今回の要点
中部電力ミライズと関西電力の料金誤算定への対応、送配電10社の投資計画の進捗が示されました。2028〜2032年度の第2規制期間に向け、年度ごとの送配電料金や物価・金利変動の反映方法を検討する案も説明されています。
開催日:2026.10.23。この記事の公開日は2026.10.23です。
料金を払い過ぎた利用者への返還方針
中部電力ミライズは、2024年4月1日〜2026年10月31日に特定小売供給約款の契約があった利用者を対象に返還する方針です。この約款は、家庭など向けの規制料金の契約条件を定めています。11月1日に料金単価を是正し、契約が続いている利用者には12月分から順次、電気料金へ充当して返還します。精算額は単価差、契約電力・容量、設備内容、使用期間、契約履歴などから算定します。
契約を終了した利用者も対象に含め、郵便、電話、専用ウェブ受付などを組み合わせた連絡方法を検討しています。具体的な方法は追加報告する予定です。
関西電力は、2026年8月末時点で約492万件に影響が生じ得ると説明しました。対象期間は2024年4月分〜2026年11月分の最大32カ月。1カ月当たりの影響は原則最大1円で、契約容量・電力が50kWを超える契約など約40件は最大2円です。契約終了済みの利用者にも返還機会を設ける方針で、方法と実施時期は検討中です。
出典:資料3-1 中部電力ミライズ提出資料(PDF 8頁)
出典:資料3-2 関西電力提出資料(PDF 7頁)
計算誤りの原因と、報告・点検方法の見直し
両社の誤りは、2024年4月の発電側課金導入に伴う料金計算で生じました。国は2026年9月に報告を求め、両社の9月29日の回答後、原因分析と再発防止の徹底などを指導しています。
中部電力側は2024年1月に算定誤りを認識し、2月初めには原価への影響を約17億円と把握しましたが、修正せず届出を行う方向となりました。ミライズ側が当時誤りを認識していたと裏付ける客観的記録は確認できなかったと説明しています。2026年の再精査で、原価への影響額は27億円となりました。これは原価の算定への影響額です。
原因には、社内の判断を優先する組織風土、担当者・審査者の制度理解不足、報告責任と記録の不備を挙げました。複数者による点検、計算式・参照データの可視化、影響額を問わない部門長への報告、判断の文書保存を進めるとしています。
関西電力では、発電側課金の割引判定に使う電圧の定義を取り違え、本来より低い割引単価を適用しました。規制料金の原価を3年間で約1,400万円過大に算定したと説明しています。用語と適用条件を確認する手順を明確にし、料金変更後の請求内容も照合する対策を示しました。
出典:資料3 事務局提出資料(PDF 2頁)
出典:資料3-1(PDF 3〜7頁)
出典:資料3-2(PDF 3〜6頁)
設備の増強・更新は、工事量と費用を分けて評価
資料4は、第1規制期間(2023〜2027年度)のうち、2025年度までの進捗を評価しています。広い地域を結ぶ送電網の整備はおおむね計画どおりですが、地域内の送電・変電設備や配電設備の増強は、全体として投資量が計画を下回りました。特に配電設備の需要・電源への接続対応は、全10社で計画を下回っています。
需要の減少、接続申込みの変更・取下げ、機器の納入遅延、用地交渉、工事で停電させる日程の調整、施工力の確保などが要因です。保全では、送電・変電設備の更新に遅れがある一方、配電設備の実施量は概ね計画を上回りました。必要な工事を進めるため、早期発注と資機材・施工力の確保を続けるとしています。
停電対応の評価対象は、低圧電灯の利用者に生じた停電のうち、設備不備、保守不備、作業者の過失など会社内部の要因による停電量です。2023〜2025年度平均では7社が自社の2017〜2021年度平均を上回り、中部PG、関西送配電、四国送配電、沖縄電力の4社が、現時点で収入上限を引き下げるペナルティの適用基準に該当しました。判定には停電量の増加率と販売電力量に対する停電量の割合を使います。
出典:資料4 期中評価(PDF 35〜36・40〜42・46〜48・132頁)
次世代投資は、完成した設備への投資額にも遅れ
再エネの導入や送配電網のデジタル化などを進める次世代投資では、2023〜2025年度累積の竣工ベースの実績が承認額を下回りました。これは、完成した設備を基準に集計した金額です。工事・開発工程の後ろ倒し、機器の納入遅延などが影響しています。
| 事業者 | 2023〜2025年度の承認額 | 同実績額 |
|---|---|---|
| 東京電力PG | 794.8億円 | 402.2億円 |
| 関西電力送配電 | 588.8億円 | 480.5億円 |
| 沖縄電力 | 97.4億円 | 13.9億円 |
表の関西送配電を含め、関西・中国・九州の経過年数累積には、過年度評価の集計誤りを修正した値を使っています。投資額の差が、工事量、単価、実施時期のどの変化によるものかを確認することが、次の費用審査にも関わります。
出典:資料4 次世代投資計画と総括(PDF 119〜132頁)
2028年度以降は、年度ごとの送配電料金を検討
レベニューキャップ制度は、送配電会社が5年間の事業計画に必要な費用を見積もり、国が収入上限を承認する仕組みです。家庭や企業へ電気を届ける網の利用料である託送料金を、その上限の範囲で設定します。
第2規制期間は2028〜2032年度。事務局は、各年度の費用見積額を基準に託送料金を設定する案を示しました。これまで原則として5年間同じ料金を設定してきた方法を見直す方向です。費用を審査するときは、過去の平均値と最新の物価・金利の状況を確認する考え方も示しています。
期間中の物価・金利の変動には、初めに計算式を定め、ある年にその前年までの直近一定期間の変動を評価し、翌年の料金へ反映する手法を検討します。容量拠出金や調整力費用、投資費用などを期間中の料金へ反映する必要性・審査方法も論点です。料金水準、対象費用、計算方法と手続きは今後の検討事項です。
出典:資料5 収入上限・料金設定の論点(PDF 16〜21・23頁)
18項目の目標と、投資で得られる効果の関係を整理
現行制度は、安定供給、再エネ導入、サービス向上など7分野に18の目標を設けています。事務局は、第2規制期間に向け、重点的に取り組む目標を明確にする方向を提案しました。多数の目標への対応で管理負担が増え、取組の焦点が曖昧になる面があるとしています。
次世代投資についても、個別の設備・技術開発がどの目標をどう改善するかを明確にする案です。災害対応力、再エネ導入、デジタル化や省人化の効果と費用を結び付けて評価できるよう、対象範囲と目標との対応関係を整理します。
10月23日時点の公式一覧には第79回の議事録・要旨が掲載されていません。制度変更については配布資料の事務局案として説明しています。次に確認するのは会合の結論、具体的な算定方法、返還案内の追加です。
出典:資料5 事業計画・次世代投資(PDF 9〜14・23頁)
一次資料と次に確認すること
- 資料1 議事次第(PDF形式:93KB)
- 資料2 委員等名簿(PDF形式:169KB)
- 資料3 特定小売供給約款における誤算定について(PDF形式:446KB)
- 資料3-1 特定小売供給約款の変更届出における原価算定誤り(経緯、原因及び再発防止策)(中部電力ミライズ株式会社提出資料)(PDF形式:1,134KB)
- 資料3-2 原価算定および単価設定の誤りについて(関西電力株式会社提出資料)(PDF形式:706KB)
- 資料4 レベニューキャップ制度の第1規制期間における事業計画の概要・2025年度までの期中評価(目標計画・次世代投資計画)について(PDF形式:5,070KB)
- 資料5 レベニューキャップ制度の第2規制期間に向けた検討課題について(事業計画、収入上限・料金設定)(PDF形式:1,580KB)
議事次第・委員名簿は会合の情報として確認しています。議事録や要旨に記された結果がある箇所は本文で示し、配布資料だけの提案は事務局案として説明しています。
料金制度専門会合