審議会資料解説

第3回 電力安定供給WG資料解説

第4回長期脱炭素電源オークションに向けて示された資本コスト、対象電源、募集上限価格、制度適用期間の案を整理しています。

更新日:2026.06.28

← 審議会資料解説の一覧へ戻る

会議情報

2026.06.23 第3回 電力安定供給WG

出典:資源エネルギー庁「第3回 電力安定供給ワーキンググループ」

資料別の解説

資料3 長期脱炭素電源オークションについて 開く

資料3では、第4回長期脱炭素電源オークションの制度案が示された。主な論点は、資本コスト、バイオマスの扱い、LNG専焼火力の募集上限価格、脱炭素電源の募集上限価格、制度適用期間の5点である。

建設期間に応じた資本コスト

長期脱炭素電源オークションでは、発電所の建設費や維持管理費などから応札価格を算定する。資本コストは、事業に必要な資金を調達するための費用であり、金利や事業リスクを反映する。

前回の会合では、2025年の平均貸出約定平均金利1.41%を基に、標準的な資本コストを5.4%とする案が示されていた。今回の資料は、2025年度平均の金利1.51%を用い、0.5%を加えた上で標準値を5.5%とする案に更新している。

電源の建設期間と資本コストの案

建設期間資本コスト
5年未満4.5%
5年以上10年未満5.5%
10年以上6.5%

入札募集年度までの金利変動は、これまでと同様に自動補正する案である。建設期間が長い電源ほど、資金回収までの不確実性を踏まえて高い資本コストを認める考え方になっている。

バイオマス電源の対象範囲

一般木質バイオマス、農産物の収穫に伴って生じる固体燃料、バイオマス液体燃料は、2026年度からFIT・FIP制度の新規支援対象から外れるため、第4回オークションでも対象外とする方向が一度示されていた。

今回の資料は、他の脱炭素電源と価格面で競争できる場合、第4回オークションの対象に残す案を示している。募集上限価格は次回以降に検討される。

LNG専焼火力の募集上限価格

LNG専焼火力は、太陽光や風力の発電量が変動した際に出力を調整しやすく、供給力の確保にも使われる。第4回では、新たなLNG基地を整備する案件と、既存基地を利用する案件で上限価格を分ける案となった。

LNG専焼火力の募集上限価格案

区分第3回第4回案
既存のLNG基地を利用55,242円/kW/年65,284円/kW/年
新たなLNG基地を整備設定なし92,068円/kW/年

新たなLNG基地の費用は、基地設備1,367億円と桟橋・受入設備1,116億円の合計2,484億円をモデルに算定し、資本コストは6.5%を用いている。LNG基地を新設する案件と既存基地を使う案件は、同じ募集量の中で競争する案である。

脱炭素電源の募集上限価格

資材価格や人件費の上昇を踏まえ、一般水力、揚水、原子力などは参照価格に掛ける倍率を1.5倍から2倍に引き上げる案が示された。長期エネルギー貯蔵システム(LDES)は、長時間にわたり電気を蓄えて放電できる設備であり、新設揚水と同じ考え方を用いる。1kW当たり年20万円の上限は維持される。

主な電源の募集上限価格

電源種第3回第4回案
一般水力(新設)118,812円/kW/年192,739円/kW/年
一般水力(リプレース)54,974円/kW/年83,778円/kW/年
長期エネルギー貯蔵システム(LDES)116,393円/kW/年200,000円/kW/年
原子力(既設炉の安全対策投資を含む)135,602円/kW/年193,810円/kW/年
LNG専焼火力(既存基地利用)55,242円/kW/年65,284円/kW/年
LNG専焼火力(新設基地あり)設定なし92,068円/kW/年

制度適用期間の上限

落札した電源が固定費相当の容量収入を受ける制度適用期間は、20年を標準とする。これまで最大40年まで選択できたが、募集上限価格が上がる電源については最大30年に短縮する案が示された。

対象は、一般水力、新設揚水、原子力、LNG専焼火力、LDESである。LNG専焼火力は、新たな基地を整備する案件と既存基地を利用する案件の競争条件をそろえるため、いずれも最大30年とする。

今回の数値と制度設計は事務局案であり、第4回オークションの確定条件ではない。次回以降の審議や関係規程の整備で変更される可能性がある。

資料本体:資料3(PDF)