ひとことで
JERAは8月26日、データセンターの電力使用量を柔軟に制御するソフトウェアを開発する米Emerald AI, Inc.へ、コーポレートベンチャーキャピタルのJERA Venturesを通じて出資したと発表した。Emerald AIは米ワシントンD.C.に本社を置くスタートアップで、AI処理の実行タイミングと実行拠点を電力系統の需給状況に応じてリアルタイムに調整する。JERA Venturesは総額3億米ドルの戦略的出資機能を持つ。
Emerald AIのソフトウェアは、電力需要が高い時間帯に一部のAI処理を需要の少ない時間帯へ振り替えるとともに、電力供給に余裕がある他のデータセンターへ処理を分散させる。利用者へのサービス品質を維持しながら電力使用のピークを抑え、既存の電力インフラをより効率的に使えるようにする。データセンター事業者にとっては、電力供給上の制約に対応しながら処理能力を広げられる。代表者はDr. Varun Sivaram。
データセンターの需要拡大で世界的に電力需要の増加が見込まれる一方、新設・増設では必要な電力容量の確保に加え、電力系統の接続容量不足と系統増強に期間を要する点が課題になっている。JERAは、発電設備、蓄電池、データセンターの運用制御を組み合わせ、需給状況に合わせてリアルタイムで電力使用量を制御することで、安定供給と処理容量の拡大を両立させる技術への期待が高まっていると説明した。
JERAは出資を通じて、データセンターと電力系統の協調運用や、データセンター併設電源・蓄電池を組み合わせた柔軟な電力利用に関する知見を得る。あわせて、Emerald AIのソフトウェア技術と、JERAグループが持つ発電事業、再生可能エネルギー、蓄電池、電力需給運用の知見を組み合わせ、データセンター事業者への電源・エネルギーソリューションの提供や国内外での事業機会の創出に向けた協業の可能性も検討するとした。
国内でも、データセンター向けの系統整備は制度面で動き出している。8月25日の電力事業環境整備ワーキンググループでは、需要の確定前に地内系統を先行整備し、広域機関が資金を貸し付ける制度の設計が示された。需要を抑えるのではなく需要側の運用で系統負荷を平準化する今回の技術は、供給側の系統増強と組み合わせて使われる位置づけになる。
編集:TERA WHAT編集部