電力自由化は、電気を売る事業への参入を開き、家庭や企業が契約先を選べるようにした制度改革です。家庭向け小売は2016年4月に全面自由化されました。
自由化は段階的に進んだ
発電部門では1995年から独立系事業者の参入が認められ、小売部門は2000年に大規模工場や百貨店などから自由化が始まりました。対象は段階的に広がり、2016年に家庭や商店を含むすべての需要家が契約先を選べるようになりました。
2020年には大手電力の送配電部門が法的に分離されました。送電線や配電線を運営する会社を小売・発電部門から分け、新規参入者も同じネットワークを利用できる形にする改革です。
家庭が選ぶのは小売契約
電気の供給は、発電所でつくる「発電」、送電線と配電線で運ぶ「送配電」、需要家に販売する「小売」に分かれます。家庭が契約先として選ぶのは小売事業者です。契約先を変えても、地域の一般送配電事業者が管理する電線を通って電気が届きます。
停電対応や電線の保守も一般送配電事業者が担います。小売事業者が事業を停止した場合に直ちに停電しないよう、最終保障供給や経過措置料金などの仕組みも設けられています。
料金メニューは増えた
通信、ガス、石油、再エネなどを事業基盤とする会社が電力小売へ参入しました。セット割引、時間帯別料金、ポイント還元、再エネ由来の環境価値を組み合わせた契約が提供されています。
請求額は小売事業者間の競争だけで決まりません。燃料価格、為替、卸電力価格、送配電料金、再エネ賦課金が変われば、契約先を問わず影響を受けます。料金を比べる際は、通常単価、燃料費の反映方法、解約条件を確認する必要があります。
卸市場と供給力が小売競争を支える
小売事業者は、発電所を保有するか、相対契約や卸市場から電気を調達します。新電力が安定して販売を続けるには、必要な量を予測し、価格変動に備えて調達する体制が要ります。2020年度冬季の卸価格高騰や燃料価格の上昇時には、調達費の増加に耐えられず撤退する事業者も出ました。
大手電力の発電部門が自社小売と社外の小売へ公平な条件で卸す「内外無差別」の監視、将来の供給力を確保する容量市場、送配電網の増強は、小売の競争を成り立たせる基盤です。自由化の評価では、契約先の数と料金メニューに加え、卸電源へ参加しやすいか、供給停止を防ぐ仕組みが機能しているかも確認します。
