審議会資料解説

第1回 再生可能エネルギー主力電源化小委員会資料解説

再生可能エネルギーを主力電源として使いやすくするための制度、系統、地域共生、コストの論点を整理しています。

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会議情報

2026.06.03 第1回 再エネ主力電源化小委員会

出典:資源エネルギー庁「第1回 再生可能エネルギー主力電源化小委員会」

資料別の解説

資料1 再生可能エネルギー主力電源化小委員会の設置について 開く

資料1では、この小委員会を設置する理由が説明されている。

日本は、石油、石炭、LNGなどの化石燃料の多くを海外から輸入している。燃料価格が上がると、電気をつくる費用が上がりやすい。海外情勢が不安定になると、燃料を安定して調達できるかも課題になる。資料1では、日本が化石燃料の輸入に依存していることによる価格変動リスクや国富流出の問題が示されている。

資料1では、DXやGXの進展により、今後の電力需要が増える見通しも示されている。DXは、デジタル技術を使って仕事や社会の仕組みを変えること。データセンターや半導体工場が増えると、多くの電気が必要になる。GXは、CO2を減らしながら産業や社会を変えていく取り組みである。

再生可能エネルギーは、2012年のFIT制度開始以降、太陽光発電を中心に導入が進んだ。FIT制度とは、再エネで発電した電気を、国が決めた価格で一定期間買い取る仕組みである。発電事業者にとっては、収入の見通しが立てやすくなるため、太陽光発電などの導入拡大につながった。

一方で、資料1では、地域との共生、国民負担の増加、系統整備、調整力の確保、非FIT・非FIPでの導入促進、卒FIT後の長期安定稼働などが課題として示されている。

非FIT・非FIPとは、FIT制度やFIP制度に頼らない再エネ導入を指す。FIP制度は、再エネ発電事業者が市場で電気を売り、その市場価格に一定の上乗せを受ける仕組みである。FITよりも市場価格を意識しやすい制度になっている。

卒FITとは、FIT制度の買取期間が終わること。卒FIT後も発電設備を長く使い続けるには、売電先の確保、設備の維持管理、修繕、地域との関係づくりが必要になる。

資料3 再エネ主力電源化に向けた今後の再生可能エネルギー政策について 開く

資料3では、今後の再エネ政策の全体像が整理されている。再エネ導入にあたっては、地域との共生、国民負担の抑制、出力変動への対応、イノベーションの加速とサプライチェーン構築、使用済み太陽光パネルへの対応などが課題として示されている。

出力変動とは、発電量が変わること。太陽光発電は昼間に発電し、夜は発電しない。曇りや雨の日には発電量が下がる。風力発電は、風が強いと発電量が増え、風が弱いと発電量が下がる。この変化に合わせて、電力システム側で調整する必要がある。

使用済み太陽光パネルへの対応も重要になる。FIT制度の開始後に設置された太陽光発電設備は、今後、時間の経過とともに更新や廃棄の時期を迎える。パネルを適切に回収し、リユースやリサイクルにつなげる仕組みが必要になる。

資料3の論点は、大きく見ると、再エネを増やすための政策と、増えた再エネを電力システムの中で使いやすくする政策に分けられる。

太陽光発電では、平地が少ない日本でどこに設置するかが課題になる。住宅や建物の屋根、工場、駐車場、公共施設などを活用する方向が考えられる。地域との関係、防災、景観、農地や森林との調整も重要になる。

風力発電では、陸上風力と洋上風力がある。陸上風力は、山間部や沿岸部など風況のよい場所に設置する。洋上風力は、海の上に風車を設置する発電方式である。洋上風力は大きな発電量が期待されるが、海域利用、漁業との調整、港湾整備、送電線整備、建設・保守の体制づくりが必要になる。

地熱発電は、地下の熱を使って発電する方式である。天候に左右されにくい電源だが、調査や開発に時間がかかる。温泉資源や自然公園との関係も論点になる。

水力発電は、水の流れを使って発電する方式である。大規模なダムだけでなく、中小水力もある。既存設備の更新、出力の増強、地域の水利用との調整が関係する。

バイオマス発電は、木材、農業残さ、食品廃棄物などを燃料にして発電する方式である。燃料を安定して集められるか、燃料価格が上がったときに事業を続けられるか、輸入燃料に依存しすぎないかが論点になる。資料検索結果では、バイオマス発電の直近導入量は8.7GWで、2030年目標の8.0GWを超えていると示されている。

資料3では、FIT・FIP制度からの自立化も扱われている。自立化とは、制度による支援に頼る割合を下げ、市場で電気を売ったり、企業や自治体と直接契約したりしながら事業を続ける方向を指す。再エネの発電コストが下がり、需要家が脱炭素電力を求めるようになると、PPAのような取引が広がりやすくなる。

PPAとは、電気を使う企業などが、発電事業者から長期で電気を買う契約のこと。発電事業者は売電先を確保しやすくなり、需要家は再エネ電気を長期で調達しやすくなる。

資料4 三菱総合研究所 説明資料 開く

資料4では、再エネをエネルギー安全保障の観点から説明している。エネルギー安全保障とは、必要なエネルギーを安定して確保できるようにする考え方である。資料4では、再エネを「国産の安全保障インフラ」と位置づけている。

資料4では、再エネが持つ役割として、分散・レジリエンス、価格安定化、国産エネルギーの3つが示されている。レジリエンスとは、災害や停電が起きたときに、社会や設備が機能を維持したり、早く回復したりする力を指す。

分散型の再エネは、地域の施設に電気を供給する手段になり得る。たとえば、太陽光発電と蓄電池を組み合わせれば、停電時に避難所や公共施設の最低限の電気を確保しやすくなる。

価格安定化は、燃料費の影響を受けにくいという意味である。太陽光や風力は、発電するときに燃料を買う必要がない。資料4では、バイオマスを除く再エネは燃料費がゼロであり、PPAと組み合わせることで価格変動を抑えやすいと説明されている。

国産エネルギーという点も重要である。石油、石炭、LNGを輸入に頼ると、海外情勢や為替の影響を受ける。再エネは国内の自然条件を使うため、輸入燃料への依存を下げる手段になる。資料4では、化石燃料の輸入依存を下げ、国富流出や調達リスクを抑える機能が示されている。

資料4では、中東情勢の悪化に伴うLNG供給リスクも取り上げられている。LNGは液化天然ガスのこと。日本では火力発電の燃料として多く使われている。資料4では、世界のLNG供給が減少した場合、日本の卸電力市場にも影響が及ぶ可能性が示されている。

欧州やアジアの政策動向も紹介されている。欧州では、再エネ目標、入札制度、長期契約、許認可の迅速化、送電網整備などを組み合わせて導入を進めている。アジアでも、企業の脱炭素電力調達やデータセンター需要を背景に、再エネを調達しやすくする制度整備が進んでいる。

参考資料1 岡本オブザーバー提出資料

参考資料1では、東京電力ホールディングスの岡本オブザーバーから、資料3へのコメントが提出されている。コメントでは、地域との共生、国民負担の抑制、FIT・FIP制度からの自立化、電力市場への統合が論点として挙げられている。

岡本オブザーバーは、再エネ電気を需要家が有効に使える社会へ移行することが重要だとしている。具体的には、自家発電・自家消費や地産地消を促進する仕組みが挙げられている。

自家発電・自家消費とは、工場や建物の屋根などに太陽光発電を設置し、そこで作った電気を自分で使うこと。

参考資料1では、再エネを有効に使う仕組みが進めば、系統用蓄電池、分散型データセンター、AIを使った運用最適化などにつながる可能性も示されている。系統用蓄電池とは、電力系統につないで使う大型の蓄電池である。再エネが多く発電した時間に電気をため、必要な時間に放電することで、電力の需給調整に使われる。

今回の会議では、再エネを増やすための支援制度、地域との関係、電力系統への接続、出力変動への対応、需要家による調達、安全保障上の意義が広く扱われている。再エネ政策は、発電設備を増やす政策から、発電した電気を安定的に使うための政策へ広がっている。