今回の要点
家庭や工場が電気を使う時間を調整するDRと、系統用蓄電池の運用実態を確認しました。市場への参加、再エネの吸収、地域への説明、広報の課題を整理します。
開催日:2026.10.13。この記事の公開日は2026.10.22です。
電気を使う時間や量を調整する仕組みの実態を確認
DRは、電気の需給に合わせ、家庭や工場が電気を使う時間・量を調整する仕組みです。電気が足りないときの使用抑制に加え、太陽光の発電が余る時間へお湯を沸かす作業や充電を移すことも含みます。
第4回は、需要家の機器と、送電網へ直接つなぐ大きな蓄電池を分けて実態を確認しました。今後の施策の方向を話し合うための資料で、ここに挙げた案は制度の確定を意味しません。
出典:資料1(PDF 2〜3・23〜24頁)
家庭の機器は多いが、遠隔制御や参加の仕組みに課題
資料は、家庭用蓄電池、高効率給湯器、EVを合わせた保有台数が1,000万台規模にあるとしています。実際に遠隔操作できる機器や、サービスへ接続した機器はその一部で、導入済みの全機器がDRへ参加しているという意味ではありません。
家庭の小さな機器を束ねる費用、計測用の無線端末の認証、通信・データ連携の方法が課題です。買い替えには時間がかかるため、既存の機器をインターネットで制御できるようにする対応も検討します。
産業分野では、生産時間を移す、発電設備や蓄電池を使うといった取組があります。22社の2023年度実績の調査では、使用量を減らすDRが約5,000万kWh、増やすDRが約200万kWhでした。回答した事業者の合計で、全国の全実績ではありません。今後は実績を継続的に把握する仕組みも検討する方針です。
出典:資料1(PDF 20・23〜24頁)
大きな蓄電池は、調整力を売る市場への収益の偏りを確認
導入支援事業に採択され、運転を始めた系統用蓄電池の2025年度データでは、電気の需給を細かく合わせる需給調整市場を使った運用が中心でした。スポット市場で安い時間に充電し、高い時間に売る運用と比べ、調整力の取引による収入と約定回数が大きかったためです。
今後は同市場の募集量・上限価格の見直しと、蓄電池の新規参入により収益構造が変わる可能性があります。収入の比較には含まれない市場や費用もあり、資料の平均収入をそのまま各設備の利益に置き換えることはできません。
太陽光の出力を抑える時間帯に蓄電池が充電した事例も確認しました。ただし、公表データは送配電会社が把握する一部の設備が対象です。余った再エネを吸収する役割をどう増やすか、長時間ためる技術の実証支援をどうするかが、今後の論点です。
出典:資料1(PDF 29・31・40〜41・43〜45・48頁)
地域へ説明し、安全に運営する指針は骨子を検討中
参考資料2は、第3回で提示した施策の進み具合を整理しています。系統用蓄電池のガイドラインは、安全と地域との共生を目的に、計画から撤去・処分までの法令、地域への説明、保守管理などを整理する案です。関係機関との調整を続ける段階です。
接続手続きや通信機器の安全要件は、別の次世代電力系統WGでも検討されています。具体的な適用時期は、電源と電圧を分けて確認する必要があります。
出典:参考資料2 施策の対応状況(PDF 9〜12・15〜22頁)
広報は、言葉の認知から参加までを確かめる
参考資料3は、DRという言葉や仕組みが十分に知られていないことを課題に挙げました。家庭、事業者、自治体などに合わせて、生活や機器との関係、参加方法を説明する方針です。2026年度は共通の説明資料・動画・ロゴ・活用ガイドなどを整え、2027年度以降に理解と参加を広げます。
効果は表示回数やウェブ閲覧数のほか、仕組みの理解、参加したいという意向、参加件数、実際の調整量などで確かめます。10月22日時点の会合ページには議事録・要旨のリンクがなく、委員の意見や会合の結論は公表後に追記します。
出典:参考資料3 DR広報指針(PDF 3〜10頁)
一次資料と次に確認すること
- 配布資料一覧(PDF形式:157KB)
- 議事次第(PDF形式:152KB)
- 委員等名簿(PDF形式:189KB)
- 資料1 分散型エネルギーリソースを取り巻く状況と今後の議論対応(PDF形式:7,075KB)
- 参考資料1 資料1の補足資料(PDF形式:6,077KB)
- 参考資料2 第3回DER-WGにおいて提示した施策の対応状況について(PDF形式:5,026KB)
- 参考資料3 ディマンドリスポンス(DR)普及に向けた広報指針(PDF形式:1,753KB)
議事次第・委員名簿は会合の情報として確認しています。議事録や要旨に記された結果がある箇所は本文で示し、配布資料だけの提案は事務局案として説明しています。
分散型エネルギー推進戦略WG