制度のしくみ

J-クレジット

省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの活用、適切な森林管理による温室効果ガスの排出削減量・吸収量を、「クレジット」として国が認証する制度です。単位はt-CO2。電力の実務では、kWh単位で流通する非化石証書と何が違い、どの目的に使えるのかの整理が出発点になります。

更新日:2026.08.24

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J-クレジットとは

ボイラーやヒートポンプの更新といった省エネ、太陽光発電設備の導入などによる化石燃料の代替、定期的な間伐などの森林管理。こうした取り組みで生まれたCO2などの温室効果ガスの排出削減量・吸収量を、国がプロジェクト単位で認証し、売買できる「クレジット」にしたものです。

国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J-VER)制度が統合してできた制度で、国(経済産業省・環境省・農林水産省)が運営しています。創出した側は売却益や設備投資の回収に、購入した側は自らの排出量の埋め合わせ(オフセット)や各種報告に使います。

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非化石証書との違い

 J-クレジット非化石証書
単位t-CO2(排出削減量・吸収量)kWh(非化石電源の発電量)
元になる行為省エネ・再エネの自家消費・森林管理などのプロジェクト系統に供給された非化石電源の電気
認証・発行国が審査・認証して発行FIT電気などを基に発行され、市場で取引
主な取引の場相対、プロバイダー経由、東証カーボン・クレジット市場JEPXの非化石価値取引市場
高度化法の目標達成使えない使える(小売電気事業者の非化石電源比率)

いちばんの違いは「何を数えているか」です。J-クレジットは排出量の削減・吸収をトン単位で数え、非化石証書は非化石電源で発電された電気をkWh単位で数えます。太陽光の発電でも、自家消費した分の削減価値はJ-クレジットに、系統へ流した電気の非化石価値は非化石証書側に乗る、という整理です。

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クレジットの種類で使い道が変わる

再エネ電力由来 太陽光発電など、電力を自家消費したプロジェクトに由来するもの。CDP・SBT・RE100のいずれにも使えます。
再エネ熱由来 バイオマスボイラーなど、熱を自家消費したプロジェクトに由来するもの。CDP・SBTには使えますが、RE100には使えません。
省エネ・森林由来 省エネ設備や森林管理に由来するもの。温対法・省エネ法の報告やカーボン・オフセットに使えますが、再エネ調達量としては報告できません。

売り出しクレジット一覧や認証一覧の「再エネ(電力)」「再エネ(熱)」欄で、どの種類かを確認できます。同じJ-クレジットでも、由来によって使える目的が違うため、購入前に用途との対応を確かめる必要があります。

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RE100で使うときの制限

RE100では、再エネ電力由来のJ-クレジットを、他者から供給された電力(Scope2)に対する再エネ調達量として報告できます。ただし基準改定で制限が積み重なっています。

基準改定内容
2021年8月自家発電した電力(Scope1)には使用不可。敷地内で別会社が設置した発電設備由来の電力にも使用不可
2022年10月(2024年1月以降適用)原則として、設備稼働日から15年を超えたプロジェクト由来のクレジットは使用不可
2025年3月(2026年1月以降適用)原則として、石炭混焼を含む自然エネルギー由来電力のクレジットは使用不可

使うときは、J-クレジット登録簿システムで「無効化」の手続きを行います。無効化して初めて報告に使え、クレジットが持つ再エネ電力量(MWh)に換算して、埋め合わせたい消費電力量から必要なクレジット量(t-CO2)を逆算します。

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どこで買うか

相対・プロバイダー 創出者からの直接購入や、仲介事業者(J-クレジット・プロバイダー)経由での購入。制度サイトに売り出しクレジット一覧があります。
東証カーボン・クレジット市場 2023年10月11日に開設。マーケットメイカー制度があり、2025年9月に累計売買高が100万トンに到達しました。GX-ETSの超過削減枠も扱います。
制度事務局の入札販売は終了 政府保有クレジットの入札販売は2023年5月の第14回が最後で、以後は行われていません。経済産業省による売払いは同省の案内で確認します。
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実務で確認する順番

目的を先に決める 温対法・省エネ法の報告か、RE100などの国際イニシアチブか、取引先向けのオフセットか。目的によって使えるクレジットの種類が変わります。
由来と稼働日を確認する RE100に使うなら再エネ電力由来で、プロジェクトの設備稼働日が15年以内か、石炭混焼由来でないかを認証一覧で確認します。
無効化までが手続き 買っただけでは使ったことになりません。登録簿システムでの無効化と、目的詳細の記載までが一連の手続きです。
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