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第7回 CCS事業の支援措置に関するWG資料解説

第7回 CCS事業の支援措置に関するワーキンググループ

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会議情報

2026.06.12 第7回 CCS事業の支援措置に関するWG

出典:資源エネルギー庁「第7回 CCS事業の支援措置に関するワーキンググループ」

資料別の解説

資料5 中間とりまとめ(原案)「CCS事業(パイプライン案件)の支援措置の在り方について」 開く

2026年6月12日に、第7回CCS事業の支援措置に関するワーキンググループが開催された。会議ページでは、資料5として「中間とりまとめ(原案)『CCS事業(パイプライン案件)の支援措置の在り方について』」が掲載されている。

CCSとは、工場や発電所などから出るCO2を集めて、地下に埋める仕組みである。たとえば、製鉄所、セメント工場、化学工場、火力発電所では、事業を続ける中でCO2が出る。電気に置き換えたり、燃料を変えたりしてもCO2を減らしきれない場合、出たCO2を回収して地下に貯留する方法が必要になる。

資料5では、CCSを事業として始めるために、国がどのように支援するかを整理している。対象は、CO2をパイプラインで運ぶ案件である。

CCS事業は、大きく3つの工程に分かれる。

1つ目は、CO2を分離・回収する工程である。たとえば、工場の排ガスからCO2だけを取り出す。

2つ目は、CO2を運ぶ工程である。今回の資料では、パイプラインでCO2を運ぶ案件が対象になっている。

3つ目は、CO2を地下に貯留する工程である。地下の地層にCO2を圧入し、外に漏れないように管理する。

具体例で考えると、製鉄所から出たCO2を回収し、パイプラインで沿岸部の貯留地点まで運び、地下深くに埋める事業である。この場合、製鉄所側はCO2を回収する設備を作る。輸送・貯留側は、パイプライン、圧入設備、監視設備を作る。どちらか一方が止まると、事業全体が止まる。

今回の支援制度の中心は、「CCSコスト差支援措置」である。簡単に言えば、CCSにかかる費用と、CO2を出したままにした場合の負担との差を、国が一定程度埋める仕組みである。

たとえば、CO2を1トン回収して運び、地下に貯留する費用が1万5,000円かかるとする。一方で、排出量取引制度でCO2を1トン出す負担が5,000円だとする。このままだと、企業はCCSを行うほど1トンあたり1万円分の追加負担を抱える。この差を埋めるのが、コスト差支援の考え方である。

資料では、支援を考えるときの「基準価格」と「参照価格」が出てくる。

基準価格は、CCSを行うために必要な費用である。CO2を回収する費用、パイプラインで運ぶ費用、地下に貯留する費用が含まれる。

参照価格は、CO2を排出する場合に事業者が負担する価格である。資料では、排出量取引制度の取引価格の平均を基本にする考え方が示されている。

支援額は、ざっくり言えば「基準価格-参照価格」で考える。CCSの費用が高く、排出量取引の価格が低いほど、支援が必要になる。反対に、将来、CO2を排出する負担が大きくなれば、支援額は小さくなる。

支援対象の費用には、設備を作る費用と、設備を動かす費用がある。

設備を作る費用には、CO2を回収する装置、CO2を圧縮する設備、パイプライン、地下にCO2を入れるための井戸、監視設備などが含まれる。

設備を動かす費用には、電気代、修繕費、人件費、監視費用などが含まれる。

具体例として、化学工場がCCSを導入する場合を考える。工場内にCO2回収設備を置くには、最初に大きな投資が必要になる。さらに、回収設備を動かすための電気代や薬剤費もかかる。回収したCO2をパイプラインで運ぶためには、輸送会社や貯留事業者への料金も発生する。資料5は、こうした費用をどう支援対象に入れるかを整理している。

支援期間は15年とされている。CCSは初期投資が大きく、操業しながら知見を積み上げる必要があるため、短期間の支援では事業者が投資判断しにくい。資料では、支援期間の終了後も10年間は事業を続ける義務を課す方向が示されている。

この10年の事業継続義務は、国の支援を受けて設備を作った事業者に、支援が終わった後も設備を使い続けてもらうためのルールである。たとえば、15年間の支援を受けてCO2回収設備を作ったのに、支援終了後すぐに設備を止めてしまうと、長期的なCO2削減につながりにくい。そのため、支援後も一定期間の継続を求める。

資料5では、クロスチェーンリスクも重要な論点になっている。

クロスチェーンリスクとは、CCSのどこか一部が止まると、他の事業者にも影響が広がるリスクである。

たとえば、地下にCO2を入れる設備でトラブルが起きた場合、製鉄所や化学工場はCO2を回収しても送り先がなくなる。逆に、工場側の設備が止まれば、パイプラインや貯留設備を作った事業者は、受け入れるCO2がなくなる。CCSは複数の事業者がつながって成立するため、こうした連鎖的な停止への対応が必要になる。

資料では、事業者の責任ではない理由で止まった場合、支援期間の延長を認める方向が示されている。たとえば、想定外の地質上の問題で貯留が一時的にできなくなった場合や、大きな自然災害でパイプラインが使えなくなった場合などである。

ただし、事業者の責任でCO2が漏れた場合や、約束した量を回収・貯留できなかった場合には、支援の返還を求める仕組みも示されている。返還額は一律ではなく、漏えいした量、実際に貯留した量、事業を続けた期間、各事業者の責任の大きさを見て決める。

長期脱炭素電源オークションとの関係も整理されている。CCSを付けた火力発電は、長期脱炭素電源オークションでも支援対象になり得る。そこで、同じ費用に二重に支援が入らないようにする必要がある。資料では、電力分野で長期脱炭素電源オークションの支援を受ける費用は、CCSコスト差支援の基準価格には入れない方向が示されている。

具体例をまとめると、今回の制度は次のような事業を想定している。

製鉄所AがCO2を回収する。回収したCO2を、パイプライン事業者Bが貯留地点まで運ぶ。貯留事業者Cが、地下にCO2を圧入して管理する。A、B、Cはそれぞれ設備投資が必要になる。CO2を出すよりCCSを行う方が高くつく間は、国がその差を埋める。支援を受けた事業者は、支援期間中だけでなく、その後も一定期間、事業を続ける。

資料5全体では、CCSを実証ではなく事業として始めるための支援制度の骨格が示されている。中心になるのは、CCSにかかる費用と排出量取引制度上のCO2価格との差を埋める仕組みである。15年の支援、10年の事業継続義務、クロスチェーンリスクへの対応、支援の返還ルール、他制度との重複防止を組み合わせ、2030年代初頭のCCS事業開始につなげる内容になっている。