ひとことで
資源エネルギー庁は8月24日の第48回総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会に示した論点整理案で、原油等の代替輸送経路を確保するため、日本企業によるパイプラインの建設・増築等事業への参画を後押しする方向を示した。2026年3月以降にホルムズ海峡の船舶の通航が事実上困難となった際、サウジアラビア東西をつなぐEast-West石油パイプラインが活用されて代替調達が可能となった経験を踏まえたものである。
日本は化石燃料の大宗を海外に依存し、とりわけ原油は9割以上を中東から輸入している。1970年代の石油危機後、発電分野でLNG・原子力・再生可能エネルギーへの転換と省エネを進めた結果、原油の輸入量はピークだった1973年度と比べて2024年度は半減した。ただし中東依存度は1987年度に67.9%まで下がったのち、アジアの原油生産国における国内需要の拡大やロシアへの制裁の発動で供給源の選択肢が限られ、現在まで高い水準で推移している。
エネ庁がこれまでJOGMECのリスクマネー供給で後押ししてきたのは、日本企業が直接開発・生産に携わる上流権益の確保だった。今回の中東情勢の変化で、権益の確保に加えて輸送経路の確保も重要であることが、改めて顕在化したと整理した。実際、2026年3月以降にホルムズ海峡の通航が事実上困難となった際は、サウジアラビア東西をつなぐEast-West石油パイプラインが有効に活用され、代替調達が可能となった。
そこで、日本企業が有事を含めて代替輸送経路を利用する権利を取得し、石油等を安定的に日本まで運ぶために、油ガス田で生産された石油等を集荷して積出施設まで運ぶパイプラインの建設・増築等事業へ参画することが有用だとした。参画にはファイナンス面を含めた環境整備が必要で、利用量の見通しや収益の予見可能性という課題に対処する必要があるとしている。
海上保険も論点に挙がった。原油や天然ガス、それらを原料とする物資の調達は海外からの海上輸送に依存しており、代替供給を確保する場合も海上輸送が主な手段になる。その海上輸送には海上保険が欠かせないが、保険会社のリスク判断によって保険の提供に影響が生じる可能性が指摘されており、国際情勢の不安定化で保険の剥落による供給途絶リスクが一層顕在化したとした。調達先や輸送経路の多角化の具体策は、2026年7月24日に設置された「石油等の供給構造の強靭化ワーキンググループ」で早急に検討し、結論を得る。
編集:TERA WHAT編集部