TERAWHAT電力を、わかりやすく。

審議会資料解説

第12回 将来の電力需給シナリオに関する検討会2035年度の需要推定と、地域別の需要・送電能力の計算条件

データセンターなどの増加が続く場合の2035年度の需要推定、地域ごとの需要を見積もる方法、地域間の送電能力の条件を整理します。地域別の供給余力は次回以降に計算する予定です。

公開日:2026.10.27 / 開催日:2026.10.27

← 将来の電力需給シナリオ検討会の一覧へ戻る

今回の要点

将来、どの地域で電気をどれだけ使うかを見積もるため、業種別の動きやデータセンター・半導体工場の立地を計算へ取り入れる方法が示されました。地域をまたいで送れる電気の量も、設備計画に沿って設定しています。

別に、2026年9月末までの公表情報を用いた定期観測では、現在の需要増加の傾向が続く場合、2035年度の全国需要を約9,700億kWhと推定しました。kWhは使う電気の量を表す単位です。全国の推定と地域別の計算は、年や前提条件を分けて読む必要があります。

開催日・公開日:2026年10月27日。公式会合ページ・全配布資料。本文は配布資料の検討内容に基づきます。

2035年度の需要推定は、データセンターなどの増加を織り込む

家庭や事務所などの需要はおおむね横ばいで、繊維など国内向け産業の需要は減少しています。同時に、データセンター、半導体、通信ネットワークで使う電気が増えています。この傾向が続く場合の全国需要が、2035年度に約9,700億kWhという推定です。

この値は、需要地に置いた太陽光発電の自家消費を差し引く前の、送電端で整理した需要です。鉄を電気で溶かす設備への転換、EVの普及、自家発電の減少に伴う需要増加も、今後の観測対象に挙げています。

定期観測は要素ごとに2035年度を推定し、火力は2040年度を推定しています。一方、地域別のモデルは2040年度に全国9,000億・11,000億kWh、2050年度に9,500億〜12,500億kWhの複数の条件を置いています。各年の推定とモデルの設定値を区別します。

出典:資料3-1(2〜4頁):観測時点、推定年、需要の定義

出典:資料2-2(3〜4頁):2040・2050年度のモデルケース

地域別の需要は、業種の特徴と工場の立地から計算する

これまで使った地域別の計算式は、主に10年程度先を想定したものでした。2050年まで延ばして使う際の課題に対応し、事務所や商業施設などは11業種の特徴を用いる方法を示しています。事務所は働く人の数、宿泊施設などは訪日客の動向といった要因を調べます。

産業用では、減少・微増する業種の過去の動きに加え、データセンターや半導体の増設に伴い増える電子部品などの需要を積み上げます。データセンター・半導体については、従来の供給計画の地域別増分を用いる方法に加え、立地や計画の進み具合を考慮する方法を検討しています。

半導体は、稼働中、建設中、計画、構想段階、潜在案件を分けて積み上げます。全国需要の設定値に合わせるための追加工場も仮定します。別冊には、その追加順、1工場当たりの需要を基準の2倍とする条件、全国値との差を調整する際は1倍も使う条件などが載っています。これらは地域へ需要を割り振る計算上の仮定です。

推計の確かさを示す統計データを併記し、地域別の前提も継続的に観測する方針を示しています。

出典:資料2-1(6〜10、13〜17、39〜42頁):従来方法と見直し

出典:資料2-2別冊(109〜113頁):半導体の区分と追加工場の条件

地域間の送電は、2035年度の能力と確定した増強計画を基にする

2040・2050年度の送電能力は公表値がないため、原則として2035年度の運用容量を使います。そこへ未反映の計画確定済み設備を加え、安全に運用するための余裕分を引く方法です。

モデルの設定例は、北海道から東北が60万kW、東北から東京が800万kW、東京・中部間が双方向240万kW。中国から九州が120万kW、九州から中国が320万kWです。表は10万kW未満を切り捨てて表示しています。

中国・九州間は2039年度の運転開始を予定する設備の計画値を参照します。ほかの増強の運転開始予定や変更検討の注記も含め、将来の計算に置く条件として示されています。

出典:資料2-1(106〜107頁):算定方法、方向別の能力、脚注

供給側は、再稼働や火力建設への応募状況を引き続き観測する

太陽光、風力、蓄電池は拡大傾向です。中小水力の拡大は限定的で、揚水発電は補修などによる停止率が高い状況が続いています。

火力は、建て替えより廃止の公表が多い状況ですが、長期脱炭素電源オークションのLNG専焼枠3,900万〜5,500万kWの設定を踏まえ、今後の回復を見込んでいます。募集枠を前提にした見通しなので、実際の応募や建設の進み具合を継続して確かめる必要があります。

原子力の再稼働・建て替えの動向と、同オークションへの応募状況が、供給側で特に注意する項目です。

出典:資料3-1(5頁):供給力の整理

出典:資料3-2(2〜5頁):詳細分析の対象と要約

既存のシナリオは政策資料12件で活用

資料1は、2026年2〜7月末の経産省と広域機関の審議会・委員会資料345件を調べ、12件の活用を確認しています。発電所の建設を促す制度、調整力、地域間の送電設備、供給力管理などが対象です。過去の検討への活用状況を調べた報告です。

出典:資料1(2〜3、6、9、13、16頁):調査範囲と活用事例

次回は、地域ごとの供給余力を計算する

需要と供給力の地域別配分、送電能力の条件を組み合わせた地域別の概算バランスは、次回以降の作業に位置付けられています。地域ごとの不足や余裕の規模は、その計算結果を確認して追記します。

10月27日の公式ページでは議事録・要旨のリンクは未掲載です。会合の結論は公開後に照合します。全6資料の主要論点と掲載した数値の条件を確認し、225頁の別冊には結果表に加えて具体的な計算条件も収録されていることを確認しました。

出典:資料2-1(2頁):今後の作業

一次資料

将来の電力需給シナリオ検討会

この会議体の他の回

将来の電力需給シナリオ検討会とは(会議体の説明と全回の一覧) →