市場で確保していない余力が、夏にも残った理由を調べる
需給調整市場では、発電所や蓄電池が出力を増減させ、電気の需要と供給のずれに対応する力を確保します。全商品の前日取引化後も、市場で調達されていない火力・揚水の余力が残るため、募集量の不足や調整費用の課題と合わせ、なぜ市場に出てこないかを調べる案です。
第64回は11月5日開催予定で、配布資料は11月4日に公開されました。第63回で扱った4〜6月に続き、今回は電力需要が大きい7〜9月の実績を確認し、調整力提供者に尋ねる項目を整理しています。この記事は開催前の事務局資料に基づきます。
火力は9エリア平均5,320MW、調査対象は起動済みの電源
自然体余力は、発電上限から発電計画と市場で約定した調整力を引いた分です。調査は2026年7月1日〜9月30日のデータを使い、一次調整力から三次調整力①までの機能を持つ火力を対象としました。発電事業者側が起動を決めた電源を調べ、送配電会社が不足時に追加起動して確保する余力は除いています。
北海道から九州まで9エリアの火力の自然体余力は、平均5,320MW(532万kW)で、前年同期の4,999MWから321MW増えました。東京は1,502MW、中部は1,125MW、東北は967MWです。前年からの増減は地域ごとに分かれ、東北は407MW増、中国は324MW減でした。
これは市場で調達されていない余力の実態調査です。事務局は、その発生要因と市場への応札を妨げる条件を次の調査で確認する方針を示しています。
出典:資料2 PDF6〜9頁
揚水は水の量も考慮し、対象を5エリアに限定
揚水発電は、水をくみ上げておき、必要なときに水を落として発電する設備です。停止中や揚水中でも一部の調整力を供出できるため、火力と異なり、発電計画がない時間帯も算定対象にしました。
発電できる出力に加えて、水位計画から継続して供給できる電気の量を配分して算定しています。北海道・東京・関西・四国・九州が対象で、随意契約中の設備を除きました。他の4エリアは、契約分との切り分けが難しい、対象の発電所がない、計上できる余力がほとんどないなどの理由で対象外です。揚水でも余力が確認されました。
発電計画・市場の売れ残り・燃料制約を、事業者に確認する案
事務局は、調整力提供者へのアンケートで、自然体余力が生じる理由を調べる方針です。市場での売れ残り、需給変動への備え、商品の要件、燃料の制約といった可能性を確認し、解消できる条件や定量的な評価方法を検討します。
発電計画上で起動が決まった電源と、起動が決まらなかった電源を分けて尋ねます。余力を使う契約を結んでいても応札しない電源や、卸市場・需給調整市場で起動が決まらない理由も対象です。
調査結果を踏まえ、市場への応札を増やす施策や、自然体余力を募集量から控除する方法などを検討します。今回の資料は調査の方向性を示すもので、実際の募集量変更や要因の確定は今後の確認事項です。
参考資料は、これまでの施策と次の検討工程を整理
参考資料1は、応札不足への対応として、募集量、揚水の活用、価格規律、新しい設備の参加などの検討を整理しています。市場外の余力を安定して利用できるか、応札の障壁が何かを調べることも継続課題です。
第63回から続く二次調整力①の広域調達は、送配電会社間の広域運用を前提として2027年度開始を目指す扱いです。11月5日の審議後は、要因調査の方針に対する委員意見と結論、資料の訂正を確認して追記します。
一次資料
需給調整市場検討小委員会