ザラバ方式は、ひとことで言うと、取引時間中に、売り注文と買い注文の条件が合った時点で、その都度売買を成立させる方式です。JPXの用語集では、始値が決まったあと、立会時間中に継続して個別に売買契約を成立させる方法と説明されています。価格の決まり方は、一般に価格優先と時間優先の考え方に沿って動きます。
この方式の特徴は、市場全体で一つの共通価格を決めてからまとめて約定させるのではなく、注文が合えばその場で順次約定していくことです。つまり、シングルプライス方式のように「その商品の共通価格」が先に決まるわけではありません。約定価格は、合致した注文の条件に応じてその都度決まります。JEPXの取引ガイドでは、先渡市場のザラバ取引では、約定価格は約定した売買入札のうち先に入札された価格になると説明されています。
電力市場では、JEPXの時間前市場と先渡市場でザラバ方式が使われています。JEPXは、時間前市場について「約定方式はザラバ」と説明しており、取引規程でも先渡取引は商品ごとにザラバ方式で約定すると定めています。時間前市場は、スポット市場で翌日計画を立てたあとに生じた需給のずれを直すための市場で、先渡市場は将来の一定期間の価格を前もって決めておくための市場です。こうした市場では、状況に応じてこまめに注文を出し、条件が合えばすぐ成立するザラバ方式が使われています。
シングルプライス方式との違いは、価格の決まり方にあります。シングルプライス方式では、売りと買いをまとめて見て、一つの約定価格を決め、その価格で取引をそろえます。これに対してザラバ方式では、注文が合うたびに順次約定するので、取引ごとに価格が異なることがあります。時間前市場の検討資料でも、ザラバ方式は大量の取引を短時間でまとめて処理する仕組みとは少し性格が異なるとして、シングルプライス方式の併設が議論されたことがあります。
ザラバ方式は、取引時間中に注文が合った時点で、その都度売買を成立させる方式です。電力市場では、JEPXの時間前市場や先渡市場で使われています。スポット市場や容量市場のように「市場全体の共通価格を決める方式」とは違い、ザラバ方式は、取引のたびに価格が決まる点が特徴です。