コラム

再生可能エネルギーのいま

・再生可能エネルギーのいま(1)

更新日:2026.06.15

再生可能エネルギーは、日本の発電電力量の約2割を占めるところまで増えています。特に太陽光発電は、FIT制度によって大きく広がりました。

FIT制度とは、再エネで発電した電気を、国が決めた価格で電力会社に買い取ってもらえる仕組みです。この制度によって、太陽光発電に投資しやすくなり、住宅の屋根や空き地、山林などに太陽光パネルが増えました。

ただ、再エネが増えたことで、新しい課題も出ています。

太陽光発電は、晴れた昼間にたくさん発電します。一方で、夜は発電できません。雨や曇りの日は発電量が下がります。そのため、電気が余る時間と足りない時間が生まれやすくなります。

電気が余る時間には、太陽光発電を一時的に止めることがあります。これを「出力制御」といいます。せっかく発電できるのに止めるため、再エネを増やすほど、発電した電気をどう使い切るかが大きな課題になります。

2026年6月3日には、経済産業省で第1回「再生可能エネルギー主力電源化小委員会」が開かれました。この会議では、再エネをさらに増やしながら、電力の安定供給にどう役立てるかが議論されています。

再エネは「増やす段階」から「使いこなす段階」へ

これまでの再エネ政策は、発電設備を増やすことが中心でした。

これからは、発電した電気をどう使うかが重要になります。

太陽光発電が多い昼間には電気が余りやすくなります。逆に、夕方から夜にかけては太陽光が発電しなくなるため、別の電源で補う必要があります。

そのため、蓄電池にためる、電気を使う時間をずらす、地域をまたいで電気を送る、火力発電や水力発電で不足分を補うといった工夫が必要になります。

再エネは、数を増やせば終わりという段階ではなくなっています。今は、電力システムの中で上手に使う段階に入っています。

再エネが重視される理由

再エネが重視される理由は、主に3つあります。

1つ目は、CO2を減らすためです。

太陽光、風力、水力、地熱などは、発電するときにCO2をほとんど出しません。日本は2050年にカーボンニュートラルを目指しているため、電気をつくる段階でCO2を減らす必要があります。

2つ目は、海外の燃料に頼りすぎないためです。

日本は、火力発電に使うLNG、石炭、石油の多くを海外から輸入しています。燃料価格が上がったり、円安が進んだりすると、電気料金にも影響します。

再エネは、太陽、風、水、地熱など、国内にあるエネルギーを使います。海外の燃料価格に左右されにくい電源を増やす意味があります。

3つ目は、今後の電力需要に対応するためです。

データセンター、半導体工場、生成AI、電気自動車などによって、今後は電気の使用量が増える可能性があります。増える需要に対応しながらCO2を減らすには、再エネを増やす必要があります。

太陽光の拡大と課題

日本の再エネ拡大を支えてきた中心は、太陽光発電です。

太陽光発電は、比較的短い期間で設置できます。住宅の屋根、工場、倉庫、空き地などにも導入できます。そのため、FIT制度のもとで急速に広がりました。

一方で、課題もあります。

太陽光発電は、発電する時間が昼間に集中します。晴れた日の昼間には電気が余りやすく、夕方以降は発電量が急に減ります。

また、大規模な太陽光発電では、地域との関係も問題になります。山林を切り開いて設置する場合、景観、防災、土砂災害、環境保全への不安が出ることがあります。

今後は、屋根、駐車場、工場、倉庫、公共施設など、地域への負担が小さい場所を活用することが重要になります。

太陽光以外の再エネ

再エネには、太陽光以外にもいくつかの種類があります。

風力発電は、風の力で発電します。特に海の上に設置する洋上風力は、大きな発電量が期待されています。ただし、漁業との調整、港の整備、発電した電気を陸に送る設備などが必要になります。

水力発電は、昔から日本で使われてきた再エネです。大きなダムを新しくつくる余地は限られていますが、既存の発電所を更新したり、小さな川や水路を使った小水力を活用したりする方法があります。

地熱発電は、地下の熱を使って発電します。天候に左右されにくい電源ですが、開発に時間がかかります。温泉地や自然公園との調整も必要になります。

バイオマス発電は、木材などを燃料にして発電します。発電量を調整しやすい面がありますが、燃料を安定して集められるか、輸入燃料に頼りすぎないか、コストが高くなりすぎないかが課題です。

課題は「運ぶ・ためる・調整する」

再エネを増やすには、発電設備を増やすだけでは足りません。

発電した電気を使う場所まで運ぶ必要があります。たとえば、風力や太陽光の発電所が増えても、そこから家庭や工場に電気を送る設備が足りなければ、発電した電気を十分に使えません。

電気をためる仕組みも必要です。昼間に太陽光で発電した電気を蓄電池にためて、夕方や夜に使えれば、再エネをより有効に使えます。

電気を使う時間を調整することも重要です。たとえば、工場やビルが電気を使う時間を少しずらしたり、EVの充電を昼間に行ったりすれば、太陽光の電気を使いやすくなります。

これからの再エネ政策では、発電量を増やすことに加えて、発電した電気を無駄なく使う仕組みが重要になります。

まとめ

再生可能エネルギーは、日本の発電電力量の約2割を占めるまで増えています。2040年度には、4〜5割程度まで増やす見通しも示されています。

これまでの再エネ政策は、太陽光発電などを増やすことが中心でした。これからは、発電した電気をどう使い切るかが重要になります。

課題は、電気を運ぶこと、ためること、使う時間を調整することです。地域との共生やコストの抑制も欠かせません。

再エネは、すでに日本の電力を支える重要な電源です。今後は、発電量を増やしながら、安定して使える電源にしていくことが焦点になります。