発電側課金は、ひとことで言うと、送配電ネットワークを使う費用の一部を、電気をつくる側にも負担してもらう仕組みです。これまで託送料金は主に小売側、つまり需要家側が負担してきましたが、2024年度からは発電事業者にも一部の負担を求める制度が始まりました。電力・ガス取引監視等委員会は、現在の発電側課金の割合を託送料金全体の約1割程度と説明しています。
この制度が導入された理由は、大きく二つあります。ひとつは、送配電設備の増強費用を、これまでより公平に分担するためです。もうひとつは、発電所の立地によって送配電設備にかかる負担が違う以上、その違いを料金にも反映させた方が、ネットワーク全体のコストを抑えやすいと考えられたためです。制度説明資料でも、発電側課金の導入後は、価格転嫁を通じて、その電気を使う側にも費用が広く及ぶ仕組みになることや、送配電設備の追加増強コストが小さい地域の電源には負担軽減の考え方を入れることが示されています。
発電側課金の対象になるのは、基本的には系統に接続し、そこへ電気を流す発電設備です。ただし、逆潮が10kW未満の小規模な設備は当分の間、対象外とされています。一般送配電事業者の案内でも、原則として逆潮する発電設備が対象である一方、10kW未満の設備などは当面の間は請求対象外と説明されています。
料金のかかり方は一種類ではありません。発電側課金は、kW課金とkWh課金の二つで構成されており、当面は1対1の割合で実施される整理です。かんたんに言えば、発電設備の規模に応じてかかる部分と、実際に流した電力量に応じてかかる部分の両方がある、ということです。電力・ガス取引監視等委員会の説明資料や送配電会社の案内でも、この二部料金制が示されています。
この制度には、割引の仕組みもあります。送配電設備の追加増強コストが比較的小さい場所に立地する電源については、発電側課金の負担を軽くする考え方が採られています。これは、発電所の立地によって送配電網への負担が違うなら、その差を料金にも反映しようという発想です。一般送配電事業者のFAQでは、この考え方を系統設備効率化割引として案内しています。
FITやFIPとの関係も重要です。電力・ガス取引監視等委員会の資料では、2024年3月31日以前に認定を受けた既認定FIT・FIP電源は、調達期間や交付期間が終わってから課金対象とされ、2024年4月1日以降の新規FIT・FIP電源は、価格算定の中で発電側課金相当分を考慮したうえで課金対象と整理されています。非FITや卒FITは課金対象です。つまり、再エネ電源でも、認定時期や制度区分によって扱いが少し違います。
実務上は、発電側課金はそのまま発電事業者が抱え込む前提ではありません。制度上は、発電料金の一部として小売電気事業者に転嫁され、最終的には需要家側へ反映されていくことが想定されています。このため、相対契約でどう転嫁するかが大きな論点になり、国は「相対契約における発電側課金の転嫁に関する指針」を示しています。資源エネルギー庁の2025年白書では、2024年度の調査で「小売側が転嫁に応じない」といった事案は確認されなかったとされています。
発電側課金は、託送料金やレベニューキャップ制度ともつながっています。制度説明では、発電側課金はレベニューキャップ制度のもとで定める収入の見通しのうち、発電側に配賦する原価を回収する仕組みと整理されています。つまり、送配電会社に必要な収入全体が先にあり、その一部を発電側からも回収する形です。
発電側課金は、送配電ネットワークを使う費用の一部を発電事業者にも負担してもらう制度です。2024年度に始まり、現在は託送料金全体の約1割程度を発電側が負担する仕組みになっています。対象は原則として系統へ逆潮する発電設備で、料金はkW課金とkWh課金の二部料金制です。立地による割引や、FIT・FIPの認定時期による扱いの違いもあり、実務では相対契約への転嫁も重要なテーマになっています。