審議会資料解説

第2回 中長期取引市場検討WG資料解説

将来の電気を取引する商品の販売時期と負荷パターン、注文の出し方、市場を分ける範囲について、今回示された案を整理しています。

更新日:2026.06.28

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会議情報

2026.06.25 第2回 中長期取引市場検討WG

出典:資源エネルギー庁「第2回 中長期取引市場検討ワーキンググループ」

資料別の解説

資料3 中長期取引市場の詳細検討(1)(商品、入札・約定、市場範囲) 開く

第1回では、中長期取引市場を設ける目的と制度全体の論点が示された。第2回の資料3は、そのうち「商品」「入札・約定」「市場範囲」の3分野について、具体的な事務局案を提示している。

商品の販売時期と負荷パターン

市場開設当初に取扱いを求める商品は、受渡年度の3年前と1年前に販売する1年物である。受渡年度をX年度とした場合の販売期間と最低限用意する負荷パターンは、次のように整理された。

市場開設当初に求める商品

商品販売期間受渡期間最低限用意する負荷パターン
3年前1年物X-3年度の4月1日から3月31日X年度の1年間ベース
1年前1年物X-1年度の4月1日から3月31日X年度の1年間ベース、ミドル

ベース商品は1日を通じて一定量を受け渡す。ミドル商品は、主に昼間など需要が高い時間帯に受け渡す。市場運営者は、参加者のニーズを踏まえて、これ以外の負荷パターンも設定できる案となっている。

燃料価格の変動を後から反映する「燃料費調整付き商品」と、約定時の価格を固定する「燃料費調整なし商品」は、両方を扱う案が示された。燃料費調整付き商品は、入札価格を比較できるよう共通の算定式と指標を用いる。商品が細かく分かれて取引量が薄くなることを避けるため、燃料費調整付き商品の種類は最大2種類とする方向で検討されている。

注文の単位と約定方法

買い注文の最小単位は100kWとする案である。30分ごとの電力量では50kWhに相当する。小売電気事業者が需要に合わせて購入量を調整しやすくする狙いがある。

売り注文には、注文量の一部だけを取引画面に表示するアイスバーグ注文を選べる案が示された。大口の注文がすべて見えることで価格に影響するのを抑える仕組みであり、画面に表示する最低量は5MW、30分ごとの電力量では2.5MWhである。

主な注文単位

項目出力30分当たりの電力量
買い注文の最小単位100kW50kWh
アイスバーグ注文の最低表示量5MW2.5MWh

取引の基本は、売り注文と買い注文の条件が合った時点で成立するザラバ方式である。注文量の一部だけが成立する部分約定も認める方向で、注文の全量が成立する場合に限って約定させる条件は、市場運営者が必要に応じて設ける案となっている。

取引機会を補う方法として、一定時間の注文をまとめて成立させる板寄せ方式も検討されている。板寄せを採用する場合は、売り手には各自の売り入札価格を適用し、買い手には成立した取引の加重平均価格を適用するマルチプライス方式が候補となる。入札価格の変更は原則として認める一方、不合理な変更は取引後の市場監視で確認する考え方が示された。

全国を一つの市場にするか

地域をまたぐ電力取引では、送電線の混雑により地域ごとの価格差が生じることがある。今回の資料では、全国一つ、複数市場、9エリア市場の3案を比較している。

市場範囲の選択肢

注文の集まりやすさ地域間の値差リスク取引の匿名性
全国一つ注文を最も集めやすい市場分断時の値差が生じる範囲が広い保ちやすい
複数市場全国一つと9エリアの中間市場の区切り方に応じて抑えられる一定程度保てる
9エリア注文が分散しやすいエリアをまたぐ値差を取引時に切り分けやすい参加者を推測されやすい

全国一つの取引画面で注文エリアを表示し、同じエリアの注文だけを成立させる案は、注文の集約効果が弱まり、ザラバ方式で取引が成立しにくくなるため、採用しない方向が示された。複数市場とする場合は、スポット市場の分断発生率や地域間の価格差を基に区分し、毎年度見直す考え方である。

地域間の価格差を補う間接送電権などの仕組みは、今後の検討事項として残った。今回示された内容は事務局案であり、今後の審議で変更される可能性がある。

資料本体:資料3(PDF)