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電力市場

ベースロード市場

安定電源の電気を1年単位で前もって取引する市場

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ベースロード市場とは何か

ベースロード市場は、ひとことで言うと、1年単位などの長めの期間について、比較的安定して動く電源の電気を前もって取引する市場です。 2019年度に始まり、資源エネルギー庁は、この市場を新電力がベースロード電源にアクセスできるようにするために開設したと説明しています。 ここでいうベースロード電源は、地熱、一般水力(流れ込み式)、原子力、石炭火力を指します。

この市場が作られた背景には、小売全面自由化のあとも、安定して長時間動く電源にアクセスしやすい事業者と、そうでない事業者の差が残りやすかったことがあります。 ベースロード市場は、その差を小さくし、卸取引を使いやすくするための仕組みとして位置づけられています。 資源エネルギー庁のガイドラインでも、ベースロード市場は、小売事業者にとっては前日スポット市場の価格変動リスクを避けながら安定的に電気を調達でき、発電事業者にとっても安定的な供給先を確保できる市場だとされています。

受渡しの仕組み

取引の仕組みは少し独特です。 ベースロード市場で約定すると、その後の受渡期間にわたって、実際の受渡し自体はJEPXのスポット市場を通じて行い、その市場価格とベースロード市場の約定価格の差を清算する形になります。 つまり、ベースロード市場だけで完結するのではなく、受渡しはスポット市場とつながっています。

取引のタイミングと商品の種類

取引のタイミングも決まっています。 2025年度のスケジュールでは、オークションは8月、10月、11月、1月に実施されます。 商品は、1年間の固定価格商品と、燃料価格の変動をあとで反映する商品、そして2年間の商品に分かれています。 2025年度の案内では、8月と10月は1年間商品と2年間商品、11月は1年間の固定価格商品に加えて1年間・2年間の調整付き商品、1月は1年間の固定価格商品のみが扱われる形になっています。

2023年度以降は、燃料価格の変動をあとで反映する仕組みが入っています。 これは、石炭価格の変動をあらかじめ見込んで売り価格が大きく上がる事例が確認されたことを受けて見直されたものです。 2025年度のJEPX案内でも、調整付き商品では、受渡時点の石炭価格と入札時の石炭価格の差を使って各月の調整額を計算する仕組みが示されています。

市場の区切り方

ベースロード市場は、全国を一つのまま扱うわけではありません。 スポット市場で地域ごとの価格差が大きくなりやすいことを踏まえ、毎年度、市場の区切り方が決められています。 2025年度オークションでは、東日本(北海道・東北・東京)、西日本(中部・北陸・関西・中国・四国)、九州の3つに分けて扱うことになっています。 これは、スポット市場で地域間の値差が大きくなりすぎるリスクを下げるためです。

最近の取引状況

最近の結果を見ると、ベースロード市場は今も続いていますが、商品によって動きに差があります。 2025年度第1回オークションでは、1年の固定価格商品が東日本10.0MW・13.30円/kWh、西日本38.6MW・11.75円/kWh、九州4.6MW・11.00円/kWhで約定しました。 第2回オークションでは、東日本20.0MW・13.00円/kWh、西日本17.4MW・11.65円/kWh、九州0.6MW・11.05円/kWhでした。 これに対し、長期商品(事後調整付き取引)は第1回・第2回とも全市場で約定なしでした。

足元では、約定しにくさも課題になっています。 2026年1月の制度検討資料では、2025年度第3回オークションの1年固定価格商品の約定量は約2.9億kWh、約定率は約3.7%とされています。 1年の事後調整付き商品は2025年度第3回オークションでは全エリアで約定なしでした。 制度は続いていますが、買い手と売り手の価格感が合いにくい場面が増えていることがうかがえます。

監視

ベースロード市場は、監視を前提とする市場でもあります。 電力・ガス取引監視等委員会は、オークションごとに供出量や供出上限価格を確認しており、2025年度第3回オークションでも、供出量はルールを満たし、供出上限価格も適切に算定されていたと公表しています。 そのうえで、受渡年度には社内やグループ内の取引価格が市場への供出価格を不当に下回っていないか、翌年度には実績コストと想定コストのずれに合理性があるかなども確認するとしています。

まとめ

ベースロード市場は、安定して動く電源の電気を1年単位などで前もって取引する市場です。 新電力もベースロード電源にアクセスしやすくする目的で始まり、受渡しはスポット市場を通じて行われます。 いまは、固定価格商品に加えて燃料価格をあとで反映する商品もあり、市場の区切り方も東日本・西日本・九州に分けて運用されています。 制度は現在も続いていますが、最近は約定しない商品もあり、取引のしやすさや制度の今後の方向性が引き続き論点になっています。

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