出力制御は、ひとことで言うと、発電所の出力を一時的に下げたり止めたりして、電力の需要と供給のバランスを保つための措置です。 資源エネルギー庁は、出力制御には大きく分けて、需給バランスのために行うものと、送電線の容量や系統の安定性のために行うものがあると整理しています。
出力制御が必要になるのは、電気は大量にためにくく、その瞬間ごとに需要と供給をほぼ一致させる必要があるからです。 特に太陽光や風力は、天候によって発電量が大きく変わります。 需要が少ない時間帯に発電が増えすぎると、そのままでは電気が余ってしまいます。 また、電気を送りたい先まで送電線に十分な余裕がないと、発電していても流しきれません。 こうしたときに出力制御が行われます。
大事なのは、最初から太陽光や風力を止めるわけではないという点です。 制度上は、まず火力発電の出力を下げたり、揚水発電で水をくみ上げたり、蓄電池を充電したり、地域間連系線を使って他の地域へ送ったりといった対応を先に行います。 それでもなお電気が余る場合に、自然変動電源である太陽光や風力の出力制御が行われます。 広域機関の資料でも、優先給電ルールに基づき、調整用の電源、火力、広域的な調整、バイオマスなどの順に対応したうえで、太陽光・風力の出力制御に進む流れが示されています。
つまり、出力制御は「再エネがいらないから止める」という話ではなく、電力システム全体を安全に動かしたまま、できるだけ多くの再エネを使うための最後の調整手段です。 資源エネルギー庁も、出力制御は電力の安定供給を維持しながら再エネの最大限導入を進めるうえで必要なものだと説明しています。
出力制御は、再エネが増えるにつれて実際に各地で起きています。 資源エネルギー庁の白書では、2023年6月までに東京エリアを除く全国のエリアで出力制御が行われたと整理されています。 これは、再エネが広がるほど、需要が少ない時間帯や送電線に余裕が少ない地域で、発電をそのまま受けきれない場面が増えていることを示しています。
最近は、出力制御をできるだけ減らすための対策も進められています。 資源エネルギー庁は、2023年12月に「再エネ出力制御対策パッケージ」を取りまとめたとしています。 また、2024年12月には、出力制御時に新設火力発電の最低出力を30%以下まで引き下げる方針も示されました。 火力をより深く下げられるようにすることで、その分だけ再エネを止めずに済む時間を増やす考え方です。
出力制御は、発電事業者にとっては売電量が減ることを意味するので、事業性に影響する重要なテーマでもあります。 その一方で、出力制御が起きる時間帯は再エネ比率が高い時間帯でもあり、その電気をうまく活用することも課題になっています。 資源エネルギー庁は、出力制御が行われている時間帯の非化石電源比率が8割を超える場合もあり、そうした時間帯に需要を移すことが余剰再エネの有効活用につながると説明しています。
出力制御は、電気が余るときや送電線に余裕がないときに、発電量を一時的に抑えて電力システムを安定させるための措置です。 まず火力の抑制や揚水、蓄電池、地域間の電力融通などを行い、それでも足りない場合に太陽光や風力の出力制御が行われます。 再エネの導入が進む中で実施エリアは広がっており、いまは「どう出力制御をなくすか」ではなく、どう減らしながら再エネをさらに増やすかが制度上の大きなテーマになっています。