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制度解説

FIT・FIPとは

再生可能エネルギーの導入を後押しする2つの制度

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FITとFIPとは何か

FITとFIPは、どちらも再生可能エネルギーの導入を後押しするための制度です。 対象になるのは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギーです。 日本では、まず2012年7月にFIT制度が始まり、その後、再エネを電力市場によりなじませる仕組みとして、2022年度からFIP制度が導入されました。 資源エネルギー庁は、2023年度の電源構成に占める再エネの割合は22.9%に達したとしており、FIT・FIPはその拡大を支える中心的な制度として位置づけています。

FITとは:固定価格で買い取る制度

FITは、再エネで発電した電気を、一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。 発電事業者から見ると、売電価格と期間があらかじめ決まるため、初期投資の回収見通しを立てやすくなります。 資源エネルギー庁の説明でも、FITは発電設備の高い建設コストを回収しやすくし、再エネの普及を進める制度とされています。

その一方で、FITの費用は社会全体で支える仕組みになっています。 固定価格で買い取るためにかかった費用の一部は、電気を使う人が再エネ賦課金として負担します。 資源エネルギー庁は、再エネ賦課金は毎月の電気料金とあわせて回収されるとしており、2026年度の賦課金単価は1kWhあたり4.18円と公表しています。

FIPとは:市場で売ってプレミアムを受け取る制度

FIPは、再エネで発電した電気を市場で売ったうえで、あとから一定額を上乗せして支援する制度です。 FITのように固定価格でそのまま買い取るのではなく、発電事業者が卸電力市場や相対契約で売電し、その売電収入にプレミアムが加わる仕組みです。 資源エネルギー庁は、FIPを「市場連動型」の制度として説明しており、発電事業者は市場価格を意識しながら売電することになります。

FIPで支払われる上乗せ分は、基準価格 − 参照価格で決まります。 基準価格は、再エネ電気を効率的に供給するのに必要な費用などをもとにあらかじめ決める価格です。 参照価格は、市場取引などで発電事業者が見込める収入で、市場価格に連動して1か月ごとに見直されます。 この差額がプレミアムになり、発電量に応じて支払われます。 つまり、市場価格が高いと上乗せは小さくなり、市場価格が低いと上乗せは大きくなる仕組みです。

なぜFIPが必要になったのか

再エネの量が増えるほど、ただ固定価格で支えるだけではなく、電力市場の動きに合わせて発電や売電を考える電源になっていくことが求められるからです。 資源エネルギー庁は、再エネの主力電源化には、政策支援から徐々に自立し、一般の発電事業と同じように、発電事業者自らが計画を立てて市場の需給に応じた供給を行うことが重要だとしています。 FIPは、そのための途中段階の制度として導入されました。

FITとFIPの違い

FITとFIPの違いをシンプルに言うと、FITは「価格を先に固定して支える制度」、FIPは「市場で売ることを前提に上乗せで支える制度」です。 FITのほうが収入の見通しは立てやすく、初期の導入促進に向いています。 FIPのほうは、市場価格や需要の動きを意識する必要がありますが、再エネを電力市場に組み込みやすい仕組みです。 制度上も、FITは「調達価格・調達期間」、FIPは「基準価格・交付期間」という言い方が使われています。

最近の制度変更

最近のFIT・FIPは、価格だけでなく、事業の進め方そのものに関するルールも強化されています。 2024年4月施行の改正では、大規模電源や周辺への影響が大きい案件について、認定申請前の説明会が必要になりました。 小規模案件でも、一定の場合は事前周知が必要です。 あわせて、法令違反がある事業者に対してFIT・FIPの支援を一時停止する仕組みも導入されています。 再エネを増やすだけでなく、地域との共生や長期安定運営も重視する方向に制度が動いています。

まとめ

FITとFIPはどちらも再エネを増やすための制度ですが、役割は少し違います。 FITは、導入初期の再エネを固定価格で支える制度です。 FIPは、再エネを電力市場に組み込みながら、市場で売った収入に上乗せして支える制度です。 日本の再エネ政策は、FITで導入を広げ、FIPで市場とのつながりを強めていく流れで進んでいます。

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