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制度解説

託送料金とは

送配電ネットワークを使って電気を届けるための利用料

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託送料金とは何か

託送料金は、ひとことで言うと、発電所でつくられた電気を送配電ネットワークで家庭や企業まで届けるための利用料です。 電線や変電所、配電設備は送配電会社が管理しており、小売電気事業者はそのネットワークを使って電気を届けます。 そのため、小売電気事業者は送配電会社に託送料金を支払います。 資源エネルギー庁は、託送料金を「小売電気事業者が送配電網を利用する際の利用料金」と説明しており、経済産業大臣の認可が必要な料金だとしています。

需要家の立場から見ると、託送料金は電気料金の中に含まれている費用です。 家庭や企業が送配電会社に直接払うというより、まず小売電気事業者に電気料金を払い、その中に含まれる託送料金相当額が送配電会社に渡る形です。 電力会社を切り替えても、電気を運ぶ送配電ネットワークは共通なので、この費用自体はなくなりません。

何を賄う費用か

この料金が必要なのは、送配電ネットワークを維持し続けるのに大きな費用がかかるからです。 託送料金には、送配電部門の人件費、設備の修繕費、減価償却費、固定資産税のほか、電源開発促進税、賠償負担金、廃炉円滑化負担金なども含まれます。 つまり託送料金は、単に「電線を使うための通行料」というより、電気を安定して届ける仕組み全体を支える費用といえます。

自由化のあとも、送配電部門は地域独占の性格が強いままです。 電線を何本も重ねて作るわけにはいかないため、競争市場のように完全に自由価格にはしていません。 その代わり、料金は国の審査と認可の対象になっています。 電力・ガス取引監視等委員会の資料でも、託送料金は送配電事業が地域独占であることから、国が認可する仕組みになっていると整理されています。

レベニューキャップ制度

最近の託送料金制度で大きいのは、2023年度からレベニューキャップ制度が始まったことです。 これは、送配電会社が5年間で必要な投資や費用を見積もって事業計画をつくり、その計画に基づいて収入の上限を決める仕組みです。 第1規制期間は2023年度から2027年度までで、資源エネルギー庁や電力・ガス取引監視等委員会は、この制度の狙いを「必要な投資の確保」と「コスト効率化」の両立だと説明しています。

この制度のもとでは、料金を一度決めて終わりではありません。 各社の事業計画がちゃんと進んでいるか、投資が進んでいるか、効率化が進んでいるかを途中で確認する仕組みがあります。 実際に、2024年度には2023年度の取組状況について期中評価が行われました。 さらに、2026年1月には、物価上昇や事業報酬の扱いをどう反映するかについて見直しの建議も出ています。 託送料金は、固定された制度というより、実際のコストや投資環境を見ながら調整される制度になっています。

2024年度から始まった発電側課金

託送料金は、もともと需要側だけが負担していましたが、2024年度からは発電側課金も始まりました。 これは、これまで需要家側がすべて負担していた託送料金の一部を、発電事業者にも負担してもらう仕組みです。 電力・ガス取引監視等委員会は、発電側課金の割合は託送料金全体の約1割程度だと説明しています。

この発電側課金が入ったことで、託送料金は「需要側託送料金」と「発電側託送料金」に分かれる形になりました。 小売電気事業者が負担する分はそのぶん減りますが、発電事業者側には新たな費用負担が生じます。 このため、相対契約の中でその負担をどう価格に反映するかも実務上の論点になっており、国は転嫁の状況を調査しています。 2024年度の調査では、「小売側が転嫁に応じない」といった事案は確認されなかったと公表されています。

再エネ賦課金との違い

託送料金を理解するときに、再エネ賦課金とは別物だという点も大事です。 どちらも電気料金に含まれて見えることがありますが、託送料金は送配電ネットワークの利用や維持のための費用であり、再エネ賦課金は再エネの買取費用を広く負担するためのものです。 電気料金の内訳を見ると、これらは役割の違う費用として扱われています。

監視

託送料金は監視が前提の制度でもあります。 送配電会社は地域独占の事業者なので、料金が妥当かどうか、必要な投資が進んでいるかどうか、効率化の努力がなされているかどうかを、電力・ガス取引監視等委員会が継続的に見ています。 料金制度専門会合では、収入の見通しや料金改定の妥当性を審査し、レベニューキャップ制度の運用後も期中評価が行われています。

まとめ

託送料金は、送配電ネットワークを使って電気を届けるための共通の費用です。 需要家は電気料金を通じて間接的に負担し、小売電気事業者が送配電会社に支払います。 2024年度からは発電事業者も一部を負担するようになりました。 料金は国の認可のもとで決まり、現在はレベニューキャップ制度によって、投資の確保とコスト効率化を両立させる形で運用されています。 自由化のあとも、託送料金は電力システム全体を支える土台の一つです。

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