日本の発電電力量は火力が約7割を占め、燃料の多くを海外から調達しています。2040年度に向けて、再エネと原子力の比率を引き上げる計画ですが、送電網、調整力、建設資金を先に確保する必要があります。
| 電源 | 2023年度実績 | 2040年度見通し |
|---|---|---|
| 再生可能エネルギー | 22.9% | 40~50%程度 |
| 原子力 | 8.5% | 20%程度 |
| 火力 | 68.6% | 30~40%程度 |
2040年度の比率は、2025年2月18日に閣議決定された第7次エネルギー基本計画が示す見通しです。需要や技術開発の幅を踏まえ、比率は範囲で示されています。
需要見通しが増加へ転じた
人口減少と省エネによって減少傾向が続いた電力需要は、データセンター、半導体工場、EV、生産工程の電化で増加へ転じると見込まれています。大口需要は接続する地域に集中するため、全国の発電量が足りていても、変電所や送電線の容量が不足する場合があります。
発電所と送電網の建設には長い期間がかかります。需要家の立地計画が固まってから着手すると供給開始に間に合わないため、電力広域的運営推進機関の需要想定と各地域の系統整備計画を早めに結び付ける必要があります。
火力は調整力と燃料調達を担う
火力発電は、需要や再エネ出力に合わせて発電量を変え、天候による不足を補います。2040年度も3~4割程度を見込むのは、この調整機能と供給力が必要なためです。
LNG、石炭、石油の価格、為替、輸送ルートの混乱は発電費用へ反映されます。日本のエネルギー自給率は2023年度に15.3%で、主要国と比べて低い水準です。燃料の長期契約、調達先の分散、備蓄、火力設備の維持が供給面の確認項目になります。
再エネ比率を上げるための設備
太陽光は昼間、風力は風況の良い時間に発電が集中します。需要を上回る時間には出力制御が発生し、夕方や無風時には別の電源が必要です。蓄電池、揚水発電、需給調整市場、需要側の制御を組み合わせ、時間ごとの過不足を埋めます。
北海道、東北、九州などの適地から大消費地へ送る系統も要ります。地域間連系線と基幹送電線の増強費用は託送料金などを通じて回収されるため、工事量と利用者負担を併せて確認します。
原子力は運転基数と建て替え時期が焦点
第7次エネルギー基本計画は、2040年度の原子力比率を2割程度としています。実現する発電量は、再稼働する基数、定期検査の期間、設備利用率で変わります。既設炉の廃炉が進む2040年代以降は、次世代革新炉の建設時期と投資回収の制度が設備容量を左右します。
計画を見るときの四つの数字
電源構成の比率だけを見ると、必要な設備量と費用が見えません。需要電力量の実績と見通し、運転可能な供給力、送電線・蓄電池などの調整設備、電気料金への負担を合わせて追う必要があります。第7次エネルギー基本計画は、これらを安全性、安定供給、経済性、環境適合の観点から点検する方針を示しています。
