コラム

内外無差別とは何か

・内外無差別(1)

更新日:2026.06.15

内外無差別とは、旧一般電気事業者などが持つ電源を、自社の小売部門と社外の小売事業者に対して、公平な条件で卸売するという考え方です。

「内」は、自社グループ内の小売部門を指します。「外」は、新電力など自社グループ外の小売事業者を指します。

電力自由化によって、家庭や企業は電力会社を選べるようになりました。ただ、小売事業者が電気を販売するには、販売する電気を調達する必要があります。旧一般電気事業者は自由化前から多くの発電所を持っており、自社グループ内の小売部門が有利な条件で電気を調達できる構造が残りやすくなります。

内外無差別は、この構造を是正し、新電力なども電源にアクセスしやすくするための取り組みです。

何を確認するのか

内外無差別で確認されるのは、価格だけではありません。

重要なのは、社内取引価格、社外向け卸売価格、契約期間、契約量、数量変更の柔軟性、情報提供のタイミングなどです。

たとえば、自社小売には長期で安定した条件を認め、社外の小売事業者には短期で使いにくい条件しか出さない場合、価格だけを見ても公平とは言えません。

そのため、電力・ガス取引監視等委員会は、卸売の募集、交渉、契約結果、小売価格と調達価格の関係などを確認しています。自社小売が調達価格を下回るような小売価格で販売していないかも、内部補助を確認するうえで重要な点です。

現在の達成状況

2025年3月には、「内外無差別な卸売等のコミットメントに基づく評価の考え方」が策定され、2025年7月に改定されています。

2025年6月の第9回フォローアップでは、多くのエリアで「現時点で内外無差別が担保されている」と評価されています。北海道、北陸、関西、中国、四国、九州、沖縄などでは、卸売プロセスや価格関係を確認したうえで、総合評価として「◎」が示されています。

一方で、評価は一度出して終わりではありません。2025年11月の第10回フォローアップでは、2026年度以降に受け渡す卸商品について、中間確認が行われています。各社がどのような条件で単年卸や長期卸を出すのか、社内外を同じルールで扱う準備ができているのかが確認されています。

次回は、2026年度上半期に、2025年度中に締結された契約を中心に評価される予定です。

今後の論点

今後の論点は、評価上の内外無差別を、実際に使いやすい卸取引につなげられるかです。

特に重要なのは、長期卸、購入量上限、与信条件、情報提供です。

長期卸は、小売事業者が数年先まで調達価格を見通すために重要です。単年契約ばかりでは、安定した料金メニューをつくりにくくなります。そのため、各社がどの程度の量を長期卸として出すかが論点になります。

購入量上限も重要です。買い手ごとに購入できる量の上限を設ける場合、その設定方法によっては、大きな需要を持つ自社小売に有利に働く可能性があります。東北エリアでは、2026年度受渡分から購入量上限を撤廃する予定とされています。関西エリアでも、購入量上限を段階的に見直す動きがあります。

与信条件も、小売事業者の参加しやすさに関わります。保証の方法が限られると、社外の小売事業者が卸取引に参加しにくくなります。親会社保証だけでなく、金融機関保証や保証金などを認める動きが出ています。

情報提供では、卸売の募集時期や条件を社外の小売事業者が十分に把握できるかが問題になります。卸売スケジュールの公表や、過去に参加した小売事業者への通知などが進められています。

常時バックアップとの関係

内外無差別は、常時バックアップの見直しとも関係します。

常時バックアップとは、新電力が供給力を確保しやすくするために、旧一般電気事業者から一定量の電気を受けられる仕組みです。

内外無差別な卸売が進めば、新電力は常時バックアップに頼らなくても、通常の卸取引で電気を調達しやすくなります。そのため、電力・ガス取引監視等委員会が、社外向け卸売条件が社内・グループ内小売向け条件に比べて不利ではないと確認した区域では、常時バックアップを行う必要はないとされています。

つまり、内外無差別は、常時バックアップに代わる電源アクセスの仕組みとして位置づけられています。