容量市場の追加オークションは、メインオークションの後に生じた需要や供給力の変化を反映するため、実需給年度の1年前に必要に応じて実施される仕組みです。 メインオークションが4年前に将来の供給力をまとめて確保するのに対し、追加オークションはその後の状況変化を踏まえて不足や余剰を調整する役割を持ちます。
制度上、追加オークションには2種類があります。
追加オークションの開催判断は、メインオークション後の想定需要の変化、調達済み供給力の増減、容量確保契約の変更や解除、実効性テストの結果、容量市場外で見込める供給力などを踏まえて行われます。 広域機関は、供給計画の第2年度断面に基づく需給バランス評価をもとに実施の要否を判断し、その結果を毎年4月頃を目途に公表しています。
追加オークションは毎年必ず開かれるわけではなく、全国ではなく特定エリアだけで実施される場合もあります。
調達オークションの参加対象は、実需給年度に供給力を提供できる安定電源、変動電源、発動指令電源です。 ただし、メインオークションとは違って、どの容量でも自由に出せるわけではありません。 制度上は、以下の容量が対象になります。
未応札だった電源も一部は参加できますが、その場合は売り惜しみではなく、やむを得ない合理的な理由が確認できることが前提です。 価格の決まり方、容量確保契約書の締結、リクワイアメントは、原則としてメインオークションと同様に扱われます。
DRも追加オークションの参加対象です。発動指令電源については、実効性テストにより期待容量を評価し、確認した期待容量が1,000kWを上回る場合に追加オークションへ参加できます。 2025年度追加オークション(対象実需給年度2026年度)の需要曲線作成要領では、発動指令電源の調達上限容量は全国H3需要(離島除き)の1%に市場退出量を加えたものとされていました。
リリースオークションは、メインオークションで落札した電源のうち、供給力が余ったと判断された場合に、その契約容量の一部または全部をリリースするための仕組みです。 対象となるのはメインオークションで落札した容量確保契約上の容量で、価格は調達オークションの需要曲線を反転した供給曲線を用いて決まり、シングルプライス方式が採られます。 リリースオークションで落札された容量については、その分のリクワイアメントの履行が不要になります。
追加オークションでも、価格の考え方の中心にはNet CONEと上限価格があります。 たとえば2025年度追加オークション(対象実需給年度2026年度)の需要曲線作成要領では、指標価格(Net CONE)は10,156円/kW、上限価格は15,234円/kWとされ、目標調達量は186,789,606kWでした。
同じ資料では、約定処理においてメインオークション時の契約容量、FIT電源等の期待容量、容量市場外の見込み供給力控除量などを織り込む考え方も示されています。 つまり追加オークションは、単純に「足りない分を積み増す」だけではなく、直近時点の供給力の見通しを改めて反映して需要曲線を作り直す仕組みです。
追加オークションは2023年度実施分(対象実需給年度2024年度)は開催されず、2024年度実施分では北海道、東京、九州の3エリアを対象に調達オークションが行われました。 2024年度実施追加オークション(対象実需給年度2025年度)の約定総容量は1,333,332kWで、エリアプライスは北海道13,761円/kW、東京3,495円/kW、九州5,029円/kWでした。 このときは、東京と九州では目標とする供給信頼度を充足しないまま追加できる電源がなくなり、約定処理が終了したことも公表されています。
その次の2025年度実施追加オークション(対象実需給年度2026年度)では、全国を対象とした調達オークションが実施されました。 約定総容量は8,297,383kW、約定総額は58,224,982,042円で、エリアプライスは北海道・東北・東京・中部が8,749円/kW、北陸・関西・中国・四国が8,213円/kW、九州が8,591円/kWでした。 広域機関はこの結果を反映した全体の約定総容量を165,677,371kW、約定総額を877,121,624,598円と公表しています。
最近の制度資料では、追加オークションはすでに例外的な制度というより、メインオークション後の需給変化を埋める調整手段として位置づけられています。 2025年度の包括的検証資料では、2024年度と2025年度に実際に開催されたことが整理されており、2026年度分についても制度説明資料と実務説明資料がすでに公表されています。
また、追加オークションもメインオークションと同様に、監視の対象となる市場です。 入札ガイドラインでは、正当な理由のない不応札による売り惜しみや、不当に高い価格での応札による価格つり上げが監視対象とされています。 追加オークションで未応札電源の参加に合理的理由が必要とされているのも、こうした市場監視の考え方とつながっています。
容量市場の追加オークションは、メインオークションの後に生じた需給見通しの変化を実需給年度の1年前に反映し、不足があれば調達し、余剰があればリリースするための仕組みです。 参加できる電源、価格の決まり方、契約やリクワイアメントの考え方はメインオークションと共通する部分が多い一方で、開催が必要な場合に限られること、対象エリアが限定されることがあること、直近の需給見通しや実効性テスト結果を反映して調整することが、追加オークションの特徴です。