応じて規制検査で確認する考え方です。
地震・津波などの設計条件を別に認定する仕組みや、虚偽申請への罰則、設計根拠を後から検証できるようにする義務も検討対象です。福島第一を含む他の原子力施設への展開は、施設の特徴を踏まえて範囲を検討するとしています。6月時点の見直しの方向性であり、9月11日に制度変更が成立したことを示す資料ではありません。
資料5-2特定原子力施設の許認可制度等の見直しに関する当社要望について開く
7月21日の要望資料を再掲
資料の日付は2026年7月21日です。実用発電用原子炉の許認可制度等の見直しに関する意見交換会合の資料を、第123回でも使用しています。
東電は、2013年の実施計画の初回認可以降、300件以上の変更認可申請を行ってきたと説明しました。災害防止と核物質防護への影響がない変更については、変更前の届出と、その後の必要に応じた保安検査で確認する制度を要望しています。事業者による制度改正要望であり、この会合で届出制度の導入が決まったとは確認できません。
参考1中期的リスクの低減目標マップ(2026年2月版)を踏まえた検討指示事項に対する工程表開く
ALPSスラリーの工程は継続事項として読む
水処理で生じるスラリーの脱水処理は、工程表の目標欄が2030年度、運用欄が2030年度以降の予定です。これは9月に初めて示した延期ではなく、6月15日の前回工程表(PDF 4ページ)にも同じ時期が記載されています。機器配置や建屋形状の見直し、耐震設計などに時間を要するという説明も継続しています。
安定化処理設備の運用開始までは、高性能容器(HIC)の積算吸収線量が上限に達する前にスラリーを別の容器へ移す作業を続けます。資料には2026年度48基、2027年度23基、2028年度32基、2029年度24基、2030年度24基の計画を記載しています。これは線量の上限に達する容器を対象にした移替え計画で、スラリー全量やHICの総数を示す数字ではありません。
根拠:参考1 中期的リスクの低減目標マップ(2026年2月版)を踏まえた検討指示事項に対する工程表(PDF 3〜4ページ)
参考2中期的リスクの低減目標マップ(2026年2月版)開く
廃炉工程を評価するための規制側の目標
2月25日付のリスクマップです。施設全体の放射性物質の所在を踏まえ、長期的に実現すべき状態と、それに向けた目標を規制委員会が示します。2024年版で設定した2033年度に実現すべき姿を維持し、2026年2月時点の進捗や放射性物質の量・所在を反映したものです。
固形状の放射性物質の安定的な保管を優先し、汚染水対策、原子炉建屋内のリスク低減、設備の維持・撤去も扱います。参考1の東電の工程表と照らすことで、規制側の目標と事業者の作業予定を分けて確認できます。
参考3検討会におけるこれまでの審議状況等について開く
今回の議題が過去の検討とどうつながるか
過去の会合の開催日、議題、関連分野をまとめた一覧です。直前の第122回は6月15日で、リスクマップ改定、増設雑固体廃棄物焼却設備の復旧、リスク低減の進捗、固体廃棄物の分析計画、ALPS処理水の環境影響評価を扱いました。
この一覧は、今回の工程表やリスク管理の説明が以前から続く議論であることを確認する入口です。個々の案件が了承・完了したかどうかは、議題名だけでは判断できません。
参考4特定原子力施設の実施計画の審査等に係る技術会合の審議状況開く
2月時点の技術会合の整理を再掲
資料の日付は2月12日で、第29回技術会合までの審議状況を載せています。同回では固体廃棄物貯蔵庫第11棟の地盤と周辺斜面が地震時の安全機能に影響しないことを確認し、実施計画検査の要領改正案も扱いました。
非管理区域などから出る廃棄物の構外搬出では、協力企業への周知・教育と、汚染のおそれがある物品の混入防止を求めています。これらは2月までの審議記録で、9月の新しい認可や工事完了の報告ではありません。
参考5過去のコメントへの対応状況開く
未回答・継続中の課題を追う一覧
規制側が過去に求めた説明について、事業者の回答と回答見込みを整理しています。燃料デブリの取り出しから構内輸送・保管までの全体計画、水処理二次廃棄物の固化技術を選ぶ過程などは、資料上で未回答とされています。HICの寿命評価や保管方法には、一部回答済みでも継続扱いの項目があります。
2号機内部調査を踏まえた注水量変更の要否、複数のALPS系統の長期運用、処理水を数年単位でどの程度放出するかという説明も残る課題です。回答が記載されていることと、課題全体が解決していることを分けて読む必要があります。
今回の進捗と、今後確認すること
調査結果・作業実績と、将来の予定・制度要望を分けて読むことが必要です。3号機の次回調査、2号機燃料を受け入れるための共用プールの移送、リスクマップや許認可制度の扱いは、後続の公式資料で進捗と判断を確認します。
特定原子力施設監視・評価検討会