特集 02

電力自由化

・電力自由化

更新日:2026.06.18

電力自由化とは、家庭や企業が電気を買う会社を選べるようにした制度です。

以前は、家庭向けの電気は地域ごとに決まった大手電力会社から買うのが基本でした。東京なら東京電力、関西なら関西電力、東北なら東北電力というように、住んでいる地域によって契約先がほぼ決まっていました。

しかし、2016年4月に「小売全面自由化」が行われ、家庭や商店も含めて、すべての需要家が電力会社や料金メニューを選べるようになりました。

ただし、自由化されたのは主に電気を販売する部分です。

発電所で電気をつくる「発電」、家庭まで電気を届ける「送配電」、家庭や企業に電気を売る「小売」のうち、家庭が自由に選べるようになったのは小売です。

そのため、電力会社を変えても、家まで電気を届ける送電線や配電線が変わるわけではありません。つまり電力自由化とは、電気の品質や電線を選ぶ制度ではなく、電気の購入先や契約メニューを選べるようにした制度です。

なぜ電力自由化が行われたのか

電力自由化の大きな目的は、電気の販売に競争を入れることです。

従来は、地域ごとに大手電力会社が発電、送配電、小売を一体的に担っていました。この仕組みは安定供給という面では分かりやすい一方、家庭や企業から見ると、電気を買う相手をほとんど選べませんでした。

料金は総括原価方式をもとに算定されており、必要な費用に一定の報酬を加えて料金を決める仕組みでした。そのため、電力会社にとっては大きな損失が出にくく、一定の利益を確保しやすい制度と説明されてきました。一方で、競争によって料金を下げる圧力は働きにくい面がありました。

自由化によって新しい事業者が電気の販売に参入できるようになれば、料金メニューやサービスの競争が起きると考えられました。

たとえば、電気とガスを組み合わせたプラン、ポイント還元のあるプラン、再生可能エネルギーを意識したプラン、夜間の利用に合わせたプランなど、従来より多様なメニューが生まれることが期待されました。

自由化した結果、何が変わったのか

自由化によって、家庭は地域の大手電力会社以外とも契約できるようになりました。

これにより、「新電力」と呼ばれる事業者が家庭向けの電気販売に参入しました。通信会社、ガス会社、石油会社、再エネ系の会社など、さまざまな事業者が電気を販売するようになりました。

その結果、一般家庭にとっては、電気の契約先や料金メニューの選択肢が増えました。

電気とガスをまとめる、ポイントを貯める、環境価値を重視する、生活時間に合った料金メニューを選ぶ、といったことが可能になりました。

なお、電気料金は、燃料価格、為替、再エネ賦課金、送配電費用、電力需給の状況などに大きく左右されます。小売の競争があっても、燃料価格が上がれば電気代は上がります。

自由化の結果として、選択肢は増えましたが、電気代が安くなったかについては意見が分かれるところです。

自由化の評価

電気は生活に不可欠なインフラです。そのため、単純に競争を強めればよいという商品ではありません。電気は大量に貯めにくく、需要と供給を常に一致させる必要があります。市場価格が急に上がると、小売事業者や消費者に大きな影響が出ます。日本は発電に必要な燃料を輸入に依存しているため、近年のウクライナ侵攻やホルムズ海峡の封鎖などがあると、燃料の価格が大きく上昇し電気料金にも跳ねる結果となります。

電力自由化は、選択肢を増やした一方で、安定供給や料金変動リスクへの対応がより重要になった制度改革と見るのが自然です。