系統のしくみ

再エネ出力制御のエリア別の状況

再エネ出力制御は全国で同じように起きているわけではありません。2026年4〜6月の実施日数は、多いエリアで61日、少ないエリアで6日と10倍の開きがありました。どこで、なぜ多いのか。エリア差の理由と、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が指令の妥当性をどう検証しているかを整理します。

更新日:2026.08.27

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2026年4〜6月のエリア別実施日数

OCCTOは2026年8月26日、需給バランス制約による再エネ出力制御について、8エリア分の検証結果をまとめて公表しました。実施日数は次のとおりです。北海道エリアだけは月次で公表されており、この一括公表には含まれていません。

エリア4〜6月 合計4月5月6月
東北61日20日25日16日
九州58日18日26日14日
四国41日14日19日8日
中国28日9日14日5日
関西21日8日8日5日
北陸20日8日11日1日
中部10日6日4日0日
沖縄6日4日2日0日

どのエリアも5月が最も多く、6月に減る形になっています。5月は冷房も暖房もあまり使わないため需要が小さく、日射条件は良い月です。逆に6月は梅雨に入って日射が落ちるため、制御の必要が減ります。出力制御の多い少ないは、再エネの導入量よりも需要と再エネ出力の関係で決まります。需要が小さい時期に再エネの出力が大きくなると起きる、という季節性がここに表れています。

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なぜエリアで差が出るのか

出力制御は、そのエリアで「下げ調整力」が足りなくなると判断されたときに行われます。下げ調整力とは、供給が需要を上回りそうなときに出力を下げて需給を合わせる余力のことです。差を生むのは需要の大きさ・下げられる電源の量・エリア外へ送れる量の3つの関係で、再エネの設備量そのものは直接の決め手になりません。

需要が小さい

エリアの需要が小さいほど、同じ再エネ出力でも供給が需要を上回りやすくなります。東北・四国・沖縄のように需要規模が大きくないエリアは、それだけで不利になります。

下げられる電源が少ない

火力の台数を減らし、揚水でくみ上げ、蓄電池を充電しても足りなければ再エネを止めるしかありません。止められない長期固定電源(水力・原子力・地熱)の比率が高いエリアほど余力は小さくなります。

外へ送れる量に限りがある

余った電気は連系線でエリア外へ送れますが、送電容量には上限があります。九州のように系統の端に位置するエリアは、送り先の選択肢が限られます。

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再エネを止める前にやること

再エネの出力制御は最後の手段です。優先給電ルールにより、その前に行うべきことが順番に決まっています。OCCTOが検証で確認しているのも、この順番が守られたかどうかです。

順番やること検証で見られる点
1調整力として確保する火力を絞るLFC調整力2%を確保しつつ、最低限必要な台数に厳選しているか
2揚水発電機で水をくみ上げる揚水運転の最大限の活用を見込んでいるか
3蓄電池を充電する下げ調整力の確保手段として活用しているか
4調整力以外の火力も下げる発電事業者と事前合意された出力まで抑制することを見込んでいるか
5エリア外へ送る空容量の範囲内で、他エリアが受電可能な量を最大限送る計画としたか
6バイオマスを抑制するバイオマス専焼電源の抑制、地域資源バイオマスの運転状況
7自然変動電源(太陽光・風力)を抑制する1〜6を行っても供給が需要を上回る結果になっているか

2026年4〜6月の東北エリアの検証では、下げ調整力の確保手段として火力の台数厳選と揚水発電の揚水運転に加えて「蓄電池の充電」が明記されました。系統用蓄電池が、出力制御を減らす側の設備として検証書類に載るようになっています。

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OCCTOはどう検証しているか

OCCTOは業務規程第180条第1項に基づき、出力制御の指令が妥当だったかを事後に検証し、結果を公表しています。見るのは「抑制前日の指令時点において抑制が不可避であったか」で、観点は3つです。

①指令を行った時点で予想した需給状況(過去の需要実績の活用、最新の気象データによる補正、日射量予測に基づく太陽光の出力想定、風力予測に基づく風力の出力想定、想定誤差量の妥当性)。②優先給電ルールに基づく抑制・調整の具体的内容。③そこまで行っても供給が需要を上回るという、再エネ抑制の必要性です。

2026年4〜6月分では、8エリアすべてで「出力抑制指令は必要な対応を実施したうえで、下げ調整力不足が見込まれたために行われたものであり、妥当であると判断する」との結論が示されました。

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全日ではなく「代表日」で検証している

検証は実施日すべてを対象にしているわけではありません。出力制御の回数とエリアが拡大して検証日数が増えたことを受け、実制御に影響を与えるような問題が発生していないエリアについては、四半期ごとに代表日を選んで検証する方式へ整理されました。九州エリアは2022年10月20日の第42回系統ワーキンググループ、中国エリアは2023年12月6日の第49回系統ワーキンググループでの整理です。

代表日の選び方はエリアで異なります。2026年4〜6月分では、東北エリアが各月の抑制量最大日(4月12日、5月5日、6月13日)と特異日(当日抑制)の計6日、九州エリアが抑制量最大日(4月11日、5月17日、6月12日)と無作為に選定した2日の計5日でした。全日のデータは各一般送配電事業者の公表サイトで確認できます。

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実務で確認するときの見どころ

発電側が気にするのは日数よりも「どれだけ止まったか」です。検証資料には日ごとの最大抑制量も載っています。たとえば九州エリアの2026年4月は、日別の最大抑制量が223.6万kWから566.0万kWの範囲で、抑制時間はいずれも7時から17時までの10時間でした。指令は前日16時に出されています。

制御の見通しを事前に知りたい場合は、各一般送配電事業者が公表する出力制御の指示内容と、翌日の需給見通しを見ます。制度の枠組みそのものは出力制御のページで整理しています。