新しい実験結果を受け、原子炉の容器への力を調べ直した
原子力規制委員会は11月5日、10月26日に開いた第29回会合の議事録を公開した。原子力エネルギー協議会(ATENA)と電力各社が、燃料の新しい実験結果を踏まえ、原子炉圧力容器への影響を説明している。
対象は、原子炉の出力が急に上がる反応度事故(RIA)。燃料の中身が急に膨らんで外側の管を壊すと、周囲の水へ力が伝わる。長く使った燃料の実験で、この力が従来の評価を上回る結果が得られたため、各原子炉について確認した。
事業者は、加圧水型と沸騰水型の圧力の波による影響について、容器が吸収できる範囲に収まると説明。一方、沸騰水型で水の塊が跳ね上がる力は、一部の代表的な条件の計算で吸収できる範囲を超えたため、個々の原子炉の条件で評価を進めた。
志賀1号機と女川2/3号機は、個別の燃料条件で計算
原子炉ごとの容器の形状などを反映した段階でも、志賀1号機と女川2/3号機は、容器が吸収できるエネルギーを上回る結果だった。事業者は、壊れると見込む燃料の量と、その燃料の発熱状態を、既に許可を受けた解析の条件から求め直した。
新しい実験結果を踏まえた変換係数1.219%を使った計算では、水から伝わるエネルギーは、容器が変形して吸収できるエネルギーに対して、志賀1号機が57%、女川2/3号機が61%となった。これは二つのエネルギーの比を示す値で、事業者は吸収できる範囲に収まると説明した。
志賀1号機では燃料量を200kgから104kg、女川2/3号機では200kgから145kgへ見直した。燃料の発熱状態も個別の解析値を使っている。新知見による変換係数を維持した計算と、燃料の使われ方をさらに細かく考慮した参考計算は分けて示されている。
規制側は、過去の許可に使った解析との整合を確認
規制庁は、計算に使った原子炉の条件や解析方法が、過去の設置変更許可と整合しているかを質問した。北陸電力は、既許可で使った炉心と解析コードを用いたと説明した。
事業者は、現時点で一律に評価指針を変える必要はないとの考えを示し、個別評価が必要となった志賀1号機と女川2/3号機の説明を行った。会合の最後に規制庁は、技術情報検討会で報告し、今後の扱いを検討する方針を示した。
水の広がりや容器内部の構造物による力の弱まりは、追加の検討事項として示されている。今後は技術情報検討会の資料と議事録を確認し、規制上の対応が示された段階で追記する。
補足資料は、従来の許可と評価方法を示す
資料29-2は志賀1号機の設置許可申請書の抜粋、29-3は解析コードAPEXの評価方法の抜粋。資料29-4は、燃焼の進んだ燃料の扱いを整理した旧原子力安全委員会の専門部会報告書である。今回の解析の前提を確かめるために用いられている。
参考資料29-1は第77回技術情報検討会の結果の抜粋で、新しい実験知見を扱う経緯を確認できる。会合ページには開催案内、次第、出席者一覧もあり、出席者一覧には10月26日の訂正が記されている。
一次資料
新規制要件に関する事業者意見の聴取に係る会合