会議情報
2026.04.17 第7回 蓄電池産業戦略推進会議
資料別の解説
資料3 蓄電池産業を取り巻く状況の変化 開く
資料3では、世界の蓄電池市場の成長見通しと、価格競争の厳しさが整理されている。
リチウムイオン電池の世界市場は、2025年の23兆円から、2035年には46兆円、2040年には55兆円へ拡大する見込みとされている。リチウムイオン電池は、現在広く使われている充電式の電池で、電気自動車、家庭用蓄電池、産業用蓄電池などに使われている。
市場拡大の中心になるのは、車載用と定置用である。車載用は、電気自動車などに載せる電池を指す。定置用は、建物や電力設備などに設置して使う電池を指す。太陽光や風力の電気をためる設備、停電時にデータセンターや工場を動かす設備、家庭用蓄電池などが含まれる。
中国市場では、車載用リチウムイオン電池の生産能力が需要を大きく上回る見通しが示されている。電池の種類別に見ても、LFP系、三元系ともに生産過剰が続く見込みとされている。LFP系は、リン酸鉄リチウムを使う電池で、比較的安価で安全性が高いとされる。三元系は、ニッケル、マンガン、コバルトなどを使う電池で、高い容量を出しやすいとされる。
資料では、蓄電池の競争軸として、エネルギー密度とパワー密度が示されている。エネルギー密度は、同じ重さや大きさでどれだけ多くの電気をためられるかを示す。パワー密度は、短い時間でどれだけ大きな電気を出せるかを示す。電気自動車では走行距離に関わるエネルギー密度が重視されやすい。データセンターや産業機械では、必要な瞬間に大きな電力を出す性能も重要になる。
資料では、自動運転、フィジカルAI、産業機械、医療・介護、重要インフラ、防災などの用途が示されている。自動運転では、センサーやデータ処理の増加により電気の使用量が増える。医療・介護では、機器を安定して動かすための安全性や寿命が求められる。河川・火山監視、インフラセンサーなどでは、電源を取りにくい場所で長く動かす必要がある。
この資料の中心は、蓄電池を用途ごとに見る考え方である。車、データセンター、防災、医療、産業機械では、必要な性能が変わる。価格、容量、出力、安全性、寿命、温度への強さを、使う場所に合わせて組み合わせることが重要になる。
資料4 蓄電池技術産業化のための基盤研究拠点の強化 開く
資料4では、産業技術総合研究所、いわゆる産総研の研究拠点を強化する方針が示されている。
産総研は、日本の公的研究機関である。企業や大学と連携し、研究成果を実用化や産業化につなげる役割を持つ。蓄電池分野では、新しい電池材料や電池構造について、評価、分析、試作、製造条件の検討などを進める。
資料では、先進リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、リチウム硫黄電池、全固体電池などが対象として示されている。
ナトリウムイオン電池は、リチウムの代わりにナトリウムを使う電池である。ナトリウムは比較的入手しやすいため、資源制約への対応という面で注目されている。
リチウム硫黄電池は、軽量化や高容量化が期待される電池である。ドローン、航空機、移動体など、電池の重さが性能に影響しやすい用途で研究が進んでいる。
全固体電池は、電池内部の電解質を固体にした電池である。電解質とは、電池の中で電気を運ぶ役割を持つ材料である。全固体電池は、安全性や出力性能の向上が期待されており、次世代電池として開発が進められている。
資料4では、つくばセンター、中部センター、関西センターなどの拠点を活用する方針が示されている。電池の評価、材料分析、製造プロセス、AIを使った材料探索、リスク評価、人材育成などを組み合わせ、企業や大学の開発を支援する内容になっている。
蓄電池の研究では、性能を測る試験、劣化の原因を調べる分析、試作品を作る設備、製造しやすい条件の検討が必要になる。産総研の拠点強化は、こうした機能を国内で整えるための取り組みである。
資料5 「公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン」について 開く
資料5では、公共施設や重要インフラで使う蓄電池システムの安全ガイドラインが説明されている。
公共調達とは、国や自治体などが物品やサービスを購入することである。重要インフラとは、社会活動を支える重要な設備を指す。電力、通信、交通、病院、防災設備などがイメージしやすい。
ガイドラインでは、蓄電池システムの安全性を段階的に確認する考え方が示されている。基本的な法令や既存規格を満たす水準に加え、用途に応じてより高い安全性を求める水準も設定されている。
主な確認項目として、発熱、発火、ガスの発生、周囲への温度影響、隣接する電池への影響などが挙げられている。たとえば、ひとつの電池で異常が起きた場合に、周囲へ影響が広がるかどうかを確認する。
蓄電池システムは、設置場所や用途によって必要な安全水準が変わる。人が近くにいる施設、災害時に使う設備、停電時に稼働が求められる設備では、確認すべき項目も変わる。ガイドラインは、導入する側が用途に応じて確認項目を選ぶための基準になる。
このガイドラインは、公共施設や重要インフラで蓄電池を導入する際の判断材料になる。製品の価格や容量に加え、安全性の水準を比較しやすくする狙いがある。
資料6 「公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン」を用いた製品認証について 開く
資料6では、資料5の安全ガイドラインを使った製品認証の考え方が説明されている。
製品認証とは、第三者機関が製品を確認し、一定の基準を満たしていることを認める仕組みである。蓄電池システムでは、試験機関が安全性を試験し、認証機関がその結果を評価する流れが想定されている。
資料では、認証の方法として、量産品向けの方式と、少量生産品向けの方式が示されている。量産品では、製品試験、工場調査、定期的な確認を組み合わせる。少量生産品では、対象製品ごとの試験結果をもとに確認する。
重要インフラ向けの蓄電池では、設置場所や用途に応じて求められる条件が変わる。資料6では、そうした製品にも対応できる認証の仕組みが整理されている。
認証制度が整うと、導入する側は安全性を比較しやすくなる。メーカー側も、自社製品がどの安全基準を満たしているかを示しやすくなる。
蓄電池は、データセンター、防災設備、病院、電力設備などで利用拡大が見込まれている。こうした分野では、安全性や信頼性を確認する仕組みが重要になる。今回の製品認証の議論は、公共施設や重要インフラで使う蓄電池を選ぶ際の基準づくりに関わる内容である。