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特集 旧一電の地域と経営

会社を知る 第2回 東北電力

東北電力
東北・新潟を支える電源と経営

東北電力の歴史と地域の特色を、電源構成、2025年度の連結決算、設備投資から解説。女川原発の運転と追加工事、送配電の収支、データセンター誘致と今後の役割を詳しく紹介します。

公開日:

目次
  1. 1 東北6県と新潟県に根差す企業グループ
  2. 2 水力開発から電源の多様化と震災復旧へ
  3. 3 東北・新潟の産業と自然条件
  4. 4 現在の供給を担う火力・水力・原子力
  5. 5 2025年度の大幅減益(PL)
  6. 6 電源・送配電の資産と資金調達(BS)
  7. 7 投資と配当に使う資金(CF)
  8. 8 直近四半期の増収と減益
  9. 9 原子力・火力・再エネの投資計画
  10. 10 データセンター誘致と組織の管理
  11. 11 東北電力に今後求められること
  12. 参照資料

東北電力は、東北6県と新潟県で発電・小売、送配電、設備工事などを営む企業グループです。水力開発から火力・原子力へ電源を増やし、地震、津波、豪雪で被害を受けた設備を復旧してきました。地域との関係は、発電所や電線の整備と災害対応の歴史にも表れています。

現在は、営業運転を再開した女川原子力発電所2号機の運転と追加工事を続け、火力の更新や再エネへの投資を進めています。地域内外への電力販売で収益を確保し、設備と財務基盤を維持することが経営の課題です。2025年度は女川の再稼働による収支改善があったものの、販売・市場環境の悪化と送配電費用の増加などで大幅な減益となりました。

財務の数値は、2025年度(2026年3月期)の連結決算を基本としています。

1 東北6県と新潟県に根差す企業グループ

東北電力は1951年5月に設立され、本店は仙台市にあります。従来の供給地域は青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島、新潟の7県です。新潟県には東新潟・上越の火力発電所と水力発電所があり、同県の需要家への供給も事業の一部です。 〔 資料1 〕 〔 資料2 〕 〔 資料3 〕

2020年4月には送配電部門を東北電力ネットワークとして分社化しました。東北電力本体は主に発電・小売を営み、ネットワーク会社は電線・変電所の運用や系統接続を担います。小売で契約する会社を変えても、地域の送配電設備を使って電気が届きます。 〔 資料18 〕

グループには、設備工事のユアテック、発電設備の保守などを担う東北発電工業、燃料・電力取引を担う東北電力エナジートレーディング、通信の東北インテリジェント通信、情報システムの東北インフォメーション・システムズなどがあります。工事・通信・ITを含む事業構成が、グループの収益と地域でのサービス提供につながっています。 〔 資料4 〕

2025年度決算の業績概況は、発電・販売、送配電、その他に分けて説明されています。その他には、設備工事、不動産、DX・ITなどが含まれます。 〔 資料5 〕 〔 資料8 〕

ユアテックは2024年11月、連結子会社から持分法適用会社へ変わりました。東北電力の連結決算には、持分に応じた損益を反映します。 〔 資料21 〕 〔 資料5 〕

東北電力が保有する原子力発電所は、宮城県の女川と青森県の東通です。 〔 資料3 〕

2 水力開発から電源の多様化と震災復旧へ

東北電力は山地・河川を利用する水力を開発し、需要の増加に合わせて大容量の火力と原子力を加えてきました。沿岸の発電所と内陸の水力発電所を送電線で結び、現在の供給体制を整えてきました。 〔 資料2 〕

東北電力の電源と事業の主な変化
時期 出来事 現在の経営との関係
1951年5月 東北電力の設立 東北・新潟の地域を基盤に発足
1958年6月 八戸火力1号機の運転開始 大容量火力を追加
1969年 水力と火力の比率が逆転 需要増へ火力開発で対応
1984年 女川1号機・東新潟3号系列半量の運転開始 原子力と高効率LNG火力を導入
2005年12月 東通1号機の運転開始 原子力電源を拡大
2011年3月 東日本大震災 大規模な設備被害と復旧、原子力の長期停止
2020年4月 送配電部門の分社化 東北電力とネットワークで役割を分担
2024年12月 女川2号機の営業運転再開 原子力が発電・収支に再び寄与

出典: 〔 資料2 ・ 資料11 ・ 資料18 〕

1980年代に実用化した東新潟のコンバインドサイクルは、ガスタービンで発電し、その排熱で蒸気タービンも動かす方式です。必要な発電量を確保しながら燃料費を抑える技術で、現在の火力更新にもつながっています。 〔 資料2 〕

2011年の東日本大震災では、会社の沿革に記載された停電が486万戸に及びました。女川の3基は安全に停止し、地域住民が発電所で避難生活を送った経緯もあります。震災後には火力・送配電の復旧と、長期停止した原子力の安全対策への投資が続きました。 〔 資料2 〕 〔 資料11 〕 〔 資料20 〕

災害時の供給を維持するには、設備の耐災害性とともに応援体制、復旧に従事する技術者、自治体との情報連携を保つ必要があります。平常時の利益に直接表れにくい仕事も、地域の電力会社が継続して担う役割です。

3 東北・新潟の産業と自然条件

東北・新潟では、太平洋側、日本海側、内陸、都市と山間部で設備の配置と電気の使われ方が異なります。沿岸部の大型火力・原子力と、内陸の水力発電所群から、離れた需要地へ送電線を通して電気を届けます。 〔 資料3 〕

統合報告書2026で会社は、東北自動車道沿いを中心とする半導体・自動車関連企業の進出、大学・研究機関の集積を地域の成長要因として挙げています。同時に、人口減少・高齢化・過疎化、異常気象による農業・漁業への影響、災害の激甚化を地域課題として扱っています。地域全体の人口減少と、特定地点の工場需要の増加が並存する環境です。 〔 資料10 〕

日本海側の風力や、河川の水を使う水力など、地域の再エネを活用する条件もあります。水力発電所群は会津の水力運用センターで遠隔監視制御されています。自然条件の異なる多くの発電所を一つの運用体制で扱う技術と、各設備の保守が必要な事業です。 〔 資料17 〕

雪、洪水、地震への備えには、設備の更新費用と現場の人員が必要です。停電の回数と復旧時間は、備えの効果を確かめる指標になります。工場が進出する地点の増強と、需要が減少する集落の設備保全を両方続けることが、地域のネットワークの仕事です。

2025年度の小売販売量は、地域内外の顧客向けに約582億kWhでした。東北6県と新潟県全体の電力需要は約752億kWhです。 〔 資料5 〕

4 現在の供給を担う火力・水力・原子力

2025年度は女川2号機の稼働が供給実績に反映されました。自社発電の主力は火力です。 〔 資料5 〕

2025年度の東北電力本体の発電実績
区分 発電量 億kWh
水力 77.16
火力 432.01
原子力 51.99
新エネルギー等 0.54
合計 561.68

単位:億kWh。内訳・合計は公表値。出典: 〔 資料5 〕

掲載数値から計算すると、自社発電に占める割合は火力約76.9%、水力約13.7%、原子力約9.3%です。女川2号機の出力は82.5万kWで、年間の発電量は定期検査・追加工事や計画外停止の期間によって変わります。実際の発電量が火力燃料費と市場調達費に影響します。 〔 資料3 〕

水力発電量は前年度比13.6%増、出水率は100.6%でした。原子力発電量は前年度比129.4%増です。原子力の発電増は輸入燃料を使う火力の費用を減らす方向に働きます。 〔 資料5 〕

電力の調達には自社発電、他社からの受電、市場取引があります。 〔 資料5 〕 〔 資料4 〕

5 2025年度の大幅減益(PL)

東北電力の損益計算書(PL)では、2025年度の売上高は2兆3,724.2億円、経常利益は1,264.1億円、親会社株主に帰属する当期純利益は849.8億円でした。経常利益は前年度から50.8%、純利益は53.5%減少しています。 〔 資料5 〕

連結利益の変化

2024年度と2025年度の実績/億円

営業利益
2024年度 2,803.3
2025年度 1,603.8
経常利益
2024年度 2,567.3
2025年度 1,264.1
当期純利益(親会社株主に帰属)
2024年度 1,828.1
2025年度 849.8

年度は4月〜翌年3月。各科目の棒は同じ目盛り。出典: 東北電力 決算短信 。

東北電力の連結PL
科目 2024年度 2025年度
売上高 26,449.1 23,724.2
営業利益 2,803.3 1,603.8
経常利益 2,567.3 1,264.1
親会社株主に帰属する当期純利益 1,828.1 849.8
支払利息 259.3 310.6
有価証券評価損 特別損失 0 76.0

単位:億円。小数第1位に四捨五入。年度は4月〜翌年3月。出典: 〔 資料5 ・ 資料6 〕

女川の改善効果と販売・市場環境の悪化

女川2号機の再稼働による収支改善に対して、小売競争による契約の切り替え、産業用の稼働減、市場・販売環境の変化、送配電の需給調整費用の増加などが収益を悪化させました。小売販売量は4.4%減、卸売販売量は20.5%増でした。 〔 資料5 〕

内部取引消去前の経常損益は、発電・販売が1,266億円の利益、送配電が10億円の損失でした。送配電では調整力の調達費用増などが影響しました。料金が規制されている事業にも、調達費用によって収支が変わる負担があります。 〔 資料5 〕

その他の売上高は1,816億円で、前年度より930億円減少しました。会社はユアテックの連結範囲からの除外などを理由に挙げています。その他の経常利益は159億円で、外注費・固定経費の増加などから50億円減少しました。 〔 資料5 〕 〔 資料21 〕

電力先渡取引等の時価評価損

2026年4月30日の適時開示では、電力先渡取引等の時価評価損506億円を営業費用に計上したと説明しています。先渡取引は将来の受け渡し価格をあらかじめ決める取引です。2026年度の電力販売に向けた燃料・電力取引の一部を、年度末の市場価格で評価したところ、損失となりました。会社は中東情勢の悪化に伴う燃料・電力市場価格の急騰を理由に挙げています。 〔 資料6 〕

会社は、この評価損を2026年度に振戻し益として計上し、2期通算の収支には影響しないと説明しています。この評価損による現金の支出はありません。 〔 資料6 〕

経営計画で示す、燃料費調整制度のタイムラグと時価評価の影響を除いた経常利益は1,659億円です。財務諸表の経常利益1,264億円から一時的な影響を調整した、会社独自の説明指標です。 〔 資料9 〕

特別損失と支払利息の増加

純利益には有価証券評価損76.0億円が特別損失として影響しています。また、支払利息は前年度259.3億円から310.6億円へ増えました。 〔 資料5 〕

6 電源・送配電の資産と資金調達(BS)

貸借対照表(BS)に計上された2026年3月末の総資産は5兆7,318.6億円で、固定資産が約78.0%を占めます。発電所と送配電設備を長期に保有し、社債・借入金と自己資本で資金を調達する事業です。 〔 資料5 〕

東北電力の連結BS
科目 2025年3月末 2026年3月末
総資産 53,982.1 57,318.6
固定資産 42,562.6 44,732.9
建設仮勘定及び除却仮勘定 固定資産の内数 2,936.6 4,370.6
原子力発電設備 固定資産の内数 6,646.7 6,357.0
核燃料 固定資産の内数 1,439.0 1,417.3
負債合計 43,894.0 45,961.3
純資産 10,088.1 11,357.3
自己資本 参考値 9,851.8 11,113.4
自己資本比率 18.3% 19.4%

金額の単位:億円。小数第1位に四捨五入。出典: 〔 資料5 〕

送配電設備の残高

送電・変電・配電設備の帳簿価額を合計すると1兆6,415.4億円で、総資産の約28.6%に当たります。自社と新電力の契約者に電気を届けるための設備が、グループの資産の大きな部分を占めています。 〔 資料5 〕

帳簿価額は、設備の取得額から減価償却などを反映した会計上の残高です。

建設中の設備と原子力の資産

建設仮勘定及び除却仮勘定は4,370.6億円で、前年度末から1,434.0億円増えました。原子力発電設備は6,357.0億円、核燃料は1,417.3億円です。 〔 資料5 〕

設備工事では運転開始前に資金が出ていき、完成後に収益や費用削減が生じます。運転開始後には減価償却と維持費が発生するため、投資の効果と完成後の費用が収益に影響します。

自己資本比率は回復途上

自己資本比率は18.3%から19.4%へ上昇しました。自己資本は1兆1,113.4億円です。 〔 資料5 〕

自己資本比率の目標は2026年度に20%程度、2030年度に25%以上です。2026年6月末の四半期実績は20.0%でした。 〔 資料8 〕 〔 資料7 〕

負債合計は4兆5,961.3億円で、社債・借入金、買掛金、未払廃炉拠出金、退職給付などを含みます。 〔 資料5 〕

固定負債の社債は1兆6,117.0億円、長期借入金は1兆4,938.5億円です。社債と長期借入金の合計は3兆1,055.4億円で、前年度末から1,735.0億円増えました。1年以内に期限が到来する固定負債は3,850.4億円です。長期資金で設備を保有しながら、毎年の返済と借り換えを続ける調達構造です。 〔 資料5 〕

7 投資と配当に使う資金(CF)

キャッシュフロー(CF)は、現金の出入りを示します。2025年度の営業CFは3,701.6億円、投資CFは3,756.9億円の支出でした。営業CFと投資CFを足したフリーCFは55.4億円のマイナスです。純利益849.8億円を確保しましたが、事業から得た現金を投資への支出が上回りました。 〔 資料5 〕

現金の流入と流出

2025年度の連結キャッシュフロー/億円

営業CF +3,701.6
投資CF −3,756.9
財務CF +1,151.9

プラスは現金の流入、マイナスは流出。3項目はそれぞれの活動による収支。出典: 東北電力 決算短信 。

2025年度の連結キャッシュフロー
項目 億円
営業CF +3,701.6
投資CF −3,756.9
営業CF+投資CF(原数値から計算) −55.4
財務CF +1,151.9
期末の現金及び現金同等物 6,605.9

単位:億円。百万円単位の原数値から計算し、小数第1位に四捨五入。出典: 〔 資料5 〕

営業CFには、減価償却のように当期の現金支出を伴わない費用の調整と、売掛金・買掛金・税金などの増減が反映されます。投資CFには設備取得と投融資の回収などが入ります。 〔 資料5 〕

財務CFは1,151.9億円の流入で、長期借入による収入の増加などが影響しています。期末の現金及び現金同等物は6,605.9億円でした。この現金は設備投資、燃料調達、債務返済と事業変動への備えにも使われます。 〔 資料5 〕

統合報告書では、女川2号機の特定重大事故等対処施設や東北東京間連系線の工事によって、投資が高い状態にあると説明しています。投資回収に長い期間を要する設備について、事業に使う資金に対して得る利益を示すROICを、投資判断の指標に用いています。 〔 資料10 〕

会社が示すROICは2025年度実績2.6%、2030年度目標3.5%以上です。普通株式の年間配当は2025年度40円、2026年度予想40円で、当面は株主資本に対する配当の割合(DOE)2%を目安とする方針です。設備投資、財務の回復、株主への還元に資金を配分します。 〔 資料9 〕 〔 資料8 〕 〔 資料5 〕

8 直近四半期の増収と減益

2026年度第1四半期の連結売上高は7,853.0億円で、前年同期比46.7%増でした。経常利益は544.8億円で5.4%減、親会社株主に帰属する四半期純利益は361.3億円で4.2%減です。 〔 資料7 〕

売上には、地域間連系線を利用する間接オークションの自己約定分1,551億円が含まれます。例えば東北で発電した電気を東京で販売する場合、卸電力取引所へ東北で売り、東京で買う取引を同時に行います。会社は、この自己約定分には費用も計上するため収支への影響はないと説明しています。 〔 資料7 〕

第1四半期の小売販売量は前年同期比8.7%増、エリア需要は1.1%減でした。新規顧客獲得などで自社の販売が増える一方、地域では暖房需要の減少などがあったと会社は説明しています。利益には、女川2号機の定期検査に伴う稼働減と、燃料費調整制度のタイムラグ等による悪化が影響しました。 〔 資料7 〕

2026年9月28日には、11月1日から託送料金の変更を電気料金へ反映すると発表しました。自社の小売料金への反映と、他の小売・発電事業者向け託送料金の変更を合わせて、2026年度の連結収支を概ね300億円改善する見込みです。送配電の費用回収を通じて、グループの収支と需要家の料金負担が変わります。 〔 資料19 〕

2027年3月期の連結業績予想は未定です。中東情勢、燃料価格、ネットワークの需給調整関連収支などを理由に挙げています。中長期ビジョンでは、2026年度の経常利益目標を1,900億円としています。 〔 資料19 〕 〔 資料8 〕

9 原子力・火力・再エネの投資計画

女川2号機は2024年12月26日に営業運転を再開しました。再稼働後も、安全対策や使用済燃料への対応、定期検査が続きます。2026年9月29日の発表では、次回の定期事業者検査の開始時期を2027年7月へ変更し、所内常設直流電源設備の工事完了時期を2028年8月としました。特定重大事故等対処施設の工事完了時期も2028年8月です。 〔 資料11 〕 〔 資料12 〕

使用済燃料の乾式貯蔵施設第1棟は、着工予定を2026年12月、運用開始予定を2028年12月に見直しました。会社は審査・認可に向けた手続きと容器の製造工程を理由に挙げています。運転を続ける原子炉と並行して、使用済燃料を保管する設備の整備が進んでいます。 〔 資料13 〕

女川3号機と東通1号機では、再稼働に向けた審査等への対応が続いています。女川1号機は廃止措置を進めています。 〔 資料16 〕

火力では、東新潟の経年化した1・2号機を高効率の6・7号機へ更新する計画が、2026年度の経営計画に位置付けられています。上越1号機は57.2万kWから59.9万kWへ増出力しました。燃料費と排出量を抑える設備への更新を進めつつ、天候で変動する再エネと需要に対応する電源を確保する方針です。 〔 資料9 〕

再エネ事業には、発電所の保有、企業へ電気を長期供給するコーポレートPPA、蓄電池の運用、分散する電源・需要の制御があります。経営計画はPPAの受注と系統用蓄電池の運転開始を実績として挙げています。電気の販売に加え、契約と運用サービスから収入を得る事業です。 〔 資料9 〕

10 データセンター誘致と組織の管理

2026年9月の社長会見では、東北エリアの需要想定をほぼ横ばいから微減と説明しました。冷涼な気候、広い土地、再エネの可能性を生かしてデータセンターを誘致し、中長期的に2GW(200万kW)程度の需要創出を目指しています。 〔 資料14 〕

同会見では、宮城AIデータセンターを使うサービスや、自治体・通信会社・金融機関との連携も説明しています。地域住民の懸念する排熱、騒音、交通、景観に対応し、地域との共生を前提とする方針です。 〔 資料14 〕

誘致から収益を得るには、顧客との契約と供給設備の整備を進め、電力販売や通信・ITサービスから投資額を回収する必要があります。

東通では、核物質防護設備の性能試験等を十分に実施しない状態で、実施済みとして記録するなどの不適切な取り扱いが確認されました。会社は2026年2月18日、原因分析と計19項目の改善措置を原子力規制庁へ報告しました。 〔 資料15 〕

同発表では、防護システムに必要な性能・機能を確認し、直接原因への対策を2025年9月までに完了したと説明しています。根本原因として、業務を問い直す意識の弱さ、核物質防護の重要性に対する認識不足、本店や発電所幹部の現場への関与不足を挙げています。設備の性能確認後も、業務と組織の管理を改善する取り組みが続きます。 〔 資料15 〕

11 東北電力に今後求められること

東北電力には、7県の安定供給と、設備更新・脱炭素に必要な費用を回収できる経営が求められます。需要が減る地域の供給を維持しながら、工場やデータセンターへの新たな供給を準備する会社だからです。

家庭・中小企業には料金とサービスの条件を説明し、災害時には停電状況と復旧見通しを伝える必要があります。産業顧客には供給開始時期、品質、脱炭素の条件を示し、自治体とは立地と防災の課題を調整します。発電所の立地地域には、運転、工事、燃料・廃棄物、防護の情報を継続して伝える責任があります。

設備投資を進めながら現金と自己資本を確保することが、財務面の課題です。女川2号機では運転再開後も定期検査と追加工事による停止・支出が続くため、稼働実績が投資回収に影響します。

今後の注目点
確認項目 確かめたい内容
女川の運転・追加工事 稼働率と停止期間、周辺設備の工程が想定どおり進むか
発電・販売の利益 小売・卸の販売条件と調達費用を合わせて採算が改善するか
送配電の収支・供給品質 調整力調達と設備更新の負担を抑え、供給を維持できるか
営業CFと投資CF 投資の回収が進み、資金調達と還元の余地を確保できるか
地域の新しい需要 誘致目標が契約・工事・操業・販売実績へ進むか
組織の安全管理 検査・記録・幹部の関与などの改善が継続して機能するか

参照資料

出典は会社と公的機関の公表資料です。

  1. 資料1 東北電力 企業情報と会社概要

    従来の供給地域、経営理念。2026年10月4日閲覧。

  2. 資料2 東北電力 沿革

    1951年創業、水力・火力の移行、原子力導入、災害対応。2026年10月4日閲覧。

  3. 資料3 東北電力 事業所・発電所一覧

    県ごとの発電設備、女川・東通の所在地・出力。2026年10月4日閲覧。

  4. 資料4 東北電力 企業グループ紹介

    発電、再エネ、送配電、工事、DX・ITなどの事業会社。2026年10月4日閲覧。

  5. 資料5 東北電力 2026年3月期決算短信

    2026年4月30日。表紙、添付pp.2–4、6–8、12、14–15。連結財務諸表、個別発受電量、各事業の業績。

  6. 資料6 東北電力 電力先渡取引等の時価評価損の計上

    2026年4月30日。営業費用に計上した506億円、振り戻しとCFの説明。

  7. 資料7 東北電力 2027年3月期第1四半期決算短信

    2026年7月29日。表紙、添付pp.2–4。自己約定分1,551億円、売上・利益と需要の集計範囲。

  8. 資料8 東北電力グループ中長期ビジョン

    2026年度・2030年度の財務目標。2026年10月4日閲覧。

  9. 資料9 2026年度東北電力グループ経営計画

    2026年4月。pp.2、5–12。調整後利益、火力更新、再エネ・蓄電池、事業展開。

  10. 資料10 東北電力グループ統合報告書2026

    本文pp.3–5の社長メッセージを画像でも確認。地域産業、投資回収、連系線、資金配分。

  11. 資料11 東北電力 女川2号機の営業運転再開に関する社長コメント

    2024年12月26日。再開日、安全対策、震災時の停止。

  12. 資料12 東北電力 女川2号機の直流電源設備の工事完了時期見直し

    2026年9月29日。次回定期検査の開始2027年7月、工事完了2028年8月。

  13. 資料13 東北電力 女川2号機の乾式貯蔵施設の時期見直し

    2026年9月29日。第1棟の着工2026年12月、運用開始2028年12月。

  14. 資料14 東北電力 2026年9月定例社長記者会見

    2026年9月24日。需要見通し、DC誘致2GW目標、地域との共生。

  15. 資料15 東北電力 東通の核物質防護に関する原因分析と改善計画

    2026年2月18日。不適切な記録、性能確認、原因分析、改善措置19項目。

  16. 資料16 東北電力 原子力部門の事業紹介

    女川2号機の運転、女川3号機・東通1号機の再稼働に向けた業務、女川1号機の廃止措置。2026年10月4日閲覧。

  17. 資料17 東北電力 水力部門の事業紹介

    水力発電所群の遠隔監視制御と会津の運用センター。2026年10月4日閲覧。

  18. 資料18 東北電力 送配電部門の分社化に関する案内

    2019年10月23日。2020年4月からの東北電力とネットワークの役割。

  19. 資料19 東北電力 託送料金の変更に伴う電気料金の見直し

    2026年9月28日。pp.1–2。11月1日の料金改定、約300億円の連結収支改善見込み、年度業績予想は引き続き未定。

  20. 資料20 東北電力 CSR報告書2018 詳細版

    女川発電所での地域住民の避難生活と震災対応。

  21. 資料21 東北電力 ユアテックの連結子会社から持分法適用会社への異動

    2024年11月1日発表。11月6日の異動予定と資本構成見直しの理由。実施後の扱いは2025年度決算でも確認。